ヴィトルト・シャブウォスキ

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踊る熊たち 圧制下の日々を懐かしむ人びと

ヴィトルト・シャブウォスキ

User Review :3.0
(1)

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784560098233
ISBN 10 : 4560098239
Format
Books
Publisher
Release Date
February/2021
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

目次 : 第1部(愛/ 自由/ 交渉/ 歴史/ 本能/ 冬眠/ ライオンをアフリカへ/ 去勢/ 踊る熊たち/ 結末)/ 第2部(愛―キューバ‐マクドナルド革命到来/ 自由―ポーランド/英国―レディ・ペロン/ 交渉―ウクライナ‐密輸業者にはピーッと鳴らない/ 歴史―アルバニア‐コンクリート製きのこの終焉/ 本能―エストニア‐占領者とお茶を/ 冬眠―ポーランド‐国営農場のホビットたち/ ライオンをアフリカへ―セルビア‐ポップアート・ラドヴァン コソボ‐セルビア人に鶏を/ 去勢―グルジア‐スターリンの巫女たち/ 踊る熊たち―ギリシャ‐資本主義を一掃しよう)

【著者紹介】
ヴィトルト・シャブウォフスキ : 1980年、ポーランド北東部の町オストルフ・マゾヴィェツカ生まれ。ワルシャワ大学卒業後、トルコのイスタンブールで政治学を学ぶ。帰国後、報道記者としてキャリアを開始。2006年、全国紙「ガゼタ・ヴィボルチャ」の週刊付録「ドゥジィ・フォルマト」に最年少レポーターとして参加、2016年まで世界各地を精力的に取材。2010年、初の著書Zab´ojca z miasta moreli.Reporta`ze z Turcji(『杏の町から来た殺人者、トルコからのルポルタージュ』)を上梓。同書でベアタ・パヴラク記念賞を受賞、英語版は英国ペンクラブ賞を受賞。2010年、EUに殺到する不法移民を扱った記事で欧州議会ジャーナリズム賞を受賞。2013年、ウクライナ蜂起軍による大虐殺に関するルポでリシャルト・カプシチンスキ記念PAP賞を受賞。2014年、『踊る熊たち―冷戦後の体制転換にもがく人々』を刊行。英語版はエドワード・スタンフォード・トラベル・ライティング賞にノミネートされた。ワルシャワ在住

芝田文乃 : 1964年神奈川県生まれ。筑波大学芸術専門学群卒業。ポーランド語翻訳者、写真家、エディトリアル・デザイナー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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悪いとは思わないが、素晴らしいと絶賛でき...

投稿日:2021/06/14 (月)

悪いとは思わないが、素晴らしいと絶賛できるほどではない。読後の感興としては同じポーランド人によるものとしては『アウシュヴィッツ後の反ユダヤ主義』には全く及ばない。 ただ、それでも冒頭の熊の話は興味深い。ブルガリアで伝わる「踊る熊」で見世物になっていた熊たちが、解放されたものの、徹底して管理された森に押し込められる。もちろん、見世物時代に、実質的には虐待と言える扱いからは解き放たれたわけだが、管理された森で手にした「自由」に関しても何か違うと感じざるを得ない。 また、グルジアのスターリン博物館に務める人々の心情も不思議だ。スターリンの誤りや犯罪は明らかだと思うのだが、それを認めない人が少なくない。これは第二次世界大戦中の日本の支配層に対する一部の人たちの評価と通じるものがある。プーチンやトランプ、習近平といった政治家が支持される理由と繋がっているだろう。 訳者が「訳者あとがき」で触れているように、「熊」にも社会主義崩壊後(キューバは違うが)に資本主義に転換した国で苦闘する人たちにも「自由」への戸惑いは共通している。ただ、「自由」の難しさを予見することはそれほど難しかったのだろうか(私の周囲には、私を含め、それなりの人が予見していた)。多くの人が意図的に触れなかった気がしてならない。

ねも さん | 兵庫県 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • アナーキー靴下

    伝統であった熊使いが動物虐待と認定され、解放された熊たちは自由を得たはずだった。その踊る熊たちに重ね合わせるように、共産主義体制崩壊後の人々の苦悩を見せるルポルタージュ。共産圏の人から見たら、西側の人間は皆、エンデの「モモ」の灰色の男のように見えるだろうか。数十年、或いは数世紀を経れば、尊厳など皆無の劣悪な環境は犯罪であったと一元化できるのかもしれない。しかし異なる価値観の中で生きてきた人にとっては一生が過渡期、割りきれぬ思いを抱えたまま、それでも人生は続く。万民のハッピーエンドはない。重い内容だが傑作。

  • syaori

    ポーランドの作家によるルポ。1部ではセンターに集められ「自由」を学ぶことになったブルガリアの熊使いの熊たちを、2部では独裁から資本主義への体制転換で熊同様「自由に対処」することになった旧共産圏の人々を追ってゆきます。浮かび上がるのは突然の価値・体制変換のなかでもがく人々で、同時に資本主義下の「自由」は失業や困窮など、苦しく不安でもあるということ。まさに「人の数だけ」あり、単純な肯定や否定では測れないその声の中で、自由の「対価」、「痛」みを「払う覚悟はあるだろうか?」という作者の問いが棘のように残りました。

  • ヘラジカ

    ソ連崩壊後に共産主義から資本主義への体制転換を余儀なくされた国々を、ブルガリアの伝統芸「踊る熊」の終焉と重ね合わせ、当時と現在の人々の痛みを活写したルポルタージュ。資本主義からすれば自由の勝利として片付けられ勝ちな一幕が、末端の人々にどのような苦悩と当惑をもたらしたか。動物愛護の観点から保護された熊たちは、そのまま変化にもがく人々の比喩になっている。解き放たれ自由になり、でもそれには限度があって、馴染める者もあれば長らく馴染めない者もいた。第一部を世界の旧共産諸国に拡大、対応させた第二部も素晴らしい。

  • キク

    社会主義国家の崩壊により、自由を手にしたはずの「見せ物用の踊る熊」と「社会主義体制の犠牲者としての国民」。でも熊使いから解放された熊は、保護施設内でも踊ることをやめない。社会主義体制で育った国民は、熾烈でスピードの速い資本主義社会の競争に参加できないと戸惑う。染み込んだ価値観は例え鼻輪が外されても、国家体制が変わっても、今更簡単には変えられない。慣れ親しんだ強制された生き方から、解放されることが必ずしも幸せとは限らなかった。読んでて、今の僕たちも多分何かしらの鼻輪を付けられているんだろうなと思った。

  • つちのこ

    熊使いのロマたちから引取られた踊る熊たち。歯を抜かれ、鼻鎖をされ、アルコール漬けにされた熊たちは、楽器の伴奏に合わせて後ろ足で立って踊り、小金を稼ぐ。共産主義体制の終焉とともに熊たちは自由の身になるが、人間の匂いや声に敏感に反応し、ほとんどの熊が再び踊り出す。突然与えられた自由に対処できない哀しさがそこにはある。後半ではソ連崩壊後の旧共産主義諸国で、自由を受け入れられず右往左往する経済的弱者の人々を描く。真の自由とは何か?自由の価値観を問いかけ、つかみ取ることの難しさを踊る熊に重ねた渾身のルポである。

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