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工場 新潮文庫

小山田浩子

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784101205427
ISBN 10 : 4101205426
Format
Books
Publisher
Release Date
August/2018
Japan

Content Description

大河が南北を隔てる巨大工場は、ひとつの街に匹敵する規模をもち、環境に順応した固有動物さえ生息する。ここで牛山佳子は書類廃棄に励み、佳子の兄は雑多な書類に赤字を施し、古笛青年は屋上緑化に相応しいコケを探す。しかし、精励するほどに謎はきざす。この仕事はなぜ必要なのか…。緻密に描き出される職場に、夢想のような日常が浮かぶ表題作ほか2作。新潮新人賞、織田作之助賞受賞。

【著者紹介】
小山田浩子 : 1983年広島県生れ。2010年「工場」で新潮新人賞受賞。’13年『工場』で織田作之助賞受賞。’14年「穴」で芥川賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ヴェネツィア

    表題作「工場」は、私もまさに「ライトなカフカ」という感覚の小説かと思うが、解説を書いている金井美恵子氏は「よくある着想や設定!」と幾分否定的である。たしかにそれは前世紀的なカフカ的世界とは大いに違ってもいるだろう。そこには出口のない暗鬱な切迫感は見られないし、主人公たちが置かれている状況は究極の孤独でもない。しかし、一方で彼らは同時に「ライトなカミュ」の世界に置かれてもいる。すなわち、「シーシュポスの神話」的無力感がそれである。しかも、彼ら3人は等しくそのことには気が付かない。そうしたところはまさに⇒

  • ゴンゾウ@新潮部

    小山田浩子さん初読です。表題作、「いこぼれのむし」とも語り手が目まぐるしく変わっていきます。ぼやっとしていると誰の話か迷ってしまいますが徐々に収束していく。特に「いこぼれのむし」は秀逸でした。職場の人間関係、噂話がとてもリアルでじんわりと汗が噴き出てきます。【新潮文庫の100冊 2025】

  • ケンイチミズバ

    この不可解さはすごいな。非正規雇用問題をデフォルメしているのかと思うものの、一人は正社員で研究に没頭するだけで成果を求められない。待遇は人並み以上でいよいよそれを辞退しようかとすら考える。依存することである程度の疑問や理不尽を納得する人間の弱さを工場は吸収しているかのようだ。大企業なので間違いない、非正規でもありがたいという思考が不信や不安を凌駕し迷い続け年月が経過してしまう。それほどデフォルメとも言えないところにも上手さがある。疑問が何一つ解明されないところとラストはカシューニッツ作品のテイストだった。

  • (C17H26O4)

    人も場所も出来事も全てが平板に描かれている上に視点が行きつ戻りつする。登場人物たちの輪郭はあやふやだ。成り行きや状況に対し不思議さを感じつつも、彼らが特段不満を抱きもせず、ただ受け入れている、というのが気味が悪く不快だ。感情が見えてこないのだ。周囲のことばかり細かに分析している目線も気に触る。彼らの引け目や負い目が理由と言えなくもないのだが。『いこぼれのむし』の奈良さんだけが像を結ぶ。彼女の笑いが際立つ。「私はうつ病だと思われていたのか!」可哀そうな奈良さんだと思われていたのか、と笑い会社を辞める場面。

  • 佐島楓

    この日本で非正規として働くということ。小説というフィルターを通しているのでふわっとしているところもあるが、傷つき傷つけられながら生きていくひとびとの姿が見ていて苦しかった。

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