谷崎潤一郎 性慾と文学 集英社新書

千葉俊二

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784087211306
ISBN 10 : 4087211304
フォーマット
出版社
発行年月
2020年08月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
256p;18

内容詳細

谷崎文学の神髄
性と愛の交響

谷崎潤一郎は「無思想の作家」と称されていた。
階級闘争を標榜したプロレタリア文学が隆盛をきわめた時代も、戦時体制のもとに民族主義的な思潮が台頭した時代も、谷崎は魅惑的な女性の美しさを描くためだけに命をささげ作品を紡いだ。
誰しも政治、実業、学問などで身を立てることを願った、明治という立身出世の時代にあって、なぜ谷崎は社会の変革などよりも官能の充足の方がもっと大切だという人生観を抱くようになったのか。
谷崎研究の第一人者が、その人生と作品群を詳細に検証する。

【主な内容】
・〈神童〉谷崎潤一郎
・聖人願望
・アイデンティティクライシス
・クラフト・エビングからの影響
・マゾヒストの自覚
・谷崎文学の「永久機関」
・谷崎と浄土真宗
・性的欲望との苦闘
・義妹せいと小田原事件
・小田原事件から妻譲渡事件へ
・根津松子との出会い
・女性崇拝の精神谷崎の結婚観
・特異な性的趣向
・夫婦の性的和合
・松子との恋愛の深化
・去勢願望
・谷崎家のホームパーティ
・藝術かワイセツか

【目次】
I 作家の誕生
第一章 〈神童〉のゆくえ ─聖人願望と春の目覚め
第二章 〈性の解放〉へ向かって ─美的生活論からクラフト・エビングへ
第三章 〈永久機関〉の発明 ─『刺青』の基底にあるもの
第四章 痴愚礼讃の系譜─『痴人の愛』の方へ
II 文豪への道
第五章 ヴァイニンガー再読─「タイプ」の発見
第六章 恋愛と色情─妻譲渡事件から『盲目物語』へ
第七章 〈松の木影〉の下─『春琴抄』の到達
第八章 戦中から戦後へ─『源氏物語』現代語訳と『細雪』『少将滋幹の母』
おわりに
資料翻刻 草稿「恋愛と色情」(谷崎潤一郎)

【著者プロフィール】
千葉俊二(ちば しゅんじ)
1947年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、同大学院文学研究科博士課程中退。早稲田大学教育学部教授を経て、早稲田大学名誉教授。専門は日本近代文学。
『文学のなかの科学 なぜ飛行機は「僕」の頭の上を通ったのか』『物語のモラル 谷崎潤一郎・寺田寅彦など』『物語の法則 岡本綺堂と谷崎潤一郎』『谷崎潤一郎の恋文 松子・重子姉妹との書簡集』など著書多数、決定版『谷崎潤一郎全集』(全26巻)の編集委員。





【著者紹介】
千葉俊二 : 1947年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、同大学院文学研究科博士課程中退。早稲田大学教育学部教授を経て、早稲田大学名誉教授。専門は日本近代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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谷崎潤一郎は終生、魅惑的な女性の美しさを...

投稿日:2021/04/25 (日)

谷崎潤一郎は終生、魅惑的な女性の美しさを描き続けた性の問題に突き当たる。谷崎潤一郎は性の対極に死を置いた。とりわけ死と直面する老人の性は死の恐怖から逃れようとする彼自身の問題でもあった。彼の性の解放はすなわち生の解放でもあった

西口まる さん | 大阪府 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • HANA さん

    谷崎潤一郎の作品というとマゾヒズムとフェティシズムと切り離しては考えられないと思う。本書は谷崎の生涯と作品の変遷を、性を通じて読み解いた一冊。彼が読んだ心理学者の説クラフト・エビングやヴァイニンガーの説が丹念に説明されており、それが如何に彼の作品に影響を与えたかという部分が面白い。そういえば大正時代の心理学って変態性欲等が前面に出ていた印象があるな。結婚生活や関西への移住が作品に与えた影響も記しているが、自分はやはり処女作後の諸編の絢爛たる短編が隙かなあ。「少年」を読んだ時の衝撃は今も忘れられないし。

  • 陰翳rising sun さん

    谷崎の生涯を「性欲」で読み解く。氏の作品を読むたびに、性描写の的確さが気になっていた。この本によると、友人の杉田氏から精神病の著書について紹介されたとある。これにより学術的に正しく異常性癖を表したようだ。そして関西移住からの作風の変化について「個」から「類」へとある。谷崎の描く女性が、特定の個人から観念の永遠の女性へと変わった。春琴抄では、佐助が自ら視力を失うことで観念の世界にいる春琴と生きながらにして心まで結ばれる。目に見える世界を解脱して、永遠不変の官能へ。放置プレイで想像を膨らませるのと似ている。

  • 午睡 さん

    これまで未発見・未収録だった書簡や作品が収められた決定版谷崎潤一郎全集の編集委員でもある筆者ならではの谷崎論。さすがに教えられるところが多い。谷崎潤一郎がマゾヒストであることは彼の読者なら容易に感得できることであるが、作家であり医師であった木下杢太郎にカストラチオン( 去勢)を懇願するほどのレベルであったことはあまり知られていないのではないか。 非常に面白いことを認めたうえで、ないものねだりを二つ。読みながらずっと序論を読んでいる気がした。本論、つまりクライマックスに欠ける。江戸川乱歩との隣接も読みたし。

  • Gen Kato さん

    谷崎文学はおもしろい。でも今一つピンと来ない。長いことそう思ってきたのだけど、このごろちょっと考えが変わって来た。「マゾヒストは、実際に女の奴隷になるのではなく、さう見えるのを喜ぶのである」という「利己主義者」の谷崎文学。再読してみようと改めて思う。構想のみで書かれなかった「龕」(「立川流の僧、マゾヒスト或ひはオナニスト」「関係したあとで又その記憶でオナニをし、それが真の恋愛、且仏道の奥義なりとする」)って、読んでみたかったな(完全にどうかしてるけど!)

  • 富士さん さん

    ご本人はただ衝動に突き動かされて活動していただけかもしれませんが、純愛と情欲と生殖が一体でなければ変態だと言われる近代の性の価値観を解体し、情欲による快楽だけを取り出した谷崎潤一郎という人は、とても”思想”的です。飯塚信雄さんが描いたロココの性愛観と、谷崎さんの何でも誰でも情欲をそそるものを追い求める価値観には近いものを感じます。情欲を満たすことによる最高の快感には愛も子供も伴う必要はなく、それだけで独立して得てよいのだし、歴史的に見てそれは変な事ではないと、谷崎さんの存在は示しているのだと思います。

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