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新興大国インドの行動原理 独自リアリズム外交のゆくえ

伊藤融

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784766426953
ISBN 10 : 4766426959
Format
Books
Release Date
September/2020
Japan

Content Description

日本にとって「重要だが理解できない国」インド。中国が存在感を増すなかで、アジアの新たなる大国の、外交の見えざる行動様式をあぶりだす。

目次 : はじめに 「理解できない国」としてのインド/ 第1章 理想主義から現実主義への転換か?(通説としてのインド外交史/ 西洋のレンズでみたインド外交/ インド外交転換論の矛盾/ インドに根ざした国際政治学へ)/ 第2章 DNAとしての戦略文化(大国志向/ 自主独立外交へのこだわり/ 「アルタ的現実主義」の伝統)/ 第3章 外交政策を制約する構造はなにか(脆弱な国民国家―エスニック分離主義への対応/ 弱い連邦政府―中央‐州政治過程の変容/ 域外修正主義と域内現状維持の力学)/ 第4章 インドのおもな対外関係―直面する課題(パキスタンとの「持続的紛争」―対立はなぜ終わらないのか?/ 大国間での多角的外交―「全方位型戦略的パートナーシップ」の意義/ 日印関係の限界と可能性―日本になにを期待するのか?)/ おわりに モディはインド外交を変えたのか?

【著者紹介】
伊藤融 : 防衛大学校人文社会科学群国際関係学科准教授。1969年生まれ。中央大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程後期単位取得退学、法学修士。在インド日本国大使館専門調査員、島根大学法文学部准教授等を経て2009年から現職。専門領域:国際政治学、インドを中心とした南アジアの外交・安全保障(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • 紙狸

    2020年刊行。インド外交の「DNA」というべき特徴を「大国志向」「自主外交」「プラグマティックな思考・行動」という3側面から考察する。3番目については、マウリア朝の宰相カスティリアに帰される書物『アルタシャーストラ』(実利論)の内容まで踏み込んでいく。紙狸は、インド外交といえばネール首相の非同盟と1990年以降の核武装を連想していたが、この本によって独立後のインド外交が線としてつながり、かつ2千年の伝統に触れることができた。日本人は中国については春秋戦国時代まで視野に入るが、インドも同様に古い。

  • Marcel Proust

    世界最大の人口を抱え、日本にいても存在感を感じるインドだが、我々は現代インドをほとんど知らないのではないか。本書はインドを中心に見た南アジア地域の関係性と、古代から伝わる思考様式をベースにして、現代インドの自主性を保ちながら、実利を優先する外交の行動原理を解説している。「世界最大の民主主義国」の看板を持つが、多民族国家の中でヒンドゥー至上主義の指導者を持ち、強権的な統治と言論の自由の規制をするなど、著者はインドの報道されない負の側面も指摘している。類書が少ない中、現代インドを学べる大変優れた本だと思う。

  • Koki Miyachi

    世界最大の人口を擁する新興大国インド。一方で、多角的外交を展開するインドは分かりにくい国という印象がある。その行動の根底にある原理や背景を解き明かすのが本書の眼目だ。筆者は国内の異なるプレイヤー、外交上の関わりがある各国や各陣営の視点を通して、鮮やかにインドの行動を説明する。ネルー以来の非同盟の信念、インド社会に古くから根付く考え方、周辺諸国との紛争、国内体制の脆弱さ、米中といった大国との関わり方、これらが混然一体となって全方位的戦略的外交に向かう理由が謎解きのように見えてくる。実に見事である。

  • tenorsox

    インドの外交政策(とそれに関連する内政)の変遷について。 同国が3つの顔(南アジアの盟主、中国と並ぶ国際社会の次世代リーダー候補、発展途上国の利益代表)を持ち、それらを全うするために隣国(🇵🇰🇱🇰🇧🇩🇳🇵)や大国とどう向き合ってきたか&その背後にはどのような事情があったのかについて防衛大の准教授が一般人にも(多少は)理解できるよう丁寧にまとめている。 外交なんてどの国もそう単純ではないと思いつつ、それでもあの中国が仮想敵でライバルでたまに共闘というのは大変だろうなあと思いつつ読了。

  • RYU

    理解できない国インドの行動原理について。インド外交には、DNAとして、大国志向、自主独立外交、アルタ的現実主義の3つを受け継いでいる。インド政治思想にはダルマとアルタの2つの伝統思想が存在し、ネルーでさえダルマのみにしたがっていたわけではない。どんな相手であろうと臨機応変に対応することができる、と考えている。またモディ首相にとって、ヒンドゥーを中心としたインド、は信念であり、権力維持のための手段でもある。

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