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日本古典と感染症 角川ソフィア文庫

ロバート・キャンベル

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784041099421
ISBN 10 : 4041099420
Format
Books
Publisher
Release Date
March/2021
Japan

Content Description

医学や科学が現代よりも発達していなかったころ、人々は未知の感染症をどのようにとらえたか。感染症はいかにして広がり、そしてその困難の中、人はどのように希望を見出していったのか。『万葉集』に残る天然痘の挽歌、『源氏物語』に描かれるマラリア『方丈記』養和の飢饉、『徒然草』などが描く流言蜚語、江戸時代の三密回避「はしか遠慮」、夏目漱石と腸チフスほか。約1300年間の記録をたどり感染症の地平を見わたす書き下ろし論集。

目次 : 感染症で繋げる日本文学の歴史(ロバートキャンベル)/ 『万葉集』と天平の天然痘大流行(品田悦一)/ 平安時代物語・日記文学と感染症―虚構による「神業」の昇華(岡田貴憲)/ 『方丈記』「養和の飢饉」に見る疫病と祈り(木下華子)/ 神々の胸ぐらを掴んで―感染症と荒ぶる禅僧のイメージ(ディディエ・ダヴァン)/ 流言蜚語と古典文学―鬼・髪切虫・大地震(川平敏文)/ 中世の文芸と感染症(海野圭介)/ 江戸時代の漢詩文と感染症(山本嘉孝)/ 養生の基底にある思想―『延寿撮要』から『養生訓』へ(入口敦志)/ 伝奇小説の中の疫鬼たち(木越俊介)/ “病”と向き合う村びとたちの知恵―ある山村の日記から(太田尚宏)/ 安政のコレラ流行と歌舞伎(日置貴之)/ 幕末役者見立絵と感染症(高橋則子)/ コレラと幕末戯作(山本和明)/ 近代小説と感染症―柳浪・漱石・〓外から(野網摩利子)

【著者紹介】
ロバート・キャンベル : 米国ニューヨーク市生まれ。文学博士。専門は近世・近代日本文学。東京大学名誉教授。カリフォルニア大学バークレー校卒。ハーバード大学大学院東アジア言語文化学科博士課程修了。九州大学文学部研究生として来日。国文学研究資料館助教授、東京大学大学院総合文化研究科助教授、同教授を経て、2017年4月から2021年3月まで国文学研究資料館館長をつとめる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • やいっち

    ロバート・キャンベルの本を読みたいと予てより思っていた。同氏の論考も載っている。そこへタイムリーな内容の本。本書は21年の2月に刊行。そう、新型コロナパンデミックの真っ最中。感染症をテーマに日本の過去1300年の記録を辿っている。

  • keroppi

    図書館の新刊コーナーで見つけて。「万葉集」から漱石まで、日本古典から日本人が感染症とどう向き合ってきたのかを捉える書き下ろし論集。江戸時代の山村の日記やコレラ流行時の記録も含まれ、その当時の苦しみも見て取れる。疫病は祟りという概念や、「養生訓」に見る病気に対する道徳観が今の日本人の根底にあると論じる。「病気にかかることは、家族や社会に対する負い目になる。病気にかかってはならないのだ。だから、かかった人々に対して攻撃が行われるのである。」そんな考えがいまだに生きている悲しさを感じる。

  • 岡本 正行

    7月に読んだ本、もう今となっては、どんなないようだったか思い出せない。手に取って、再度読めれば、それなりの知識と感想があるとは思う。日本も昔から感染症には苦しんだと思う。歴史に残らないので、なかったのではなく、残さなかっただけ、屡々再三、感染症、疫病はあったと思う。典型的なのは、『方丈記』だろうけど、これもなんかついで、主たる目的ではないみたい。昔の僧侶、それなりに豊かな高貴な人々だから、食べる物もなく、病気に罹って、お祈りされることもなく、遺体処理もなかった。いまはコロナと言っても、死者は少ない。

  • ゲオルギオ・ハーン

    『感染症』に関連した日本古典(万葉集から明治時代の作品まで)を紹介した一冊。全体で320頁しかないのに執筆者が15人もおり、文学の教授や准教授ばかりですが時代や論点が微妙に異なるためなんだか落ち着かない印象がありました。話のネタとしては面白い内容(「コロリ」の起源やお札の話など)がいくつかあり、YouTubeの動画的なノリでさらっと読むのがいいのかもしれません(実際、著者はYouTubeに動画を投稿しています)。内容と関係ないが執筆者が15人もいて著作者がキャンベル氏のみというのが地味に気になる。

  • かふ

    図書館本返却期間が来たので、全部は読めなかった。中世までは(それ以降もだが)仏教が悪霊退散の祈願からケアの方向にと。次第に疫病に対して神の力が無力だと悟っていくと神を投げ捨てるというような行為も。また感染症で排除される人を鎌倉新興仏教は見捨てなかったのだろうと。それは布教の面と同時にケアの思想があったのではないかと。まあ仏教もそれまでは特権階級のものだったし、念仏をだけを唱えればいいというもんでもなかった。近代は「スペイン風邪」の記述がないのが残念。アンソロジーなので、興味深い所から読めばいいと思う。

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