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初期名作集テレーズ・ラカン、引き立て役

宮下志朗

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784894344013
ISBN 10 : 4894344017
Format
Books
Publisher
Release Date
January/1970
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

激しい情欲に操られるまま破滅してゆく女と男、“どんな化粧品より効果的”な引き立て役のブスのレンタル業を思いついた男…。近代都市における人間の愚かさと滑稽さ、虚しさをつぶさに写し取ったゾラ初期の秀作。

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Book Meter Reviews

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  • NAO

    『テレーズ・ラカン』完全犯罪に成功したものの、殺したカミーユの亡霊に悩まされ破滅するテレーズとロラン。日が当たらずじめじめしたパサージュ・デュ・ポン・ヌフは、亡霊が登場するにぴったりの舞台だ。だが、何よりおぞましく凄まじいのは、全身不随となったカミーユの母とテレーズたちの関係。初期作品の未熟さが随所に見えるものの、この飛んでもない設定こそがゾラの真骨頂だと思った。

  • ラウリスタ〜

    訳者があとがきで言うように、この『テレーズ・ラカン』を思春期に読んだら、「なんだこの下劣な小説は!」と激怒して二度とゾラに手を触れないかもしれない。それが1860年代での評価だった。意外にもよく作りこまれて、犯してしまった殺人の恐怖が二人を追い詰める様が見事。マネの作品との関連など面白そう。溺死者カミーユの面影にとらわれることでヘボ絵かきだったロランがいっぱしの「画家」になってしまう展開もなかなか。話題の41ページの注だけは・・・ひどいネタバレになってるから初読者には酷。

  • ROOM 237

    つげ義春さんがお好きなのも頷けるゾラさんの、暗さと荒廃っぷりが遺憾無く発揮された表題作。本能と欲求に負けた結果、自己防衛と正当化に逃げ道を見出すものなのか?同族嫌悪に移り変わる瞬間、鏡合わせのような態度と醜態から目を逸らす事が許されない状況…これらがジメついた路地の狭い借家で起こるリアリズムよ。更にモダンホラー要素がふんだんにあり驚いたのだが、ゾラさんは短編でも数話書いてるもんね。辛い作品だけど凄まじいラストが読みきった感あって良かった。

  • アヴォカド

    ドレフュス事件の時の、ゾラの檄文がえらく熱くて感動的だったのと、『ビリー・サマーズ』からの流れで、読んだ。

  • ろべると

    初期の長編「テレーズ・ラカン」は、冒頭のパサージュ・ポン=ヌフの描写からしてすでにゾラならではの重苦しさに満ちており、本作でテレーズとロランの生理学的な「気質」を観察したのだと言うゾラの発言は、のちのルーゴン・マッカール叢書での姿勢と全く変わるところがない。併せて収められる短編のうち二篇は「テレーズ・ラカン」の習作であり、画家が大作の前にデッサンで構想を練ったのと同じやり方だ。翻訳者は本作とマネの作品との関連を指摘しているが、私にはどちらかというとクールベの作品(オルナンの埋葬など)を思い起こさせる。

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