気候変動を理学する 古気候学が変える地球環境観

多田隆治

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784622086727
ISBN 10 : 4622086727
フォーマット
出版社
発行年月
2017年12月
日本
追加情報
:
287p;19

内容詳細

古気候学の研究者と市民の熱意から生まれた、気候科学のエキサイティングな講義。古気候学とは、堆積物や氷床などに残る痕跡を手がかりに気候変動の歴史を復元し、地球環境を造形するメカニズムを明らかにする学問だ。その成果は地球の理解そのものを確実に変えつつある。本書では第一線で活躍する研究者が、生きた講義の中で発せられる疑問を丁寧に拾いながら、複雑で動的な地球システムの本質を説き明かす。まず古気候学の面白さ、これが圧巻なのである。歴史と本物の科学がみごとに融けあっている。億年〜数年という異なる時間軸を縦横に飛び移る思考。日本海から掘り出した堆積物と数万年前に極地を覆っていた氷床を関連づけるような、壮大なからくりの数々。研究者たちは過去の気候が遺した暗号を丹念に読みこなし、地球環境の頑健さと脆弱さの謎に迫っていく。地球温暖化はウソかホントかといった表層的な議論はもうたくさん、今度こそ地球と環境の実像を掴みたいという読者に、この質の高いレクチャーを追体験してもらいたい。豊富な図版も紙芝居とは意味が違う。科学的根拠を自ら一つ一つ読み解く過程にこそ、「理学する」手ごたえがある。サイエンスカフェ参加者の探求欲にも感染せずにはすまない、充実の地球システム学入門。

目次 : 第1回 地球の気候はどのように制御されてきたか(地表温度はどのようにして決まるか/ 全球凍結をめぐる謎)/ 第2回 地球は回り、気候は変わる(氷河時代と氷期―間氷期サイクル/ ミランコビッチの仮説)/ 第3回 CO2濃度はどのように制御されてきたか(産業革命以前のCO2濃度変動/ CO2固定のプロセス ほか)/ 第4回 急激な気候変動とそのメカニズム―『デイ・アフター・トゥモロー』の世界(急激な気候変動が北半球で起きていた/ ダンスガード=オシュガー・サイクルに伴う変動の波及 ほか)/ 第5回 太陽活動と気候変動―太陽から黒点が消えた日(過去の太陽活動を知る/ 古気候と太陽活動 ほか)

【著者紹介】
多田隆治 : 1954年生まれ。東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻教授。専門は地球システム変動学・古海洋学・古気候学・堆積学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • Ryoichi Ito さん

    大気中の二酸化炭素濃度上昇によって地球が温暖化しているというのは本当か。もし本当ならそれはどのようなメカニズムによるのか。答えは簡単ではない。気候現象は想像以上に複雑だ。これを素人にもわかるように解説する。それでもなお,難しい。

  • Dolphin and Lemon さん

    今読み返しても面白い。今でもワクワクする。 久々に論文とか調べてしまった。

  • nosime_tombo さん

    空間は軌道/地圏/気圏/水圏/生物圏、時間は過去から現在まで、気候変動の基礎についての丁寧な導入説明書である。科学コミュニケーションのプレゼンを図書化しただけあって、聞き手に科学的に正しく、考えながら理解してもらうという姿勢が一貫している。良い。過去の大気の記録を、氷床や岩石に刻まれたログから、地球という大規模複雑システムの動作を、一緒に考えながら明らかにしていくようで楽しい読書体験だった。

  • モコトン さん

    気候変動のメカニズムについて、グラフを読み解くところから説明するのが良い。実際のデータに基づいて仮説構築するのが自然科学の基本であって、即ち理学するということ。「CO2と太陽のどっちが原因なの」とかいう0or1の話ではなく、誠実にデータを読み解くと「それぞれの寄与が何%で云々…」とかいう話になる。気候のフィードバックシステム、気候のモードジャンプ、平均気温ではなく地域間の分布も大事、といったことが知れて面白い。(本筋と関係ないけど、同位体の分析技術がもたらしたブレイクスルーはすごいな、とつくづく思う)

  • meiji さん

    気候というと天気予報的なものを思い浮かべますが、平面じゃなく、太陽も地球も、海も陸も空も、全部ひっくるめたダイナミックなものでした。

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多田隆治

1954年生まれ。東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻教授。専門は地球システム変動学・古海洋学・古気候学・堆積学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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