間接音温存型で倍音も量感も豊かな素晴らしいレコーディング
「永遠なるイエスへの賛美」は絶品!
メシアン:「世の終わりのための四重奏曲」
バンディエーリ(クラリネット)、シャッツマン(ヴァイオリン)、マロシ(チェロ)、マロシ(ピアノ)
スイスの国際派チームによる演奏
演奏は、スイスで活動中の音楽家たちによるものです。メンバーは、ローザンヌ室内管弦楽団首席クラリネット奏者のダヴィデ・バンディエーリ(イタリア)、ルツェルン交響楽団第1コンサートマスターのリーザ・シャッツマン(フランス)、ローザンヌ室内管弦楽団首席チェロ奏者のヨエル・マロシ(スイス)、チューリヒ音楽院ピアノ講師のマリヤ=リーサ・マロシ(フィンランド)。
間接音温存型優秀録音
録音はルーカ・リッチがプロデューサーとエンジニア、エディターを兼務しており、間接音温存型で倍音も量感も豊かな素晴らしいサウンドを実現しています。「世の終わりのための四重奏曲」は弱音が多いこともあり、間接音を除去した平板で直線的な傾向の録音が一般的ですが、ここでは実演での近距離鑑賞さながらの生々しい音の重なり合いを楽しむことができます。
ブックレット
音楽学者でピアニストのドナテッラ・メネギーニによる楽曲解説などが掲載(英語・12ページ)。
詩の朗読イベントで6曲披露
「世の終わりのための四重奏曲」は、メシアンが捕虜のときに書いた作品をまとめたものです。1940年6月にメシアンがフランスのトゥールの仮設キャンプに捕虜として3週間ほど滞在した際に、無伴奏クラリネットのための「鳥たちの深淵」のスケッチを開始したのがきっかけでした。
12月中旬には、ドイツ東部ゲルリッツの第8A収容所で、「ポーランドとフランスの詩と音楽の夕べ《鳥たちの深淵》」というイベントを開催し、ポーランドの詩人ズジスワフ・ナルデルリ[1913-2006]が「鳥たちの深淵」など13の詩を朗読し、その間に、メシアンが作曲した以下の6つの作品や、他の人によるトランペットやアコーディオンの作品を挿入して演奏。
なお、メシアンの作品は、翌月に「世の終わりのための四重奏曲」としてまとめられるので、カッコ内に該当楽章を記しておきます。
・「世の終わりを告げる天使のためのヴォカリーズ」(第2楽章)
・「鳥たちの深淵」(第3楽章)
・「間奏曲」(第4楽章)
・「永遠なるイエスへの賛美」(第5楽章)
・「イエスの不死への賛美」(第8楽章)
・「世の終わりを告げる天使のために、虹が乱れ飛ぶ」(第7楽章)
8曲に拡大して改めて初演
1941年1月15日にメシアンやパスキエらによっておこなわれた「世の終わりのための四重奏曲」全曲初演は、上記6つの楽章に、第1楽章「水晶の典礼」と 第6楽章「7本のトランペットのための狂乱の踊り」を加え、上記イベントと同じく第8A捕虜収容所第27兵舎の小劇場風なバラックで開催し、ビーラス司令官やブリュール大尉などの職員と捕虜約400名が集まって鑑賞しています。
ちなみに前年6月には独仏休戦協定が締結されていたため、メシアンたちも初演から約1か月後には釈放されていますが、クラリネットのアコカだけはユダヤ人のため自力で脱走してフランスの「自由地域」に逃げています。
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トラックリスト (収録作品と演奏家)
CD 50'48
オリヴィエ・メシアン [1908-1992]
メシアン:「世の終わりのための四重奏曲」
01. 第1楽章 「水晶の典礼」 02'48
02. 第2楽章 「世の終わりを告げる天使のためのヴォカリーズ」 05'32
03. 第3楽章 「鳥たちの深淵」 07'59
04. 第4楽章 「間奏曲」 01'46
05. 第5楽章 「永遠なるイエスへの賛美」 08'36
06. 第6楽章 「7本のトランペットのための狂乱の踊り」 07'06
07. 第7楽章 「世の終わりを告げる天使のために、虹が乱れ飛ぶ」 08'01
08. 第8楽章 「イエスの不死への賛美」 08'19
ダヴィデ・バンディエーリ(クラリネット)
リーザ・シャッツマン(ヴァイオリン)
ヨエル・マロシ(チェロ)
マリヤ=リーサ・マロシ(ピアノ)
録音:2018年2月24日(トラック5)、2019年2月7〜8日(トラック1〜2、4、6〜8)、イタリア共和国、ウンブリア州、ペルージャ、クラシカル・レコーディング・ストゥーディオ、2023年12月30日(トラック3)、イタリア共和国、ウンブリア州、ペルージャ、アウディトリウム・ディ・サンタ・チェチーリア
Track list
Olivier Messiaen
Quatuor pour la fin du Temps
[Quartet for the End of Time]
1. Liturgie de cristal 2’48
2. Vocalise, pour l’Ange qui annonce la fin du Temps 5’32
3. Abîme des oiseaux 7’59
4. Intermède 1’46
5. Louange à l’Éternité de Jésus 8’36
6. Danse de la fureur, pour les sept trompettes 7’06
7. Fouillis d’arcs-en-ciel, pour l’Ange qui annonce la fin du Temps 8’01
8. Louange à l’Immortalité de Jésus 8’19
Davide Bandieri clarinet
Lisa Schatzman violin
Joël Marosi cello
Marja-Liisa Marosi piano
Recording:
30 December 2023, Auditorium di Santa Cecilia, Perugia (tr.3);
24 February 2018 (tr.5) & 7-8 February 2019 (tr.1-2, 4 & 6-8), Classical Recording Studio, Perugia, Italy