贖罪 ナチス副総統ルドルフ・ヘスの戦争

吉田喜重

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784163910994
ISBN 10 : 4163910999
フォーマット
出版社
発行年月
2020年04月
日本
追加情報
:
349p;20

内容詳細

ナチス・ドイツによる絶滅戦争=ソ連侵攻を控えた1941年5月10日、ヒトラーの代理人といわれたヘスは単身メッサーシュミットを操り、スコットランドをめざしてミュンヘンを飛び立った。イギリスとの講和工作のために。しかし、それを知ったヒトラーは激怒し、チャーチルはとりあわなかった。世界は破滅へ向かって動きはじめる…。「わたし」という主語がない奇妙な手記が綴るルドルフ・ヘス(1894〜1987)の生涯。構想20年、同じ時代に生きあわせた証しとして書き上げた、吉田喜重監督渾身の長編小説!

【著者紹介】
吉田喜重 : 映画監督。1933年福井県生まれ。55年東京大学文学部仏文学科卒業。同年松竹大船撮影所入社、木下惠介組の助監督に。60年『ろくでなし』で監督デビュー、64年岡田茉莉子と結婚、66年現代映画社を設立する。代表作に『秋津温泉』『エロス+虐殺』など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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まずなぜ著者がルドルフ・ヘスに興味を持っ...

投稿日:2021/03/15 (月)

まずなぜ著者がルドルフ・ヘスに興味を持ったかが語られる。子どもの頃、記憶に残った人というのは、深い理由がなくともいつまでも気になっているということはある。著者は、ずっとヘスのことが頭にあって、こうやって形にしないと自分自身がヘスであるかのような気になってしまったのかもしれない。 最初の部分は創作ではなく、著者の子ども時代の争時体験が語られている。自らの福井空襲の体験を書き残す必要性も感じていたのだろう。 ヘスの告白部分は、実際にドイツで起こった事件を紹介しながら、ヘスがなぜ英国に単独飛行をしたかが語られる。この部分の「主語のない文章」という体裁は、日本語だからこそできたのであって、著者による創作上の実験精神が嬉しい。 敗戦までのドイツの状況は、ヘスに語らせるわけにはいかないため、懇意にしていた大学の先生の息子の遺書の形で語られる。ヘスに親近感を感じていた人ゆえ、視点がヘスと似てしまったことが気になった--英国側から語らせるという方法もあったろう--が、小説上の技巧には興味はなかったと理解した。 まるで吉田監督の新作映画を見ているかのようで、88歳になろうとしている監督がこの本を世に出したことを素直に喜びたい。

アーチ さん | 東京都 | 不明

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読書メーターレビュー

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  • NAO さん

    同時代に生きた者としてルドルフ・ヘスに興味を持った語り手が手に入れた(?)ヘスの手記。そこから浮かび上がるヘスの人物像とは?ヒトラーのすぐ近くにいたヘスが、どうして単身イギリスに向かったのか。作者は、ヘスが師事し親しく交際していたカール・ハウスフォーファ教授の妻がユダヤ人であったことに重きを置いているようだ。だが、ヘスはユダヤ人嫌いだったという説もある。ヘスは、狂信的な熱狂に身を委ねるにはあまりにも学者肌でありすぎ、国際人でありすぎたのかもしれない。⇒

  • hasegawa noboru さん

    元映画監督吉田喜重が70年以上前の戦争体験とともに、ルドルフ・ヘスなる人物の名の記憶をよみがえらせる。〈第二次世界大戦を引き起こしたナチスの歴史を、内部より告発した貴重なドキュメント〉としてヘスの手記を仮構したということだろう。〈貧困化した現代の大衆の内部に渦巻く憎悪、怨念(ルサンチマン)こそ、新たなる国家誕生のエネルギーであると説く〉ヒトラー『わが闘争』の口述をタイプライターで打ち出した男ヘス。狂気の独裁者がなぜドイツ国民の圧倒的支持を得るに至ったか。丹念にたどり直していてドキュメントとして貴重な小説。

  • くらーく さん

    読みにくい。だけど、引き込まれる。読了後には考えさせられる。なかなか、このところ読んだことが無いような本だったなあ。作者が映画監督だからかしら? 一応小説だけど、ドキュメントのようでもあり、著者の回想のようであり、ヘスの心情のようでもあり。もう、ぐちゃぐちゃなんだけど、なぜか引き込まれるのだなあ。歴史にifは無いのだけど、もしも、ハミルトン公が本物だったら、イギリス政府がまじめに検討したら。。。今の世界は無かっただろうに。 それにしても、ソ連と言う国は、どうしても分かり合えないな。感情が優先、合理が無い。

  • GOTI さん

    ☆☆☆著名な映画監督がルドルフ・ヘスの生涯を描く長編小説。「著者がなぜこれを記すに至ったか」「ヘスがヒトラーと出会い、ナチスの副総統へ。そしてイギリスとの単独講和を図るまでを記す手記」「ヘスの地政学上の恩師の子息の遺書」「ヘスの遺言」4編で構成されている。小説というよりはルポあるいはドキュメント・ノベル。ナチス・ドイツによるソ連侵攻を控えた1941年5月10日、副総統ヘスは単身メッサーシュミットを操り、イギリスとの講和工作のためにイギリスへ飛ぶ。ヒトラーは激怒し、チャーチルはとりあわなかった。

  • 土偶 さん

    地政学的関心事、ドイツ系住民の保護なる名目で領土拡張をしていた1930年代…最近どこかで聞いたセリフだ。

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吉田喜重

1933年生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。1955年に、松竹大船撮影所に入社。1964年、独立

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