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翠雨の人

伊与原新

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784103362159
ISBN 10 : 4103362154
Format
Books
Publisher
Release Date
July/2025
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

科学の目的、それは人類を幸せにすること。「なぜ雨は降るのだろう」。少女時代、素朴な疑問を抱いたことから理系の道を歩んだ猿橋勝子。戦時下で科学と戦争の関係を問い続けた勝子は、戦後、ビキニ水爆実験による放射能汚染の実態究明に打ち込んでいく―。『藍を継ぐ海』『宙わたる教室』の著者が、構想10年、満を持して描く!直木賞受賞第一作。渾身の長篇小説。

【著者紹介】
伊与原新 : 1972年、大阪生れ。神戸大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻し、博士課程修了。2010年、『お台場アイランドベイビー』で横溝正史ミステリ大賞を受賞。2019年、『月まで三キロ』で新田次郎文学賞、静岡書店大賞、未来屋小説大賞を受賞。2024年、『宙わたる教室』が第70回青少年読書感想文全国コンクール課題図書(高等学校の部)に選出、NHKでドラマ化され話題となる。2025年、『藍を継ぐ海』で第172回直木三十五賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • パトラッシュ

    科学に絡むミステリや人情ドラマを描いてきた著者が、初めて手掛けた実在人物の評伝小説。地球化学者として有名な猿橋勝子が男性優位社会の学界で理解者に恵まれ、独自の分析法を考案するなど実力を認められ女性科学者の先駆として活躍するまでを描く。吉岡彌生に小馬鹿にされた怒りから科学者を志し、日本女性の代表として海外で核実験禁止を訴え、ビキニ水爆実験による放射能汚染検出を巡り勝子を下に見るアメリカの研究者をやり込めるなど決して諦めない強さが痛快だ。NHKの朝ドラの素材になりそうだけど、政治的な話が多いので無理だろうな。

  • tamami

    直木賞作家、伊予原新さんの最新作。新潮社のPR誌「波」に長く連載されていたもの。猿橋勝子さんについての人となりや生涯を、本作で初めて知ることができました。女性科学者として、戦中から戦後にかけて、日本に彼女のような先達がいたことに、心から大きな感動を受けました。史実を基にしたフィクションとのことであるが、的確な描写に彩られた文章は大変読みやすく、郷里の諏訪の情景も出てきて親しみを覚えました。歴史の大きな流れにあって、多くの思惑が交錯する中、無心に試料に向き合う行為の中に科学がある、という言葉が印象に残った。

  • hiace9000

    新緑の時期、紫陽花の花を濡らす雨のことを「翠雨」というのだそう。愚直なまでに謙虚に、「面倒くさい」ほど真面目に研究を愛し、科学を信じ人生を捧げた女性研究者・猿橋勝子の魁たる生き方は、慈雨の如き静けさで読後の胸に深く染み渡る。科学への崇高な信頼、科学が果たすべき使命を情熱に変える伊与原さんゆえ描き得た、見事なる「人描き」。膨大な資料に基づく精緻な筆致はフィクションとはいえ、巧みな視点人物の遷移と構成とも相まって、伊与原文学の本領発揮ともいえる納得の読み応えである。紫陽花の花言葉は、「辛抱強さ」なのだという。

  • 名古屋ケムンパス

    猿橋賞の名前は知っていましたが、こんな立派で誠実で実徳のある女性科学者に因んだ顕彰制度だとは知りませんでした。東日本大震災でセシウム137という自然界には存在しない放射性物質があることを思い知らされましたが、第五福竜丸の被爆を切っ掛けに、放射性物質の濃度測定法を独自に開発し、地道にその精度を高めていった女性技官がいたとは想像もしていませんでした。米国の分析機関との精度競争に単身で乗り込み、見事に勝利した功績が核実験を押し止める成果に繋がった功績の大きさに驚きと称賛を禁じえません。

  • tetsubun1000mg

    冒頭に小学校時代のエピソードが有ったので、「猿橋賞」を創立した方の物語だと気が付いた。 新聞に顕著な功績をあげた女性研究者に付与される賞だと紹介記事が有ったので気になっていた。 戦前の時代に女性で理系に進む学生は少なかったと思われるが、親と兄弟の理解により医学専門学校ではなく理学専門の新設校を選ぶのが人生の岐路だったのでしょう。 筆者が地球物理学専攻だったので、猿橋氏への情報は有ったのでしょうが、巻末の参考文献が50冊くらいの著作や英語の論文があったのも驚きでした。 ものすごい量の下調べがあったのですね。

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