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『パリの秘密』の社会史 ウ-ジェ-ヌ・シュ-と新聞小説の時代

小倉孝誠

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784788508866
ISBN 10 : 4788508869
Format
Books
Publisher
Release Date
February/2004
Japan

Content Description

連載時絶賛を博し、新聞小説の嚆矢となった「パリの秘密」。パリの街路や地下を微細に描写し、社会の悪を告発した小説。名のみ高いこの本が、メディア論、社会史的な観点から読み直すとき、新たな魅力をもって甦る。

【著者紹介】
小倉孝誠 : 1956年生まれ。1987年、パリ第4大学文学博士。1988年、東京大学大学院博士課程中退。現在、慶応義塾大学文学部教授。専門は近代フランスの文学と文化史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • パトラッシュ

    ユゴーやデュマに先んじてベストセラーとなった『パリの秘密』だが、日本ではほとんど知られていない。その全容を紹介すると共に、この小説が生まれた経緯を描き出す。数十年おきに政体が変わった19世紀フランスの政治的混乱が大衆ジャーナリズムを生み、検閲や税制による政府の弾圧を回避して読者を獲得する手段として、貧困や犯罪など現実社会の諸問題を取り上げた新聞小説が考案された。そんな大衆文学の人気はマルクスすら注目するほどで、従来は文化的に無視された存在だった下層階級が、文化形成に参加する契機となった作品といえるだろう。

  • ラウリスタ〜

    はじめに19世紀フランスにおける新聞小説発達史をおさらいし、次いでシューの伝記的説明、『パリの秘密』(1842-3)のあらすじ、最後にそれを「パリ表象」、「犯罪と監獄」、「社会主義」「ユートピア」といった切り口から鮮やかに分析する。通俗的な大衆小説として言及されるも読まれない『パリの秘密』は、驚くほどに当時の社会的雰囲気を反映しており、その素朴さがむしろ資料としては使えそうだ。世紀後半の文学作品で発見される「民衆、大衆」は、実はシューの本作を最重要着想源としているようだ。シューから19世紀パリを暴き出す。

  • Susumu Kobayashi

    ウージェーヌ・シューの名高い『パリの秘密』について、社会史的な観点から論じられた本。江口清訳は完訳かと思っていたが、そうでもないらしい。『レ・ミゼラブル』などは複数の翻訳があるのだから、『パリの秘密』も早く新刊で入手できるようになってほしいと思う。小倉先生翻訳しないのかな。19世紀新聞小説(フィユトン)に対する興味がいよいよかき立てられた。晩年はこういうのをちびちび翻訳して過ごすのも一興かと思っている。ガボリオやボワゴベはもちろん、ポンソン・デュ・テラーユとかポール・フェヴァルなど未訳作品がわんさかある。

  • nranjen

    日本であまり知られていないウージューヌ・シュー。この作家の情報が得られただけではなく、その重要性を、政治への影響力という観点から新たに位置づけられたロマン派の後継者として見出すことができたと思う。論文の作りに関しても色々学ぶものがあった。購入して本当に良かった。また読むと思う。

  • 志村真幸

     ウージェーヌ・シューの『パリの秘密』は、名のみ高くとも、その中身についてはほとんど知られていなかった。本書は、シューという小説家の実像を明らかにし、『パリの秘密』の登場人物やストーリーを紹介してくれた点でたいへんな価値がある。  なおかつ、当時の社会において同書がもちえたインパクトが、ひとびとの政治的・経済的な状況と重ねて論じられており、まさに「社会史」として総合的にとらえることを可能にしている。  シューのストーリー・テリングの巧みさと、なぜあれほど当時の購読者たちを熱狂させたのかがよくわかった。

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