ヤーコプ・フォン・ユクスキュル

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生命の劇場 講談社学術文庫

ヤーコプ・フォン・ユクスキュル

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784062920988
ISBN 10 : 4062920980
Format
Books
Publisher
Release Date
February/2012
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

ダーウィニズムと機械論的自然観に支配されていた二十世紀初頭、人間中心的な世界観を退けて「その生物が周囲に与える意味の世界」すなわち「環世界」の概念を提唱し、その後の動物行動学や哲学、生命論に影響を及ぼした生物学者の最晩年の著作。対話形式で独自の世界観を展開し、自説への批判とそれへの反論をも明快に語る、今も新鮮な科学の古典。

目次 : 訪問/ 昼食の食卓にて/ あずまやにて/ 川原にて/ ドラマとしての生/ 役割、環世界、生の場面/ 館の池の畔にて/ 構成のトーン、特殊エネルギー、染色体/ 種の起源、存在形式の変容、主体の転換、魂の転換、構成類型の変化/ 遠乗り/ 夕食の食卓にて/ 海辺の邸宅のテラスにて/ 二人の論戦/ 第三日/ 洞窟の比喩/ プラトンのイデア/ 統一としての生/ 結び

【著者紹介】
ヤーコプ・フォン・ユクスキュル : 1864年、エストニア生まれの生物学者。1944年没

入江重吉 : 1947年生まれ。京都大学大学院修了(哲学専攻)。現在、松山大学教授

寺井俊正 : 1949年生まれ。京都大学大学院修了(ドイツ文学専攻)。現在、大阪市立大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • 1.3manen

    1950年初出。生物学の重要な課題とは、環世界における事物の意味を突きとめること(50頁)。人間が考え出したような総力戦は、自然には存在しない。勝算があるか考量された上で、はじめて行われる(100頁)。日本の真珠湾奇襲から敗戦までを自省せねば。知覚に関わる細胞は知覚者、作用に関わる細胞を作用者と呼ぶ(182頁)。主体の果たす役割は、共演者に見られるデータから取捨選択、共演者に対して役割に即した意味を刷り込み、共演者が生の場面に登場する可能性を与える(188頁)。

  • Pustota

    機械論的自然観に対し、それぞれの生命が主体的に外部と関わるような「環世界」と、そのダイナミックな統一を語る。興味深いし示唆に富む内容だが、目的や意味や秩序という言葉を使うことに、いささか無邪気すぎる気がする。「生命の劇場」を見出す目線そのものに、機械論とはまた別の傲慢さがあるように感じてしまった。

  • roughfractus02

    生物学者は各々の感覚が諸世界を作ると言い、動物学者はまず世界があり、そこで生存競争による淘汰が行われると言う。前者は世界の個別性を後者はその一般性を主張する。プラトンの対話篇に倣う本書は、生物は個々の環世界を作るという主張をダーウィニズムの機械的生物観に対置する。それゆえ前者の世界は環世界が広がる泡状の塊となり、その全体を鳥瞰する超越的イデア(プラトン)とそれを知覚不能な生物を区別する哲学(カント)が要請される。が、両者が仮説としての対話なら、それは哲学上の領土争いでなく、科学を巡る試行錯誤に見えてくる。

  • シロクマとーちゃん

    ダーウィンの淘汰であるとか、機械論的因果などに真っ向から反対している。しかし、その解決策として劇場の比喩や、役割の比喩が出て来るが、つまるところ、形而上学のようだ。イデアという言葉に、おや?これでいいのかなと思ってしまうが、イデア=「本質」の発見は、たとえば、重力であったり、電磁場であったり、エントロピーであったりもそうで、科学的でないわけではない。定量的に扱えるかどうかが分かれ目だろう。「環世界」という概念は、最近見直されてきているのだろうか?

  • ponkts

    生命現象を並列的に説明した『生物から見た世界』とは違い、主に対立する動物学者との対話を通じて自らの主張をある程度は相対化(とは名ばかりで実際は補強)しているので、ユクスキュルのまとまった思想を理解するには本書のほうがより重要かも。学者をプラトンの洞窟の比喩になぞらえて区分けするくだりなどは結構面白くて、対話形式ならではの寄り道がなかなか工夫されたものでよい。動物には備わっていない「論理能力」について自分なりに一言で表せば、これは動物には「物と場面」を切り分ける(記号化)ことができない、ということだろう。

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