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ISBN 10 : 4865284915
Content Description
なんと漂流、脱獄、逃走が多かったことか。親のない子、親から離れた子の話が多かったことか。何もかもが旅でした。まるでそれが、児童向け図書の目的であるといわんばかりに。おとなたちは、だれもが戦争を生き延び、戦後を生きていた。全集の企画者も、翻訳者も、編集者も、そして買ったおとなも、私の父も、心のどこか奥底で、それを、子どもたちに、私に、手渡したかったのだとしか思えないのです。家から出ていけ。漂流しろ。路上で暮らせ。逃げろ。闘え。その結果、私たちが得られるものとは、家族とか家庭とかいうものから解放されることでした。
目次 : エルマーのぼうけん/ わたしのおとうさんのりゅう エルマーのぼうけん/ ルーシーのむしめがね エルマーのぼうけん/ 井伏鱒二の敬語 ドリトル先生アフリカゆき/ ネコ肉屋の体臭/ 銚子の海/ おじさんの本棚/ 兄きと姐さん/ 背中の刺青/ 昭和の文体 少年少女世界名作文学全集/ 父の戦争/ 父の軍歴/ サカナとヤクザ/ ペペルモコ/ 暴力の港/ ピピネラと私 ドリトル先生のキャラバン/ その男たち 風にのってきたメアリー・ポピンズ/帰ってきたメアリー・ポピンズ/ 動物を殺す シートン動物記/ コヨーテの声 シートン動物記/ 母系/ 母の戦争/ 母の「生きる」
【著者紹介】
伊藤比呂美 : 1955年東京都生まれ。詩人、小説家。78年、詩集『草木の空』でデビュー、同年現代詩手帖賞受賞。80年代の女性詩ブームをリードし、「育児エッセイ」分野も開拓。2018年から21年、早稲田大学教授。06年『河原荒草』で高見順賞、07年『とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起』で萩原朔太郎賞、08年紫式部文学賞、15年早稲田大学坪内逍遙大賞、19年種田山頭火賞、20年チカダ賞、21年『道行きや』で熊日文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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