悲劇の生涯を送ったユン・イサンへのオマージュ!
サンタ・チェチーリア音楽院管弦楽団の首席チェロ奏者、ルイージ・ピオヴァーノとチッコリーニの薫陶を受けたピアニスト、アルド・オルヴィエートがユン・イサンの悲劇の生涯にオマージュを捧げる1枚。協奏曲は下野竜也&日本フィルとの共演!
南北朝鮮の間の冷戦や東西文化の間の緊張という文脈の中で、小説や映画の主題にもふさわしい冒険的で悲劇的な生涯を送ったユン・イサン。1967年、西ベルリンで韓国諜報部員によって拉致されソウルへと連行されたユンは、北朝鮮のスパイとして無期懲役の判決を受けます。その後再審で減刑となりましたが、最終的に世界の著名な文化人の署名による嘆願書とドイツ外務省の支援によって釈放されたのは1969年のことでした。その後彼はドイツ国籍を取得し、ドイツで生涯を終えています。投獄された数年間の悪夢、恐怖、拷問は、当然ながらユンの作品に影響を与えており、彼の最も美しく感動的な作品のひとつ『チェロ協奏曲』にもその痕跡が見られます。一方、1964年に書かれた『ノレ』(「歌」の意味)では、美しさの中にドビュッシーのチェロ・ソナタを思わせる強烈な叙情性を見出すことができます。
チェロ協奏曲のフィナーレについて彼はインタビューで次のように語っています。「終盤へと向かうオクターブの跳躍を考えてみてください。この跳躍は、自由、純粋さ、絶対的なものへの必要性と欲求を意味しています。オーケストラでは、オーボエがGシャープからAにグリッサンドし、そのAをトランペットが引き継ぎますが、私にとってこの音域には常に神々しい魅力があります。(中略)チェロはAに到達しようとしますが、できない。グリッサンドでなんとかGシャープの4分の1音上まで届くのですが、それ以上は上がらない。あきらめる。無限で想像を絶する天頂、絶対的なものを示すトランペットのAは最後まで続きます。」(輸入元情報)
【収録情報】
ユン・イサン(尹 伊桑):
● チェロ協奏曲(1976)
ルイージ・ピオヴァーノ(チェロ)
日本フィルハーモニー交響楽団
下野竜也(指揮)
録音時期:2018年3月2日
録音場所:東京、サントリーホール
録音方式:ステレオ(デジタル/ライヴ)
● ピアノのための5つの小品(1958)
● ノレ〜チェロとピアノのための(1964)
● インテルルディウム A〜ピアノのための(1982)
● エスパス I〜チェロとピアノのための(1992)
ルイージ・ピオヴァーノ(チェロ)
アルド・オルヴィエート(ピアノ)
録音時期:2021年3月28,29日
録音場所:イタリア、トリノ
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)