CD 輸入盤

パーヴォ・ヤルヴィ&シンシナティ交響楽団 テラーク録音全集(16CD)

ヤルヴィ、パーヴォ(1962-)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
234381
組み枚数
:
16
レーベル
:
:
Europe
フォーマット
:
CD
その他
:
輸入盤

商品説明


パーヴォ・ヤルヴィ/テラーク録音全集(16CD)

パーヴォ・ヤルヴィがテラーク・レーベルで制作したアルバムの集大成ボックス。これは、ゲヴァントハウス四重奏団のベートーヴェン弦楽四重奏曲全集でもおなじみのドイツのNCAレーベルがライセンス発売するものです。
 パーヴォ・ヤルヴィは、2001年から2011年にかけてシンシナティ交響楽団首席指揮者を務め、退任後はその業績を称えられて桂冠指揮者に任ぜられるなどその関係はきわめて良好でした。
 このセットは、彼らが2000年から2008年にかけてテラーク・レーベルでおこなったセッション録音を集めたもので、得意のロマン派と近現代作品の数々を優れた音質で楽しむことができます。
 それぞれのディスクは、鑑賞時の気分の切り替えにも有効なオリジナル・デザイン仕様の紙ジャケットに収められています。参考までにかつてのジャケット画像を表示しておきます。(HMV)



Disc1
● ベルリオーズ:『幻想交響曲』Op.14
1. I. Reveries, Passions (Dreams, Passions) 15:21
2. II. Un Bal (A Ball) 6:18
3. III. Scene aux champs (Scene in the Country) 17:11
4. IV. Marche au supplice (March to the Scaffold) 4:46
5. V. Songe d’une nuit du sabbat (Dream of the Witches' Sabbath) 10:00

● ベルリオーズ:劇的交響曲『ロメオとジュリエット』Op.17〜愛の情景
6. 16:11

録音:2000年10月8日〜10日

幻想交響曲は、ベルリオーズが初演から14年を経た1844年に第2楽章にコルネット・パートを追加したヴァージョンを使用。「舞踏会」の場面にいっそうの華やかさを加えるのが目的と思われる改訂で、クレンペラーやマルティノン、デイヴィス、マゼール、メータ、インマゼールなどもこのヴァージョンを採用していました。
 組み合わせは、1839年に書かれた劇的交響曲『ロメオとジュリエット』の第3楽章「愛の情景」。ワーグナーが絶賛したことでも知られる個性的な美しさを持った音楽で、「静かに澄み切った夜」「音も無く人気も無いキャピュレット家の庭」「キャピュレット家の若者たちが宴の間を出て、舞踏会の音楽を口ずさみながら通る」「愛の情景」という場面を表現しており、よく単独で演奏されてもいます。
Disc2
● シベリウス:交響曲第2番ニ長調 Op.43
1. I. Allegretto 9:48
2. II. Andante, ma rubato 14:34
3. III. Vivacissimo 6:25
4. IV. Allegretto moderato 13:41

● エドゥアルド・トゥビン:交響曲第5番ロ短調
5. I. Allegro energico 10:23
6. II. Andante 7:53
7. III. Allegro assai 10:21

録音:2001年12月1〜2日

シベリウス作品の中でもロマン派風な色合いの強い交響曲第2番はパーヴォ・ヤルヴィにぴったりのレパートリー。ここでもオーケストラの表現力を最大限生かした勢いのある演奏で聴かせます。
 組み合わせはヤルヴィと同じくエストニア出身の作曲家、エドゥアルド・トゥビン[1905-1982]の交響曲第5番。調性音楽の範囲で書かれた作品で、対位法の使用も印象的。この曲には父ヤルヴィの録音もありますが、パーヴォの指揮はよりシャープでメリハリの利いたもので第2楽章での調性感の希薄さの描き方も秀逸です。
Disc3
● ストラヴィンスキー:バレエ音楽『ペトルーシュカ』(1947年版)
1. The Shrove Tide Fair. The Magic Trick.Russian Dance 10:06
2. Petrouchka‘s Room 4:34
3. The Blackamoor‘s Room. Dance of the Ballerina. 6:49
4. The Shrove-Tide Fair. Dance of the Nursemaids. 13:48

● ストラヴィンスキー:『ロシア風スケルツォ』
5. Scherzo a la russe 4:02

● ストラヴィンスキー:組曲『火の鳥』(1919年版)
6. Introduction 3:01
7. The Firebird and her Dance / Variation of the Firebird 1:29
8. Round of the Princesses Khorovod 4:59
9 Infernal Dance of King Katschei 4:03
10. Berceuse 3:28
11. Finale 3:05

録音:2002年3月24〜25日

『ペトルーシュカ』では1947年版を使用し、オーケストレーションの魅力を最大限に発揮。躍動するリズムと豊かな色彩を感じさせる見事な演奏を聴かせます。
 『ロシア風スケルツォ』は、ロシア民謡風な素材をシンプルな構成で展開した作品ですが、ここでもヤルヴィのリズムの良さが際立ちます。
 『火の鳥』では1919年版を使用。凝縮度の高いヴァージョンの面白さを俊敏な演奏で伝えています。
Disc4
● プロコフィエフ:バレエ組曲『ロメオとジュリエット』(全曲)
第1組曲, Op. 64A
1. フォーク・ダンス 4:19
2. 情景 (街の目覚め) 1:31
3. マドリガル 3:22
4. メヌエット (客人たちの登場) 2:44
5. 仮面 2:10
6. ロメオとジュリエット 7:44
7. タイボルトの死 4:30

第2組曲, Op. 64B
8. モンタギュー家とキャピュレット家 5:16
9. 少女ジュリエット 3:55
10. 僧ローレンス 2:36
11. 踊り 1:59
12. 別れの前のロメオとジュリエット 7:48
13. アンティル列島の娘たちの踊り 2:03
14. ジュリエットの墓の前のロメオ 5:55

第3組曲, Op. 101
15. 泉の前のロメオ 1:48
16. 朝の踊り 2:22
17. ジュリエット 4:33
18. 乳母 2:15
19. 朝の歌(朝のセレナード) 2:11
20. ジュリエットの死 4:30

録音:2002年11月17〜18日

バレエ全曲ではなく、敢えて3つの組曲を演奏することで、オーケストラ作品としての魅力を前面に出しています。連続的ではなく、対比の効果や流れの面白さなどを追及した組曲のポテンシャルが生かされた名録音です。
Disc5
● ラヴェル:バレエ音楽『ダフニスとクロエ』組曲第2番
1. 夜明け 5:43
2. 無言劇 5:43
3. 全員の踊り 4:32
● ラヴェル:『亡き王女のためのパヴァーヌ』
4. 6:02

● ラヴェル:『ラ・ヴァルス』
5. 11:32

● ラヴェル:組曲『マ・メール・ロワ』
6. 眠れる森の美女のパヴァーヌ 1:26
7. 親指小僧 3:22
8. パゴダの女王レドロネット 3:20
9. 美女と野獣の対話 4:08
10. 妖精の園 3:16

● ラヴェル:『ボレロ』
11. 13:30

録音:2003年2月9-10日

絶好調コンビの高度な実力が近代フランス音楽にも最適化された形で結晶した名録音。仏ディアパゾン誌で「ディアパゾン・ドール」を獲得したほか、英グラモフォン誌で「エディターズ・チョイス」に選ばれています。
Disc6
● ストラヴィンスキー:バレエ音楽『春の祭典』
第1部:大地礼讃
1. 序奏 3:34
2. 春のきざしと乙女たちの踊り 3:29
3. 誘拐の遊戯 1:23
4. 春のロンド 3:54
5. 敵対する町の人々遊戯 1:53
6. 賢人の行列 0:42
7. 大地礼讃 0:22
8. 大地の踊り 1:12

第2部:いけにえ
9. 序奏 4:50
10. 乙女たちの神秘なつどい 3:21
11. えらばれた乙女への賛美 1:29
12. 祖先の霊のよびさまし 0:47
13. 祖先の儀式 3:37
14. いけにえの踊り(選ばれた乙女) 4:44

● ニールセン:交響曲第5番 Op. 50
15. I. Tempo giusto 10:07
16. - Adagio non troppo 10:08
17. II. Allegro 6:06
18. - Presto 3:07
19. - Andante un poco tranquillo 5:24
20. - Allegro 2:53
 リチャード・ホーリー(クラリネット)
 ウィリアム・プラット(ドラム)

録音:2004年1月25-26日&2月22-23日

打楽器の活躍が印象的な2作品の組み合わせ。若き日にパーカッションと指揮を学んだパーヴォ・ヤルヴィはむやみに打楽器強調をおこなうようなことはせず、あくまでもオーケストラの一部として、バランスの良い表現をおこなうよう徹しており、巧みなオーケストラ・コントロールの中で、強弱さまざまな段階での打楽器効果が楽しめる仕上がりとなっています。
Disc7
● ドビュッシー:『牧神の午後への前奏曲』
1. 9:23
 ランドルフ・ボウマン(フルート)
● ドビュッシー:『夜想曲』
2. 霊 7:22
3. 祭り 6:22
4. シレーヌ 10:47
 メイ・フェスティヴァル女声合唱団

● ドビュッシー:交響詩『海』
5. 海の夜明けから正午まで 9:04
6. 波の戯れ 6:54
7. 風と波の対話 8:31

● ドビュッシー:『英雄的な子守唄』
8.  5:13

録音:2004年1月25〜26日&2月22〜23日

オーケストレーションを精緻に表現することに長けたパーヴォ・ヤルヴィの能力は、ドビュッシー作品でも効果的で、ここでも細部まで美しく色彩豊かな演奏を実現、目の詰んだ音によるリリシズムを堪能させます。
Disc8
● ドヴォルザーク:交響曲第9番ホ短調 Op.95『新世界より』
1. Adagio. Allegro molto 12:49
2. Largo 13:17
3. Molto vivace 7:41
4. Allegro con fuoco 11:26

● マルティヌー:交響曲第2番
5. Allegro moderato 6:35
6. Andante moderato 6:25
7. Poco allegro 4:39
8. Allegro 5:22

録音:2005年3月13〜14日

チェコの民俗的素材を使用した2つの交響曲の組み合わせ。アメリカ音楽の素材も交えた人気作の『新世界より』では、パーヴォ・ヤルヴィはじっくりと細部まで描き上げるスタンスでスケール感のある充実した演奏を展開。
 マルティヌーの交響曲第2番は、第2次世界中に書かれ1943年にチェコスロヴァキア共和国独立25周年を記念して初演された作品ですが、当時すでにチェコはドイツ政府によって解体されており、ロンドンにチェコスロヴァキア亡命政府が置かれていたという状況なので、祝祭気分などは反映されていません。
Disc9
● ヴィトルト・ルトスワフスキー:管弦楽のための協奏曲 (1954)
1. I. イントラーダ 7:14
2. II. カプリッチョ・ノットゥルノとアリオーソ 6:22
3. III. パッサカリア、トッカータとコラール 16:09
4. ルイヴィルのためのファンファーレ 1:29

● バルトーク:管弦楽のための協奏曲 (1943) Sz.116
5. I. 序章 10:36
6. II. 対の遊び 6:43
7. III. 悲歌 7:51
8. IV. 中断された間奏曲 4:10
9. V. フィナーレ 10:24

録音:2005年5月1〜2日

指揮者セルゲイ・クーセヴィツキーからの委嘱により1943年に書かれたバルトークの『管弦楽のための協奏曲』と、その成功を受けて、指揮者ヴィトルド・ロヴィツキに委嘱され1950年から54年にかけて書かれたルトスワフスキの『管弦楽のための協奏曲』。そして、ルイヴィル管弦楽団から委嘱され1986年に書かれたルトスワフスキの名技的な『ルイヴィルのためのファンファーレ』をアンコール的小品として収録。
 これらの作品はどれも高度な演奏技術を要するもので、絶好調のパーヴォ・ヤルヴィ&シンシナティ交響楽団のコンビにはまさにうってつけのプログラム。ちなみに往年の巨匠フリッツ・ライナーは、バルトークの渡米に尽力し、シゲティと共に、クーセヴィツキーに対してバルトークに作曲委嘱するよう働きかけた人物であり、当時はシンシナティ交響楽団の常任指揮者を務めていたということで、シンシナティ響とこの作品にも縁浅からぬものがありそうです。
 20世紀を迎え飛躍的に向上したオーケストラの技術を生かすべく、さまざまな作曲家により数多く書かれることとなった『管弦楽のための協奏曲』の中でも、最も人気のあるのがバルトークの作品で、それに次ぐ人気を誇るのがルトスワフスキの作品。
 バルトークのオケコンはハンガリーの民俗的な旋律やパロディなども交えながら、高度なオーケストレーションによって、楽員それぞれが重要な役割を果たすという「協奏曲」として書かれているのが特徴で、そこにはバルトーク好みの形式や音階を用いながらも、きわめて明解で合理的な雰囲気の作品に仕上がっているのがポイント。
 ルトスワフスキのオケコンは、ポーランドの民俗的な旋律を用い、部分的に無調による対位法まで交えながら、パッサカリア、アリオーソ、コラールといったバロックを髣髴とさせる技法を導入、20世紀なかばの作品としては聴きやすく、しかもオーケストラのヴィルトゥオジティが存分に発揮される音楽となっています。レコード・アカデミー賞受賞。
Disc10
● ブリテン:『青少年のための管弦楽入門』〜パーセルの主題による変奏曲とフーガ Op. 34
1. Theme A 0:23
2. Theme B 0:24
3. Theme C 0:19
4. Theme D 0:18
5. Theme E 0:16
6. Theme F 0:25
7. Flutes and Piccolo, Variation A 0:27
8. Oboes, Variation B 1:06
9. Clarinets, Variation C 0:44
10. Bassoons, Variation D 0:58
11. Violins, Variation E 0:36
12. Violas, Variation F 0:54
13. Cellos, Variation G 1:10
14. Doublebasses, Variation H 1:04
15. Harp, Variation I 0:45
16. Horns, Variation J 0:46
17. Trumpets, Variation K 0:32
18. Trombones and Tuba, Variation L 1:06
19. Timpani and Percussion, Variation M 1:53
20. Fugue 2:52

● ブリテン:歌劇『ピーター・グライムズ』から『4つの海の間奏曲』 Op. 33a
21. I. 夜明け 3:49
22. II. 日曜日の朝 3:41
23. III. 月光 4:22
24. IV. 嵐 4:50

● エルガー:『エニグマ変奏曲』 Op. 36
25. Enigma-Theme: Andante 1:37
26. C.A.E., Variation I: Andante 1:50
27. H.D.S.-P. Variation II: Allegro 0:51
28. R.B.T., Variation III: Allegretto 1:22
29. W.M.B., Variatiin IV: Allegro di molto 0:30
30. R.P.A., Variation V: Moderato 2:17
31. Ysobel, Variation VI: Andantino 1:14
32. Troyte, Variation VII: Presto 0:56
33. W.N., Variation VIII: Allegretto 2:01
34. Nimrod: Variation IX: Adagio 4:21
35. Dorabella, Variation X: Intermezzo. Allegretto 2:31
36. G.R.S., Variation Xi: Allegro di molto 1:01
37. B.G.N., Variation XII: Andante 3:08
38. ***, Variation XIII: Romanza. Moderato 2:45
39. E.D.U., Finale: Allegro 5:37

録音:2006年1月22〜23日

ブリテンの『青少年のための管弦楽入門』は、オーケストラの楽しさを前面に出した音楽で、シンシナティ響の演奏もとても楽しい仕上がり。最後のフーガも迫力満点。
 同じブリテンでも『ピーター・グライムズ』から『4つの海の間奏曲』では、詩情豊かな音楽から不安に苛まれる打楽器大活躍の迫力ある音楽までワイドレンジで聴かせます。
 エルガーの『エニグマ変奏曲』では変奏曲の面白さを
Disc11
● ラフマニノフ:交響曲第2番ホ短調 Op. 27
1. I. Largo - Allegro moderato 18:06
2. II. Allegro molto 9:55
3. III. Adagio 14:44
4. IV. Allegro vivace 13:05

● ラフマニノフ:スケルツォ ニ短調
5. 5:00

● ラフマニノフ:歌劇『アレコ』〜2つの舞曲
6. 女の舞曲 4:14
7. 男の舞曲  4:50

録音:2006年4月30〜5月1日

甘美な旋律で人気の交響曲第2番と、少年時代に書いたメンデルスゾーン風な「スケルツォ」、そしてヴェリズモ風な内容のオペラ『アレコ』からの物憂げな「女の舞曲」と激しい「男の舞曲」という組み合わせ。
 パーヴォ・ヤルヴィは、交響曲第2番でも過剰な感傷趣味に陥ることなく、楽曲情報の隅々まで目配りした見事な演奏を展開。軽快な「スケルツォ」ではオケの木管セクションが素晴らしく、また、『アレコ』では対照的な性格の音楽を描き切るオケのうまさが際立ちます。
Disc12
● チャイコフスキー:幻想序曲『ロメオとジュリエット』
1. 20:18

● チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調 Op.74 『悲愴』
2. I. Adagio - Allegro non troppo 18:28
3. II. Allegro con grazia 7:49
4. III. Allegro molto vivace 9:10
5. IV. Finale. Adagio lamentoso - Andante 11:10

録音:2007年1月21〜22日

快速な音楽や動的でダイナミックな音楽のメリハリの効いた小気味よい演奏を得意とするパーヴォ・ヤルヴィは、一方で緩徐な音楽での濃密な表現にも優れた手腕を発揮することでも知られています。  ヤルヴィは『悲愴』について「すべてのエッセンスが第4楽章に結晶しており、このフィナーレを書くためにこそ、チャイコフスキーはこの交響曲を作曲した」と語っているということですが、確かにここでの演奏も素晴らしい仕上がりとなっています。
Disc13
● プロコフィエフ:交響曲第5番変ロ長調 Op. 100
1. I. Andante 12:58
2. II. Allegro marcato 8:42
3. III. Adagio 12:28
4. IV. Allegro giocoso 9:14

● プロコフィエフ:組曲『キージェ中尉』, Op. 60
5. I. Birth of Kije 4:18
6. II. Romance 4:19
7. III. Kije’s Wedding 2:46
8. IV. Troika 2:41
9. V. The Burial of Kije 6:21

録音:2007年3月18〜19日

交響曲第5番は、独ソ戦の戦況好転により田舎の疎開先からモスクワ郊外に戻ってきたプロコフィエフが、祖国の勝利を確信して1944年に書いた作品。戦争云々をイメージさせる強大でマシン的なパワーから、人間の素晴らしさについてさまざまな方向から描きあげた人類賛歌ともいうべき音楽まで、プロコフィエフならではのダイナミズムと切れ味、アイデア豊かな諧謔精神から複雑な叙情の移ろいや深まりに至る多彩な情感が、自在なスピード感とリズムによって名技的に示される傑作です。
 『キージェ中尉』は、トゥイニャーノフの小品に基づく映画音楽からの組曲。実際には存在しないキージェ中尉にふりまわされる人々を面白おかしく描いた作品で、第2曲「ロマンス」の美しさは有名。
 パーヴォ・ヤルヴィの指揮はいつもながら切れの良いリズムを土台に、よく調整された各パートが縦横に交錯するプロコフィエフと相性の良いもの。『キージェ中尉』の「ロマンス」など最高の仕上がりです。
Disc14
● ムソルグスキー:交響詩『禿山の一夜』(編曲:リムスキー・コルサコフ)
1. 11:45

● ムソルグスキー:組曲『展覧会の絵』(編曲:ラヴェル)
2. Promenade 1:42
3. I. Gnomus 2:48
4. Promenade 1:08
5. II. Il Vecchio Castello 4:28
6. Promenade 0:35
7. III. Tuileries 1:06
8. IV. Bydlo 3:09
9. Promenade 0:46
10. V. Ballet des poussins dans leurs Coques 1:13
11. VI. Samuel Goldenberg and Schmuyle 2:36
12. VII. Limoges. Le Marche 1:24
13. VIII. Catacombae. Sepulcrum Romanum 2:22
14. Cum Mortuis in Lingua Mortua 2:08
15. IX. La Cabane sur des pattes de poule 3:12
16. X. La Grande Porte de Kiev 5:20

● ムソルグスキー:歌劇『ホヴァーンシチナ』〜前奏曲『モスクワ河の夜明け』(編曲:リムスキー・コルサコフ)
17. 5:38

録音:2008年1月20〜22日

ワイルドな『禿山の一夜』とカラフルな『展覧会の絵』、抒情的な『モスクワ河の夜明け』の組み合わせ。
 パーヴォ・ヤルヴィの指揮は冒頭『禿山の一夜』からかなり激しいもので、ムソルグスキーの呪術的ダイナミズムを徹底的に堪能させます。
 『展覧会の絵』は、洗練されたラヴェル版を使用していますが、基本的にパワフル志向で「バーバ・ヤガー」など大迫力。
 最後の『モスクワ河の夜明け』はヤルヴィと緩徐な音楽の相性の良さを物語るかのようなピュアな美しさが素晴らしい逸品。
Disc15
● ショスタコーヴィチ:交響曲第10番ホ短調 Op.93
1. I. Moderato 24:52
2. II. Allegro  4:09
3. III. Allegretto 13:04
4.    IV. Andante; Allegro  13:51

● トルミス(b. 1930):序曲第2番
5. 11:19

録音:2008年4月27〜28日

ショスタコーヴィチの交響曲第10番とトルミスの序曲第2番というオケのヴィルトゥオジティの求められる大編成作品の組み合わせ。
 ショスタコーヴィチの交響曲第10番第1楽章では、克明な旋律線を刻み込む低弦からまず立派。トゥッティの盛り上げも悲壮感漂わせながらも下品にならず、長大な音楽を一貫した緊張感で描く手腕はさすがです。細部まで緊密な造形にも驚くほかありません。
 スターリンをあらわすとされる第2楽章アレグロのスケルツォは、音が良いこととオケがうまいこともあってパワフルかつ緻密なコントロールの効いた演奏が、スリリングでありながらもどこか冷たく機械的という作品の内容を正しく伝えてパーフェクトな仕上がりです。
 緩徐楽章にあたる第3楽章アレグレットでも、各パートのバランスが適正に保たれた上で豊かな表情が付されているため情報量が多く、シニカルでコミカル、そしてうら寂しいという複雑な雰囲気がよく示されています。ホルンやファゴットなど管楽器のテクニックが卓越しているため、強力なピツィカートが印象的な弦楽、そして銅鑼と組みあわされることで陰影の濃い情感がダイレクトに伝わってくるのも大きなポイント。にぎやかな中間部も大騒ぎにならず、きわめて精緻に演奏されるため、スターリンの恐怖を回想するかのようなスケルツォ引用や、若き日の恋愛感情へのノスタルジーなども交えたシリアスな音楽が聴きごたえ十分です。
 第4楽章は、強力な音圧で迫る弦楽が印象深いアンダンテの序奏部と、リズミカルでユーモラスなアレグロの主部の切れ味の良いサウンドのコントラストも鮮やかな快演。ここでもオケのうまさが光っています。
 トルミスは、パーヴォ・ヤルヴィの故郷エストニアの作曲家で、ショスタコーヴィチに深く傾倒していることでも知られる人物。合唱作品が有名ですが、わずかながらオーケストラ作品も書いており、ここに収められた序曲第2番は、パーヴォの父であるネーメもレコーディングをおこなっています。
 鳴りの良さはある意味ショスタコーヴィチ以上のこの曲は、ダイナミックで明快な音楽で開始され、叙情的な中間部を経て、R.シュトラウスの『サロメ』の幕切れを思わせるエンディングで締めくくられるという作品。
Disc16
● ホルスト:組曲『惑星』, Op. 32
1. I. Mars, the Bringer of War 6:58
2. II. Venus, the Bringer of Peace 9:31
3. III. Mercury, the Winged Messenger 3:56
4. IV. Jupiter, the Bringer of Jollity 8:01
5. V. Saturn, the Bringer of Old Age 10:00
6. VI. Uranus, the Magician 15:55
7. VII. Neptune, the Mystic 7:55

● ブリテン:『青少年のための管弦楽入門』〜パーセルの主題による変奏曲とフーガ Op. 34
8. Theme A 10:23
9. Theme B 0:24
10. Theme C 0:19
11. Theme D 0:18
12. Theme E 0:16
13. Theme F 0:25
14. Flutes and Piccolo, Variation A 0:27
15. Oboes, Va riation B 1:06
16. Clarinets, Variation C 0:44
17. Bassoons, Variation D 0:59
18. Violins, Variation E 0:36
19. Violas, Variation F 0:54
20. Cellos, Variation G 1:10
21. Doublebasses, Variation H 1:04
22. Harp, Variation I 0:45
23. Horns, Variation J 0:46
24. Trumpets, Variation K 0:32
25. Trombones and Tuba, Variation L 1:06
26. Timpani and Percussion, Variation M 1:51
27. Fugue 3:00

録音:2008年11月23〜24日

パーヴォ・ヤルヴィの『惑星』は、丁寧に仕上げられた演奏で、「金星」「土星」「海王星」という緩徐な曲でも曲想を魅力的に描き上げているほか、「火星」「水星」「木星「天王星」という動的な曲では、慌てることなく細部までしっかりと響かせたバランスの良い音楽を聴かせています。
 組み合わせは、同じくイギリスの作曲家ブリテンによる『青少年のための管弦楽入門』ですが、これはエルガーの『エニグマ変奏曲』とのカップリングですでに発売されていたものの転用となります。

 シンシナティ交響楽団
 パーヴォ・ヤルヴィ(指揮)

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テラーク・レーベルの音質の良さはアナログ...

投稿日:2017/12/25 (月)

テラーク・レーベルの音質の良さはアナログレコード時代から有名です。演奏はヤルヴィらしいもので、N響で聴かれるものと同質な柔軟さと力強さを併せ持ったイメージです。力強さが目立つ点は録音が一助しているともいえます。パッケージは中身に対し大き過ぎますのでスペースをとります。

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テラークレーベル。録音には定評がある。し...

投稿日:2017/08/31 (木)

テラークレーベル。録音には定評がある。しかし単品はいずれも高値の花で、まとまって買うには躊躇してしまう。それでも小生はガンゼルの「タイムワープ」他やプレビンの「ツアラツーストラ。。」 同「ラフマニノフ響2」などを保有。いずれも 今も自作アンプや自作スピーカーの定期的なチューニング時の試聴にかかせない。今回のテラークのパーヴォVsシンシナィ響の(廉価)BOXはパーヴォの38歳〜46歳の壮年期前半の指揮で、しかも音響楽曲がそろっているから発売予定当初から期待でいっぱいであった。予定から約3ケ月遅れでようやく入手したが、ここ3日かけて全16CDを一気に聴きとおした。演奏は期待を裏切らず。シンシナィもピッコロなどすごいテクニックでパーヴォの指揮に応えている。名指揮者でもある父のネーメ ヤルビを超える大指揮者になるに違いない。これから壮年後期や円熟期の演奏を聴きたいものだが、小生が一回り年食っているからま〜話半分か。演奏で印象的なのはバルトークのオケコン、ラベル、ドビッシー、ブリテン、ショスタコ。録音で特筆すべきはCD15のショスタコ響10番。3楽章に部屋鳴動の重低音が2か所ほど記録されている。スコアをみていないから当てずっぽで申し訳ないが、スピーカーからの音色からコントラファゴット?かもしれぬ。これなら最低音29HZからなので重低音もうなずける。スコアを取り寄せ確認したいと思う。ただ残念なのはシベリウス響2番。小生の「スワン」バックロードホーンではティンパニーの連打が共鳴して「ワ〜ンワ〜ン」と耳障りであることがわかった。急きょ、別のバックロードホーン(ホーン開放部を小さくしたもの)に切り替えたらさほど気にならなくなった。本CDのBOX については 楽譜取り寄せなど派生的な興味もわいた。良い企画のものを提供してくださったことに感謝感謝である。

室長鉄男 さん | 新潟県 | 不明

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