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ISBN 10 : 4866771534
Content Description
"本書は、普段は病気を発症させることなく潜んでいながら、免疫力が低下した時を狙って突然暴れ、私たちの命さえ奪うサイレントキラーを取り上げています。決して脅かしている本ではありませんが、私たちの健康を保ち続けるために、持続感染する危険性がある油断 大敵のサイレントキラーの知識を深める一助にするための一冊となります。
私たち人間の身体は約60兆個の細胞からつくられていますが、棲みついている細菌は100兆個を超え、脳の重さと同じ程度の1,4kgに達しています。棲みつく細菌は細菌フローラですが、細菌だけでなくウイルスや寄生虫はまとめてマイクロバイオームと呼ばれています。
腸内フローラの善玉菌は、最大免疫器官の小腸との連携を密にして、ホルモン分泌によって脳を活性化する腸脳相関の恩恵を私たちに与えてくれています。さらに、腸内細菌フローラに関する研究成果は、いろいろな病気の新たな治療法さえ生み出しています。
一方で腸内に悪玉菌が異常に増えた状態の腸内ディスバイオーシスは、情緒の不安定、肥満、糖尿病、高血圧、動脈硬化、アレルギー、認知障害などをもたらす健康破綻の元凶であることが鮮明になりました。
口腔細菌フローラには、大腸菌やピロリ菌が口腔内に留まって増えることを許さない働きがあります。ところが、むし歯や歯周病の原因菌がバイオフィルムとなって誘発する口腔ディスバイオーシスは、さまざまな全身疾患のトリガーになり、疾患の増悪に加担します。さらに、口腔ディスバイオーシスは、腸内ディスバイオーシスを誘導する暴徒にもなります。
人類史上最大の感染症は、歯周病であることがギネスブックに書かれたことがあります。日本歯科医師会の80歳になっても20本以上自分の歯を保とうという「8020運動」は、厚生労働省が推進する国民の健康増進のための情報発信などを行う「健康日本21」の後押しもあって、歯の健康づくりを国民に広く浸透させてきました。
しかしながら、口腔ディスバイオーシスが原因の歯周病は増加傾向が続き、現在では成人の70%が歯周病患者です。その病原菌は、虎視眈々と命さえ狙うサイレントキラーとなることが解明されました。疫学的研究を裏づける分子生物学的研究では、歯周病原菌がスクラムを組んでバイオフィルム集団となって動脈硬化症を誘導し、心疾患や脳卒中を発症させることを明らかにしています。
また、大腸がんをはじめとして歯周病原菌が発がん性因子であるという論文発表は枚挙に暇がありません。さらに、血流から脳内に歯周病原菌が潜り込み、アルツハイマー病の発症にさえ関わるということも立証されています。"
【著者紹介】
奥田克爾 : 東京歯科大学名誉教授、千葉県立保健医療大学講師、野口英世記念会理事。日本細菌学会や歯周病学会など7学会の名誉会員。1968年東京歯科大学卒業。1978年スウェーデン政府留学生試験に合格しカロリンスカ大学留学。1978年米国国立衛生研究所(NIH)留学生試験に合格して1979年からニューヨーク州立大学歯周病学研究センターに留学。1989年東京歯科大学微生物学講座教授。北海道大学、大阪大学、広島大学、昭和大学、徳島大学、九州大学、九州歯科大学の講師歴任。2008年平成帝京大学薬学部教授。1993年厚生省長寿科学研究に歯科の代表として12年間務める。国際歯科医学会日本支部会長、細菌学会理事を歴任。日本ワックスマン財団賞、歯科医学会会長賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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