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ISBN 10 : 4560082669
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侵攻・占領・撤退の知られざる真実
アフガニスタン侵攻の歴史的背景から全面戦争を経て撤退に至るまで、ソ連側から見た実態を膨大な資料に基づいて描き出す。冷戦期の「神話」を覆すアフガン戦史の決定版。
一九七九年一二月、ソ連軍はアフガニスタンへの侵攻を開始した。特殊部隊がカブールの主要目標を占拠し、宮殿を急襲してアミンを殺害した。だが、ソ連の意図は控えめだった。主要な都市や道路を確保し、政権を安定させ、軍隊や警察を訓練し、六か月から一年以内に撤退するつもりだったのだ。ところが予想に反して、侵攻は血なまぐさい戦争に発展し、抜け出すのに九年もの歳月を要したのである。
ソ連軍はロシア、ウクライナ、ベラルーシ、中央アジア、カフカス、バルト三国など、ソ連のあらゆる地域出身の兵士で構成されていたが、みな同じソ連の国民であるという意識を持っていた。しかし戦争末期、撤退が近づく頃になると、その意識も薄れていく。ソ連が解体しはじめると、以前の同志が自分とはまったく異なる、ときに敵対的な国に住んでいることに気がついたのだ。そして、アフガン帰還兵の多くは通常の市民生活に戻るまでに何年もかかることになる。結局、戻れなかった者もいる。
そして、自分たちが戦った同じ戦争の記憶から解放される者は誰一人としていなかった。(「プロローグ」より)
ロシア側から見たアフガン戦史の決定版
一九七九年十二月に始まったソ連によるアフガニスタン侵攻は、たび重なる反乱に直面した共産党政権を支援するためのものだった。当初、ソ連軍の任務はアフガン軍を支援し、部隊の訓練・強化を行うという限定的なものだったが、やがて、米国やパキスタンの支援を受けたムジャヒディン(イスラム戦士)との全面的な戦争に巻き込まれていく。撤退までの九年間に約一万五〇〇〇人の兵士が戦死し、無数のアフガン人犠牲者を出し、双方に大きな傷を残した。
元モスクワ駐在英国大使の著者は、主にロシア側の詳細な資料に基づいて、アフガン侵攻について従来広く信じられてきた説(領土拡大主義による侵略だった、この戦争がソ連の解体につながった、など)を否定する。当初、ソ連政府はあくまでも軍事介入を避けようとしていた。また、政府の失策や戦略的誤りによって兵士たちが困難な状況に置かれたのは確かだが、ソ連軍はけっして戦争に負けたわけではないし、撤退も整然と計画的に行われたという。
軍事介入に至る歴史的背景から説き起こし、ソ連・アフガン双方の複雑な国内事情や、兵士たちが経験した戦闘の緊迫感とその後の厭戦気分まで、紛争の全貌を詳細に描く。冷戦期の神話を覆すアフガン戦史の決定版。
著者:ロドリク・ブレースウェート Rodric Braithwaite
元外交官。1932年ロンドン生まれ。1950〜52年英国軍諜報部員としてウィーンに駐在。52〜55年ケンブリッジでフランス語とロシア語を学ぶ。55〜92年英国外務省勤務。この間、ジャカルタ、ワルシャワ、ローマ、ブリュッセル、ワシントンなどに駐在。88〜92年にはモスクワ駐在大使としてソ連崩壊前後の状況をつぶさに観察。92〜93年メージャー首相外交政策顧問。引退後は、ドイツ銀行上級顧問、王立音楽院長などを務める。著書にAcross the Moscow River(2002)、邦訳書に『モスクワ攻防1941』(白水社、2008年)がある。
訳者:河野 純治(こうの じゅんじ)
翻訳家。1962年生まれ。明治大学法学部卒業。主な訳書に『ピュリツァー賞受賞写真全記録」(日経ナショナルジオグラフィック社)、『アルジャジーラ 報道の戦争』『ムンクを追え!』『絶対帰還。』『趙紫陽極秘回想録』(以上、光文社)、『一四一七年、その一冊がすべてを変えた』(柏書房)などがある。
【著者紹介】
ロドリク・ブレースウェート : 元外交官。1932年ロンドン生まれ。1950〜52年英国軍情報部員としてウィーンに駐在。52〜55年ケンブリッジでフランス語とロシア語を学ぶ。1955〜92年英国外務省勤務。この間、ジャカルタ、ワルシャワ、ローマ、ブリュッセル、ワシントンなどに駐在。88〜92年にはモスクワ駐在大使としてソ連崩壊前後の状況をつぶさに観察。92〜93年メージャー首相外交政策顧問。引退後は、ドイツ銀行上級顧問、王立音楽院長などを務める
河野純治 : 翻訳家。1962年生まれ。明治大学法学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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投稿日:2021/04/25 (日)
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