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「歎異抄」成立の謎

塩谷菊美

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784831860750
ISBN 10 : 4831860751
Format
Books
Publisher
Release Date
December/2025
Japan

Content Description

多くの著名人が推奨し、日本で最もよく読まれているという仏教書『歎異抄』。
「善人なほもて往生をとぐ。いはんや悪人をや」という有名な「悪人正機」の一文が記された『歎異抄』は、親鸞直弟子の唯円が、師の親鸞から直接聞いた言葉を、親鸞没後に記したものである、というのが現在の常識である。

この常識は正しいのか。

どの宗教にも開祖の言葉を集めたとされる聖典があるように、浄土真宗にもそうしたものがいくつも存在する。だが『歎異抄』以外のそうした書物は、現代に至るまでにどれも本当に親鸞の言葉なのかどうかが疑われ、否定的に扱われてきた。親鸞の言説の集成とされる諸本がどれも厚遇されていない中で、『歎異抄』は特異な地位を占める。なぜそのような事態となったのか。まずは『歎異抄』が親鸞の言葉を記録しているという前提を離れて、その成立事情に迫ってみたい。

【目次】
1 『歎異抄』という親鸞伝
2 法然系諸流の中で
3 『歎異抄』の文体
4 穢土に顕現する如来
5 生き如来信仰の変質
6 中世親鸞門流の「聖教」
7 親鸞の秘伝を記す書物群の成立
8 近世的学問・教育の進展
9 「正義」樹立への道程
10 知識人にとっての『歎異抄』
11 虚実皮膜の祖師信仰

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