「価値を否定された人々」 ナチス・ドイツの強制断種と「安楽死」

中野智世

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784794811929
ISBN 10 : 4794811926
フォーマット
出版社
発行年月
2021年10月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
330p;20

内容詳細

本書は、ナチス・ドイツの強制断種政策と「安楽死」の歴史を、最新の研究成果に基づいて明らかにしようとする試みである。ナチ体制下のドイツでは、ユダヤ人のみならず、病気や障害のある人々、社会規範に逸脱すると見なされた人々が、優生学を背景とする政策によって「価値のない」「社会の負担となる」存在として強制的に断種(不妊化)され、戦時下においては秘密裡に殺害されていた。これらの措置の犠牲になった人々の数は、強制断種が四〇万人、「安楽死」が三〇万人とされている。本書は、この事象の計画や実行のプロセス、思想的背景、加害者となった医療や福祉関係者、および犠牲者とその家族の姿などを描くとともに、この問題が長きにわたる忘却と隠蔽の時代を経て、近年ようやく「ナチの不正」として謝罪と補償、そして追悼の対象となるまでの道のりを明らかにする。

目次 : 第1章 優生学とナチス・ドイツの強制断種手術(優生学とは/ ヴァイマル共和国時代の優生学 ほか)/ 第2章 「安楽死」という名の大量虐殺―その始まりと展開(「良い死」と大量殺害―安楽死という言葉をめぐって/ さまざまな殺害―ナチスによる「安楽死」の概観 ほか)/ 第3章 「安楽死」の犠牲者―バイエルン地方のある精神病院の事例から(エグルフィング・ハール精神病院/ 「安楽死」の展開と犠牲者の経験 ほか)/ 第4章 強制断種・「安楽死」の過去の戦後ドイツ(関与した者たちはどう裁かれたのか/ 医学界はナチの過去とどのように向き合ってきたのか ほか)

【著者紹介】
中野智世 : 成城大学文芸学部教授。専門はドイツ近現代史・社会史

木畑和子 : 成城大学名誉教授。専門はドイツ現代史

梅原秀元 : 立教大学文学部特任准教授。専門は近現代のドイツをフィールドに医学史・科学と社会の関係の歴史・社会史

紀愛子 : 早稲田大学等非常勤講師。専門はドイツ現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • かさお さん

    ヒトラーは1929年ナチ党大会で「産まれてくる子供が年間100万人として、そのうち70〜80万人の最弱者を殺せばドイツ国民の力が上昇する」と演説した。優生学の観点から精神薄弱者、反社会的、非生産的な人物は国家にとって役に立たない「価値の無い者」とされ赤ん坊から年寄りまで強制的に施設に送られ断種や安楽死させられた。ユダヤ人だけでは無かった。法律も無いまま各地の医療専門機関等で殺人が合法的に行われ、カルテに書かれる言葉1つで家族を失う恐怖。私には耐えられない。対戦終了時のデータ。断種40万人、殺害30万人。

  • 金吾 さん

    おぞましい話です。このような同種内の仕分けを平気で出来る部分は戦い続けている大陸民族の特性のひとつではないかと思い、恐怖を感じました。

  • Aby さん

    ナチス政権下での優生学と強制断種,「安楽死」について,日本人の研究者による本は,米本昌平「遺伝管理社会 ナチスと近未来」(1989,弘文堂)以来.それ以外は,翻訳ばかりだったが,研究が随分と進んでいる.◆優生学自体はナチス・ドイツに限ったことではなく(日本も受容していた),家畜の品種改良と同じように人種を改良する.社会にとって「価値の低い/ない人」を間引く.「飢餓病院」「殺害精神病院」という字面だけでも恐ろしいが,それを同情や慈悲による「安楽死」という.

  • Go Extreme さん

    ある一人の安楽死犠牲者 優生学とナチス・ドイツの強制断種手術:優生学とは ヴァイマル共和国時代の優生学 安楽死という名の大量虐殺―その始まりと展開:「良い死」と大量殺害―安楽死という言葉をめぐって さまざまな殺害―ナチスによる「安楽死」の概観 「安楽死」の犠牲者―バイエルン地方のある精神病院の事例から:エグルフィング・ハール精神病院 安楽死の展開と犠牲者の経験 強制断種・「安楽死」の過去の戦後ドイツ:関与した者たちはどう裁かれたのか 医学界はナチの過去とどのように向き合ってきたのか 被害者に対する戦後補償

  • ワッキー提督 さん

    ナチスによる障害者らを対象とした「強制断種」と「殺害」の2つの政策が、どのような思想的背景から生まれ、実行され、大戦後それがどのように捉えられたのか。その変遷と実像の現在の研究状況について平易に紹介する一冊。ナチス以前から優生学をはじめとする思想的背景があったこと、加害者の側が戦後もドイツ社会において発言力を残したため、補償や反省の動きが遅れたことは、ぼんやりと知っていたが、本書を読むことでより鮮明にその実像を掴むことが出来た。 現代の日本にも、深く関係する問題であると、障害当事者として強く主張したい

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