虚構世界はなぜ必要か? SFアニメ「超」考察

古谷利裕

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784326851966
ISBN 10 : 4326851961
フォーマット
出版社
発行年月
2018年12月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
292p;19

内容詳細

現実は変えられないという「現実主義」に抗するためにフィクションは意味をもち得るか。フィクションについて考えることは、夢を見ることに、あるいは夢について考えることに似ています。そして、現実主義者は、そのようなことには意味がないしくだらない、あるいは、無責任で害悪でさえあるというでしょう。それに対しわたしたちは、そのような現実主義の態度こそがわたしたちの現実を堅く貧しくしているのだと反論することはできるのでしょうか。「はしがき」より

目次 : フィクションの価値低下のなかでフィクションを問うこと/ ネットもスマホもなかった世界から遠く離れて―『うる星やつら2 ビューティフルドリーマー』『エンドレスエイト』『魔法少女まどか☆マギカ』/ 冥界としてのインターネット―『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』と『serial experiments lain』1/ SFとオカルトの相補性、ホラーとオカルトの相違―『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』と『serial experiments lain』2/ 仮想現実とフィクション―『ソードアート・オンライン』『電脳コイル』『ロボティクス・ノーツ』1/ 多平面的で媒介(間接)的な接触―『ソードアート・オンライン』『電脳コイル』『ロボティクス・ノーツ』2/ 相対性理論的な感情―『ほしのこえ』と『トップをねらえ!』/ 日常としての異世界・中二病―『AURA 魔竜院光牙最後の闘い』と『中二病でも恋がしたい!』1/ 遊技の現実的な作用―『AURA 魔竜院光牙最後の闘い』と『中二病でも恋がしたい!』2/ 量子論的な多宇宙感覚―『涼宮ハルヒの消失』『ゼーガペイン』『シュタインズゲート』1〔ほか〕

【著者紹介】
古谷利裕 : 画家、評論家。1967年、神奈川県生まれ。1993年、東京造形大学卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • へくとぱすかる さん

    世の中が厳しくなると、現実のみに価値を見出すようになり、芸術全般、文学的営為を、価値のないものと見なす風潮が強まっていく。本書に収録された、序説をふくめてのを22の考察はSFアニメを例にひき、歴代の作品がどのように「世界」を取り扱ってきたかを論じながら、現実主義に対して虚構世界の必要性を求めていく。相対論、量子力学はもとより、可能世界・マルチバースについての最新の物理学までを援用した、現実と虚構との関係論は非常におもしろい。近年のSFは難解だが、アニメにもそれは及んでいて、その発想の豊かさには驚かされる。

  • ニョンブーチョッパー さん

    ★★★★☆ とても深い考察に舌を巻く。テーマを絞って、いくつかの作品を対比して考察していて、知っている作品は特に、腑に落ちる箇所も多い。未読、未視聴の作品(『トップをねらえ!』『AURA 魔竜院光牙最後の闘い』『ゼーガペイン』、スピルバーグの『A.I.』)はチャンスがあったら触れてみたい。

  • 左手爆弾 さん

    個別の作品の読解はそれほど感銘を受けなかったが、全体のテーマは非常に興味深かった。今日では「現実」は非常に強力な固定されたものになってしまっている。一昔前までのように、革命や新しい王の誕生によって「世界が変わる」ということを描きにくい。そのような、現実とは別の世界としての「虚構」の意義はせいぜい気晴らしのようなものと見られている。そのような時代の中で、もう一度虚構の意義を多義的な視点から考え直す。

  • 田中峰和 さん

    現実主義に最も近い存在が私小説なら、それに抗するための遠い存在のフィクションは何だろう。著者が現実主義に抗する存在として、題材としたのがSFアニメの世界。序章で述べる中上健次論とSFアニメとのギャップが面白い。「岬」から始まる三部作のテーマを父殺しと定義し、主人公秋幸を体制内アウトローと対置する。そして70〜80年代、アウトロー的ヒーローの雛型として「傷だらけの天使」など私立探偵のブームとなった。86年に「あぶない刑事」が登場し、探偵の要素をもちながも体制内アウトローとして活躍する。SF論より面白い。

  • よいおいこらしょ さん

    量子力学や相対性原理、エディプス・コンプレックスなどなど、物理学から心理学までを取り扱ったサブカル論。攻殻機動隊には電子世界と現実世界の二面性、エンドレスエイトやまどマギには繰り返されるループ性など、アニメを復習しながらサブカルに見られる「世界とは? 虚構と現実の違いは?」の疑問を考察していく。一番印象に残ったのは「攻殻機動隊」や「パトレイバー」をエディプス・コンプレックスに絡めた考察。

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