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溶ける街 透ける路 講談社文芸文庫

多和田葉子

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784065241332
ISBN 10 : 4065241332
Format
Books
Publisher
Release Date
July/2021
Japan

Content Description

わたしの旅は言葉の旅でもある。多言語の中を通過しながら、日本語の中をも旅する―“エッセイの元祖”モンテーニュ縁のサンテミリオン、神田神保町を彷彿させる“本の町”ヴュンスドルフ、腕利きのすりが集まるバーゼル。世界四十八の町を巡り、“旅する作家”が見て、食べて、出逢って、話して、考えた。心と身体を静かに揺さぶる、五十一の断章。

目次 : ブダペスト/ シュトットガルト/ ケルン/ フランクフルト/ グラーツ/ クックスハーフェン/ トゥール/ ロイカーバート/ カネット/ トゥーソン〔ほか〕

【著者紹介】
多和田葉子 : 1960・3・23〜。小説家、詩人。東京生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、ハンブルク大学修士課程修了。1982年よりドイツに住み、日本語・ドイツ語両言語で小説を書く。91年、「かかとを失くして」で群像新人文学賞受賞。93年、「犬婿入り」で芥川賞受賞。96年、ドイツ語での文学活動に対しシャミッソー文学賞を授与される。2000年、「ヒナギクのお茶の場合」で泉鏡花文学賞を受賞。同年、ドイツの永住権を取得、チューリッヒ大学で博士号取得。02年、「球形時間」でBunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。03年、「容疑者の夜行列車」で伊藤整文学賞及び谷崎潤一郎賞を受賞。05年、ゲーテ・メダル受賞。09年、早稲田大学坪内逍遥大賞受賞。11年、「尼僧とキューピッドの弓」で紫式部文学賞、「雪の練習生」で野間文芸賞を受賞。12年、「雲をつかむ話」で読売文学賞及び芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。16年、クライスト賞受賞。18年、国際交流基金賞、「献灯使」(英語版)で全米図書賞を受賞。20年、朝日賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • 佐島楓

    欧米を旅した著者のエッセイ。エッセイだと思って読んでいると、旅先で遭遇したものごとがとても物語的で、現実とフィクションの境目があいまいになる。それぞれの土地の文化の違い、言語の差異を敏感に感じ取る力がなければ、特にヨーロッパは渡っていけない。各地で開催される文学のフェアにも敬意をはらいたい。不思議な世界を旅した気分になった。

  • hasegawa noboru

    2005〜6年、朗読や講演など招待されて行った世界の町への旅の小エッセイ集。「ブダペストからアンマンまで48の町を翔ける51篇」(帯コピー)。言葉が次々と出てくる感じの作者固有の文体だが、短い小説よりも短いので読みやすい。アウシュビッツを3頁強で書く作家の力量。<旅人としてのわたしの体験はマッチを擦った瞬間にその光でまわりが見えるようなもので、炎は数秒で消えて、あたりはまた暗闇に戻ってしまう。世界はなかなか見えにくい。旅をすることで見える範囲など限られている。><記憶の断片が光り、これまで見えなかったもの

  • ぱなま(さなぎ)

    主に文学や演劇の催しに招かれて各地を旅する著者のエッセイ。もとは新聞連載だったらしく一編が3ページ程で隙間時間に少しずつ読みやすく、気軽に旅をすることも叶わぬ身としては非常に癒された。観光旅行ではなく多和田氏の作品と彼女自身の言葉に対する感覚そのものが旅と旅とを繋ぐ糸として機能しているため、その中のエピソードにも多和田氏特有の関心やユーモアが広がっているようで面白い。実際に現地で足を運ぶ旅とは、ガイドブックの情報を確認して帰ってくるだけではない、こんなにも個人的なものだったと思い出させられる。

  • 真琴

    ★★★★☆ ブダベスト、グラーツ、ハンブルグ、パリ・・・。朗読会などで訪れた地を歩きながら見たもの食べたもの触れたものなどが描かれた旅のエッセイ。その土地土地での空気や匂いなどが肌を通して伝わり染み込んでくるようでした。

  • ハルト

    読了:◎ 旅をしながら言葉を語る。すり抜けるように言葉を浴びる。もはや、旅が身体の一部となってしまったかのような、そんな旅。ごく短いエッセイが数珠のように連なりながら、通り過ぎてきたあの町、この街が記録されている。シンプルなぶん、心にストレートに伝わってくる旅の余韻。異国での人々、言葉。知らなかった街を、少しだけ著者の目を通して、知れた気になる。旅というのは、言葉を集めるのにもいいものなんだなと、しみじみと感じた。

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