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ISBN 10 : 4560090270
Content Description
「神の肉」を食べたために、知性が発達した犬とのインタビューをはじめ、「神の不在」がもたらす倫理的な問いを受け止めつつ、ポップな感性から切り込んだ、異色の連作短篇集。ニューヨーク公立図書館若獅子賞受賞作品。
──そう、その後、私と弟は群れに戻って、決意したよ(といっても、犬にできる程度の決意なんだが)。満腹で死んでしまうよりは、空腹だが生きているほうがましだとね。ジャンジャウィードが移動しているのだから、我慢してさえいればそのうちご褒美があることはわかっていたしね。二日後、私たちは肉が焦げる匂いをたどり、瓦礫と化した難民キャンプに到着した。そのとき、今ではすっかり有名になった私たち五匹は、創造主を食べた。(「神を食べた犬へのインタビュー」より)
あるときはカーヴァー風のリアリズム、またあるときはヴォネガット風の近未来SFと、実にさまざまな語り口から、神を失った世界に生きる人々の姿が描かれていく。(「訳者あとがき」より)
全米で話題騒然の新人による、異色の連作短篇集
「神がなければすべてが許される」のか? ひねりの効いた語りに、真摯な思いが交錯する。異彩が放つ鮮烈デビュー作!
*「神は死んだ」紛争のさなかのスーダン・ダルフール地方。神は現地のディンカ族の若い女性として姿を現す。米ブッシュ政権のパウエル国務長官は、神と難民キャンプで出会い、自らの過去に対する贖罪を試みる。しかしそこに、武装勢力が迫ってくる……。
*「小春日和」お互いに銃を突きつけ合い、カウントダウンを始める二人の若者が、お互いの脳味噌を吹っ飛ばした。神を失い、すべてを「さっさと終わりに」しようと無軌道に暴走する十人の大学生たち。ささくれ立った語りが疾走する。
*「神を食べた犬へのインタビュー」「神の肉」を食べたために、知性が高度に発達した犬への突撃取材の記録。周囲の人間の思惑に翻弄される犬と仲間たちの流転を通じて、世界に対する悲しみとともに、「人間性」そのものが問われていく。
[目次]
神は死んだ
橋
小春日和
偽りの偶像
恩寵
神を食べた犬へのインタビュー
救済のヘルメットと精霊の剣
僕の兄、殺人犯
退却
謝辞
訳者あとがき
[原題]GOD IS DEAD
ロン・カリー・ジュニア Ron Currie Jr.
1975年アメリカ・メーン州生まれ。処女作の本書で、優れたアメリカの若手作家に贈られる、「ニューヨーク公立図書館若獅子賞」を受賞する。2009年、初長篇のEverything Matters!を発表。世界の終わりが来る日を生まれたときから知ってしまった男の人生を、ユニークな語りの視点から辿る。2013年の最新作である第二長篇Flimsy Little Plastic Miraclesは、偶然によって『ハリー・ポッター』を超えるベストセラー作家となった男の恋愛劇と、彼の父の死をめぐる追想、人工生命が自己意識を持ち始める瞬間へのオブセッションが絡み合う構成を取っている。
【著者紹介】
ジュニア,ロン・カリー : 1975年アメリカ・メーン州生まれ。処女作の『神は死んだ』で、優れたアメリカの若手作家に贈られる、“ニューヨーク公立図書館若獅子賞”を受賞する。2009年、初長篇のEverything Matters!を発表
藤井光訳 : 1980年大阪生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。同志社大学文学部英文学科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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