羊は安らかに草を食み 祥伝社文庫

宇佐美まこと

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784396350406
ISBN 10 : 4396350406
フォーマット
出版社
発行年月
2024年03月
日本
追加情報
:
438p;16

内容詳細

認知症になった友人の人生を辿る、女性三人、最後の旅。
戦争を生き延びた彼女が、生涯隠し通した“秘密”とは?
人間の尊厳を見つめた、至高のミステリー!

認知症になった益恵を、二十年来の友人アイと富士子が最後の旅に連れ出した。それは、益恵の人生の足跡を辿る旅。大津、松山、そして絶海の五島列島へ――。戦時中、銃弾飛び交う満州を歩き通し、命からがら祖国に辿り着いた益恵は、いかにして戦後の苛酷を生き延びたのか。旅の果て、益恵がこれまで見せたことのない感情を露わにした時、彼女たちの運命は急転する!

【著者紹介】
宇佐美まこと : 1957年、愛媛県生まれ。2006年「るんびにの子供」で第一回『幽』怪談文学賞短編部門大賞を受賞。17年『愚者の毒』(祥伝社文庫)で第七〇回日本推理作家協会賞長編及び連作短編集部門を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • アッシュ姉 さん

    認知症が進んで意思の疎通が困難になるなか、過去の断片に苦しんでいる益恵。心のつかえを取り除いて平穏に過ごして欲しいと願う友人たちと共に、彼女の人生を辿る旅に出る。満州での少女時代の戦争体験が凄まじい。想像力に蓋をしないと読めないほどの壮絶な日々に言葉を失う。先の見えない苛酷な状況を支え合い励まし合って何とか生き抜いた二人の絆と隠し通した秘密に涙。ラストの富士子の言葉に再び涙、旅の終わりに詠んだアイの俳句が深い余韻を残す。四人の女性の強靭さと優しさと友情に感動。またもや傑作を生み出した宇佐美さんに感服。

  • まこみん さん

    以前単行本で読み再読。前回も感じたが益江の満州での体験は読むのが辛くなってくる。カヨちゃんとふたりで、よく生きて帰って来られたこと。終章の「旅の終わり」は宇佐美さんらしいミステリー色があって私は楽しめた。

  • KEI さん

    ラジオ日曜名作座で2回目まで聴いてたので先を知りたくなった。益恵には何か屈託がありそうでそれを軽くしたいと夫から頼まれ。認知症を患う友益恵の過去をめぐる旅に付き添うアイと富士子は20年来の俳句仲間だった。過去に過ごした土地を巡っていく。挿入される満州での辛酸な過去、それを共に乗り越えたカヨちゃんに会えるのか。益恵の屈託は何か?何故、益恵と佳代は会わない事にしたのか、益恵が何故女優月影なぎさのファンなのか、なぎさの弱みにつけ込む神谷はどうなるのか。ミステリの要素も入り引き込まれて読んだ。お勧めです。

  • chiseiok さん

    宇佐美作品初読みですが、読み応えと読み易さを兼ね備えた語り口、作者のただならぬ力量を感じさせます。キーパースン益江さんの、認知症進行中ながらいい感じのおばあちゃんになってる現在編、無垢な少女であった終戦当時の過去編、交互に語られるシスターフッド・ロードノベル。過去編の大陸脱出行の過酷すぎる旅程、えぐ過ぎ重過ぎ鮮烈過ぎ。過去と現在を行き来しながらのフィニッシュは…あれ?お話の軸足そっち?イタリアンのコース食べてて最後はエスプレッソダブルで締めかなと思ってたらパンナコッタ来た〜的な。まぁどっちも美味いけどさ笑

  • Y.yamabuki さん

    二十年来の友達であるアイ80歳と富士子77歳が、認知症になった益恵を彼女の人生の足跡を辿る旅に連れ出す。その旅の様子の間に、益恵の満州からの過酷な引き揚げの話しが語られる。最後の訪問先、國先島まででも十分優れた作品だった。けれど宇佐美さんの小説、これでは終わらない。ここから驚きの真実が明らかになる。その先の同行者二人のアクティブで軽やかな行動。思いの外爽やかな読後感。認知症のこと、満州のこと、そしてミステリー要素と読み応えのある小説だった。満州で、中脇初枝さんの「世界の果てのこどもたち」を思い出した。

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宇佐美まこと

1957年、愛媛県生まれ。2006年「るんびにの子供」で第一回『幽』怪談文学賞〈短編部門〉大賞を受賞。17年『愚者の毒』で第七〇回日本推理作家協会賞〈長編及び連作短編集部門〉を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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