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鳥啼き魚の目は泪

宇佐美まこと

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784093866880
ISBN 10 : 4093866880
Format
Books
Publisher
Release Date
July/2023
Japan

Content Description

造園設計士・高桑は、伝説の作庭師・溝延兵衛に心を奪われていた。彼の代表作である〓〓庭(せいけんてい)は、昭和初期に吉田房興侯爵が兵衛に依頼したもので、定石を覆す枯山水を作るために、大きな池を埋めていた。だが、その池からは白骨死体が見つかっていた。

【著者紹介】
宇佐美まこと : 1957年愛媛県生まれ。2006年に『るんびにの子供』で第一回「幽」怪談文学賞短編部門を受賞しデビュー。2017年『愚者の毒』で第70回日本推理作家協会賞長編部門受賞。『展望塔のラプンツェル』が2019年「本の雑誌ベスト10」第1位、山本周五郎賞候補、『ボニン浄土』で大藪春彦賞候補(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • いつでも母さん

    タイトルは芭蕉の句(「行く春や」から始まる)これは別れの物語。華族や庭園‥私には想像の世界でしかないが、これはその中にあるミステリー仕上げ。宇佐美さんだから期待して・・が、終盤に至るまでが長い(汗)込み入った華族の人間関係に、作庭師・兵衛の庭に寄せる熱や想いが私には乗り切れずの感だった。真相が明らかになる頃には、さすがに鈍い私も薄々感づいて驚きはなかった(珍しい)奥様付きのトミ目線で進むのは好みではあるのだけれど・・ごめんなさい。宇佐美さん次に期待!

  • ちょろこ

    名だたる作庭師が遺した「C闥」に秘められた、とある華族の物語の一冊。華族、日本庭園と未知なる世界だけれど使用人の一人称語り形式がまるで遠い昔話を聞かせてくれるようで自然とその時代に、その時に連れ出されたような気持ちになれた。何不自由のない特権に恵まれた生活に見えてもどこか満たされない思い。時にその鬱屈が顔を覗かせ、いかに家よりも個人を慈しめるか、その姿がせつなく胸を打つ。芸術作品とは作者の心そのもの、メッセージ。想いが重なるように現れる庭にせつない想像に耽った。数々のシーン、小物の使い方が印象的な作品。

  • のぶ

    滅びの物語であり、再生の物語でもあった。話は、昭和八年に吉田房興という華族家の池の底から身元不明の白骨死体が見つかるところから始まる。それをきっかけとして、房興は広大な池を埋め立てて、かつて誰も手掛けたことのない斬新な枯山水の庭を造ることを決心する。家というものに取り込まれ、個を埋没させていた房興は、恵まれてはいたけれども、決して自分らしい豊かな人生を生きてきたわけではなかった。とても重厚で当時の雰囲気をよく描いてはいるけれど、文章がやや読み難く、登場人物に感情移入し辛いのが難点だろうか。

  • hiace9000

    儚く消えゆくものと朽ちることなく残るものを鮮やかに対比させ、あの時代の華族という特権階級に生きた人々の生き様を、静かに強く刻み込み綴る、滅びの物語。名門家侯爵である房興と妻は、作庭師溝延兵衛の造る枯山水に心酔。二人は物言わぬ石庭にそれぞれ「永遠」と「秘めた思い」を閉じ込める。禍々しくも哀しい事件は運命を変えてゆく。いつもながらの"宇佐美ステリー"を抑え気味にしつつ、女中と作庭家二人の第三者的視点ゆえに浮き彫りにできた、斜陽期の華族の人々の屈託と煩悶の日々。表題の芭蕉の名句は作品に絶妙の余韻を与えてくれる。

  • モルク

    昭和初期吉田公爵家の庭の池から白骨死体が見つかる。池を埋め枯山水の庭を造ることに情熱を注ぐ公爵。華族の華やかな生活が女中目線で描かれ、公爵の妻と庭師のほのかな想い、そして白骨死体のミステリーが絡む。時代は令和となり造園家高桑と共に読者は新たな事実を知る。最初は説明が多く、くじけそうになったが、途中でやめずによかった。これは宇佐美作品ならでは。このままじゃ終わらないぞという思いが続行の意思を駆り立てた。伏線回収はさすが。

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