魂の形について ちくま学芸文庫

多田智満子

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784480510839
ISBN 10 : 4480510834
フォーマット
出版社
発行年月
2021年11月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
192p;15

内容詳細

いにしえより、鳥、蝶、蜜蜂、心臓などに託されてきた魂の形象。それらは、人間が無辺際の虚空を宿し、宇宙の反映でもあることの表れとして捉えることができる。例えば、水鳥は、その自在な動きにおいて、肉体の束縛を離れた魂のありかたと照応するものであっただろう。古人は、そこに単なる比喩にとどまらない、確かな実感を込めたのではなかったか。夢のようでありながら、しかし真実でもある霊魂について、明澄なまでに想念をめぐらした詩人の代表的エッセイ。

目次 : 1 たまあるいはたましひ/ 2 何を以て羽翼有るや/ 3 白鳥 黒鳥/ 4 漂えるプシュケー/ 5 オシリスの国/ 6 ラーの舟/ 7 蜂蜜あるいはネクタル/ 8 魂の梯子と計量/ 9 心臓から蓮華へ

【著者紹介】
多田智満子 : 1930‐2003年。詩人・随筆家・翻訳家・フランス文学者。東京女子大学外国語科・慶應義塾大学文学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • HANA さん

    傑作。人魂の形から此岸彼岸をひらひらと舞う蝶、白鳥と化した日本武尊から漢詩の世界へ、その後も古代ギリシャ、古王朝時代のエジプト、死後の裁定を経て梵我一如の境地まで、膨大な知識と詩人の軽やかさをもって洋の東西、時代を問わず、魂の形を追ってその筆は進む。こういう一つのテーマを追って、様々なジャンルを軽々と越えていくのは現代ではもうあまり見る事が出来ないと思っていた。かつて澁澤、種村によって案内された様々な世界を思い出させそう。詩と博覧強記が渾然一体となり、こちらもひたすらそれに酔わされる。最高の読書でした。

  • アムリタ さん

    神話には不思議なほどの共通点がある。 それをどう説明できよう。 古人たちがどれほど魂の形象をさまざまなものことに託して謳い、あらわそうとしたのか。 肉体を脱いだ魂の行方、亡き者への憧憬。 わたしは古い魂なのでは、と思う。魂を追うことに限りない懐かしさを憶えるのだ。 薔薇宇宙の記述は圧巻。筆者がLSDを服用して体験した「薔薇型の天国」である。この体験を言語化しようとしたが、言葉は敗退した、と述べている。 それでも書こうとする執念。彼女はそれが幻覚でないことを知っている。この人は本物の詩人であり書き手である。

  • 有理数 さん

    非常に面白かった。「魂の形について」という題の通り、古今東西の宗教や風土、文化、そして文学に眼差しを向け、「生きること」「死ぬこと」、そしてその間を行き来することを語る。ギリシャ神話、ピラミッド、記述文学……などなど、数多くの遺物が物語る多くの死と「魂」を、大陸、時代、宇宙さえ飛び越えて、あらゆる生と死の相似形を見出す。終盤に読み解く「心臓」のくだりで、多くの太陽信仰と、人間の「心臓」の構造が完璧に一体となる様子には、関心を飛び越えて感動すら覚えた。エッセイそのものの締め方も美しい。

  • あ げ こ さん

    詩人が導き行く先々で指し示し、見せるもの…事実であり夢幻、そのあわいに属する事柄、その時々の、かの人々の、実感そのもの、現実そのものでもあったが故に、虚実複雑にまじりあい、矛盾を孕み、けれど緻密で美しく、もはや魅惑と化しているかのような、一つの極致へと到達しているかのようなそれら。…〈私が主題としたいのは、単なる比喩や見立てではなく、古人が魂をそのようなものと実感したところのものであり、文学的ではなく神秘的なものーつまり、人間の根源的意識(…)が所有する原型的イメージから生み出された魂の表象なのである。〉

  • ふるい さん

    魂を想像の産物ではなく、本当にあるものと考えていた古代の人々は、魂をどのようなものと捉えたのだろうか。多田さんの文章に導かれ、古代エジプトやギリシアの人々の死生観・宇宙観に思いを馳せてみることは、解説の方が書いておられるように、「心のざわつきがおさまる」効果があるようである。

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