ロン・カリー・ジュニア

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神は死んだ エクス・リブリス

ロン・カリー・ジュニア

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784560090275
ISBN 10 : 4560090270
Format
Books
Publisher
Release Date
April/2013
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

「神の肉」を食べたために、知性が発達した犬とのインタビューをはじめ、「神の不在」がもたらす倫理的な問いを受け止めつつ、ポップな感性から切り込んだ、異色の連作短篇集。ニューヨーク公立図書館若獅子賞受賞作品。


──そう、その後、私と弟は群れに戻って、決意したよ(といっても、犬にできる程度の決意なんだが)。満腹で死んでしまうよりは、空腹だが生きているほうがましだとね。ジャンジャウィードが移動しているのだから、我慢してさえいればそのうちご褒美があることはわかっていたしね。二日後、私たちは肉が焦げる匂いをたどり、瓦礫と化した難民キャンプに到着した。そのとき、今ではすっかり有名になった私たち五匹は、創造主を食べた。(「神を食べた犬へのインタビュー」より)


あるときはカーヴァー風のリアリズム、またあるときはヴォネガット風の近未来SFと、実にさまざまな語り口から、神を失った世界に生きる人々の姿が描かれていく。(「訳者あとがき」より)


全米で話題騒然の新人による、異色の連作短篇集
「神がなければすべてが許される」のか? ひねりの効いた語りに、真摯な思いが交錯する。異彩が放つ鮮烈デビュー作!
*「神は死んだ」紛争のさなかのスーダン・ダルフール地方。神は現地のディンカ族の若い女性として姿を現す。米ブッシュ政権のパウエル国務長官は、神と難民キャンプで出会い、自らの過去に対する贖罪を試みる。しかしそこに、武装勢力が迫ってくる……。
*「小春日和」お互いに銃を突きつけ合い、カウントダウンを始める二人の若者が、お互いの脳味噌を吹っ飛ばした。神を失い、すべてを「さっさと終わりに」しようと無軌道に暴走する十人の大学生たち。ささくれ立った語りが疾走する。
*「神を食べた犬へのインタビュー」「神の肉」を食べたために、知性が高度に発達した犬への突撃取材の記録。周囲の人間の思惑に翻弄される犬と仲間たちの流転を通じて、世界に対する悲しみとともに、「人間性」そのものが問われていく。


[目次]
神は死んだ

小春日和
偽りの偶像
恩寵
神を食べた犬へのインタビュー
救済のヘルメットと精霊の剣
僕の兄、殺人犯
退却
謝辞
訳者あとがき


[原題]GOD IS DEAD


ロン・カリー・ジュニア Ron Currie Jr.
1975年アメリカ・メーン州生まれ。処女作の本書で、優れたアメリカの若手作家に贈られる、「ニューヨーク公立図書館若獅子賞」を受賞する。2009年、初長篇のEverything Matters!を発表。世界の終わりが来る日を生まれたときから知ってしまった男の人生を、ユニークな語りの視点から辿る。2013年の最新作である第二長篇Flimsy Little Plastic Miraclesは、偶然によって『ハリー・ポッター』を超えるベストセラー作家となった男の恋愛劇と、彼の父の死をめぐる追想、人工生命が自己意識を持ち始める瞬間へのオブセッションが絡み合う構成を取っている。



【著者紹介】
ジュニア,ロン・カリー : 1975年アメリカ・メーン州生まれ。処女作の『神は死んだ』で、優れたアメリカの若手作家に贈られる、“ニューヨーク公立図書館若獅子賞”を受賞する。2009年、初長篇のEverything Matters!を発表

藤井光訳 : 1980年大阪生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。同志社大学文学部英文学科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • 藤月はな(灯れ松明の火)

    受肉し、地に降り立った神は爆撃によって実際、死んだ。神を救おうとして全てを捨てた殉教者であると同時に爆撃を行ったアメリカでの重要人物であったがために湯ユダであった人物、爆散した神の肉を喰らって生きた犬たちの生き残り、インターネット上の神に縋ることで親への不満と自己正当化しようとした青年、妊娠を拒んでいた恋人の発言に「是」と答える青年。「人はなぜ、分かり合おうとせずに同胞同士で憎み、争い、殺し合うのか」、「人は神という存在に依存する存在か」という永遠の問いである、人間の業を痛烈に、そして温かく、描いた作品集

  • けい

    創造主である神がこの世に現れ、戦争に巻き込まれて死ぬことにより世界がどの様に変化していくかを合衆国の人々を舞台に描いた短編集。伊坂さんの「終末のフール」に通ずる世界観とも言えるが、騒乱初期からを短編で描きこんでいる分、表現にえぐい所が多い。最初は世界観に入りづらい面を感じましたが、一度入り込んでしまうと逃れられない状態となり、きっちり読まされてしまいました。読後感は悪くもなく良くもなく、なんか不思議な感じです。

  • 白玉あずき

    残酷で哀れで、それでも面白かった!信仰が失われた後の戦争が、ポストモダン人類学軍と進化心理学軍の間で戦われているという設定には笑えた。私としては最大多数の最大幸福に寄与するなら、「神」であろうが合理主義的思想であろうがかまわないのだけど。同じ「信仰」を持たせるには暴力的強制は避けられない哀しさ。ハチャメチャでぶっ飛んでいて、笑えて泣ける。

  • かもめ通信

    待ち構えていたのはニーチェどころではない思い切った設定。なにしろ「神」ときたらこの連作短編集の巻頭作品でもある表題作であっけなく死んでしまうのだ。著者の、そして訳者のうまさもあるのだろう、現在社会に対する痛烈な皮肉がこめられた重いテーマであるに関わらず、あれこれ考え込む隙を与えず最後まで読み切らせてしまう。だがしかしここに描かれているあれこれは決して「神が死んだ」ために出現した世界ではなく、信仰の如何に関わらず人間の存在そのものが愚かしいものであることを告発しているようにも思われた。

  • りつこ

    これはまた独特な作品。奇想のようなSFのようなふざけているような大真面目なような…。1話目には戸惑ったのだが、読み進めるうちにどんどん楽しくなってきた。とはいっても楽しい世界では決してないのだが。信仰を持たない私にはこんな風に神が無力なように描かれることに「大丈夫なの?」と驚いてしまうのだが、しかしここに描かれる狂った世界は私たちのいるこの世界とあまり違いはなくて、それが恐ろしい。全てを理解できたわけでは読み物としてとても楽しんだ。

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