磔のロシア スターリンと芸術家たち 岩波現代文庫

亀山郁夫

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784006021788
ISBN 10 : 400602178X
フォーマット
出版社
発行年月
2010年11月
日本
追加情報
:
15

内容詳細

作家ブルガーコフ、詩人マンデリシターム、詩人マヤコフスキー、作家ゴーリキー、作曲家ショスタコーヴィチ、映画監督エイゼンシテイン。スターリンによる大粛清の時代をかい潜った六人の作家や芸術家たちは、「独裁」といかに闘い、サヴァイヴしたのか?一九九〇年代以降に公開された文献をもとにその真相に迫る、著者入魂の大佛次郎賞受賞作。二〇世紀初頭の終末論的熱狂を考察した『終末と革命のロシア・ルネサンス』の続編。

目次 : 独裁者殺し―ブルガーコフ『バトゥーム』の世界/ 恐怖という詩神―マンデリシタームのスターリン頌歌/ 鬱とテロル―マヤコフスキーの死と真実/ 熱狂を見つめて―ゴーリキーはなぜ殺されたか/ テロルと二枚舌―ショスタコーヴィチの闘い/ 衝突とカーニバル―エイゼンシテインにおける革命と権力の表象/ 来るべきスターリン学のためのささやかな里程―岩波現代文庫版あとがきに代えて

【著者紹介】
亀山郁夫 : 1949年栃木県生まれ。東京外国語大学外国語学部ロシヤ語学科卒業。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京外国語大学長。専門はロシア文学・ロシア文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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 現代日本におけるロシア文学界の権威であ...

投稿日:2021/04/14 (水)

 現代日本におけるロシア文学界の権威である亀山先生による、スターリン時代のソビエトにおける芸術家たちの活動の記録です。その中の1章が「テロルと二枚舌〜ショスタコーヴィチの闘い」に充てられています。  内容は、スターリンからの批判に「答えた」とされる交響曲第5番から説き起こし、その批判の対象となった「ムツェンスク郡のマクベス夫人」の何がスターリンに嫌われたのか、批判を受けて撤回した交響曲第4番とはどんなものだったのか、「批判に答えた」とされる交響曲第5番に引用・埋め込まれた「秘密」などについて論じています。  先生は1994年に初めてショスタコーヴィチの音楽に向き合ったそうなので、2002年に発表されたこの本で、音楽が専門ではないながらここまで深く議論を進めていることには驚きです。根っからの音楽好きと、ロシアの歴史や文化や人間性に(もちろん言語にも)精通された先生のなせる業なのでしょう。  先生はこの本以降さらに深く広く音楽を聴き、内外のショスタコーヴィチの研究や文献にあたられて、その集大成として2018年に「ショスタコーヴィチ〜引き裂かれた栄光」を公表されています。ショスタコーヴィチが目当てなら「ショスタコーヴィチ〜引き裂かれた栄光」の方をお勧めしますが、それ以外のスターリン時代の芸術家として、小説家、詩人、映画監督(セルゲイ・エイゼンシテイン)などにも興味があれば、ぜひこの本もお読みになってはいかがでしょうか。 (星の「マイナス1」は、ショスタコーヴィチ以外は興味の対象外であったから)

Tan2 さん | 神奈川県 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 燃えつきた棒 さん

    暗鬱な読書だった。 僕が見出したのは、「二枚舌」によってしたたかに生き延びる芸術家たちの姿ではなく、絶対権力者の気まぐれに翻弄される彼らの「個の脆弱性」だった。 【「旧約の神」にも等しいその独裁者は、かつて詩人が、風刺の唾を吐きかけた相手でもある。いま、詩人は、その絶対者を前にしては、限りなくゼロに近い弱者でしかないが、それでも、完全に無力な姿をさらして生きているわけではない。詩人には、衰えることを知らない一つの稀有な力が授かっている。その力とは「二枚舌」である。】(「はじめに」)

  • tsubomi さん

    2016.02.20-03.08:「終末と革命のロシア・ルネサンス」でロシア・アヴァンギャルドを取り上げた著者がスターリン粛正時代について書いたもの。マヤコフスキー、ゴーリキー、ショスタコーヴィチなど有名な人物がいかにしてその時代を乗り越えまたは乗り越えられなかったか、の詳細が語られます。実に恐ろしいのは、昨日まで体制側/権力者側だった人が今日には逆の立場になって逮捕・処刑されてしまうこと。そして誰も彼もがスパイであること。その徹底した作戦ぶりは「トゥルーマン・ショー」かというくらい。実に戦慄の時代。

  • どら猫さとっち さん

    スターリンの独裁政権下で、彼らはどう生き抜いたのか。6人の作家や芸術家たちの苦闘と数奇な人生の書。そのなかに登場したショスタコーヴィチは、以前「ショスタコーヴィチとスターリン」で読んだし、マヤコフスキー、ブルガーゴフやエイゼンシテインは、著者がテレビ出演したNHKの番組で見ていたので、多少は記憶している。しかし、ゴーリキーは暗殺説があったのは、驚きだった。

  • 壱萬弐仟縁 さん

    磔は「はりつけ」というのは知らなかった。こんな漢字も知らなかった。ブハーリンのいう「社会主義とヒューマニズム」とは、「全面的な発展、多面的な(物質的にも「富裕な」)生活を願う心」であり、「最大限の発展の自由」がその尺度となるような社会の建設が目ざされるべき(177-8ページ)。諸個人の人間性が社会発展にどう関わるか、は経済体制問わず、社会にとって重要な視点といえよう。2002年初出、3・11直前の発刊であるが、「廃墟のなかでこそ、芸術と生活が、隣同士で仲良く呼吸することができる」(388ページ)。脱廃墟。

  • BATTARIA さん

    メイエルホリドは処刑されたのに、なぜよりあからさまにスターリンをコケにしたマンデリシュタームは流刑止まりで、ショスタコービッチはスターリンにボロクソに言われたのに、なぜ逮捕すらされなかったのか、謎が解けた。スターリンといえども手を出せない聖域があったこと。そしてこれでもかってくらいに石橋を叩いても渡らない、慎重にも慎重を重ねたことが、スターリンが権力を死ぬまで維持できた秘訣だったわけか。ショスタコービッチの交響曲第5番で、木琴を演奏したことがあったが、この本を読んでいたら、大太鼓をやっていたものを。

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人物・団体紹介

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亀山郁夫

1949年、栃木県生まれ。ロシア文学者、名古屋外国語大学学長。東京外国語大学外国語学部卒業、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。天理大学、同志社大学を経て、1990年より東京外国語大学外国語学部助教授、教授、同大学学長を歴任。2013年より現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載

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