ロシアに根付くことになった作曲者の作風が、その後のスクリャービンなどに影響を与えたことがよくわかる。テクニック的にも難しいと思われるが、奏者は良く作品を弾き分け、共感を持って高いレベルで弾いている。ピアノコンチェルト以外は聞いたことがなかったが、心惹かれる作品であると感じた。今後も知られざる作品も取り上げてほしい奏者であると思う。

ＣＤの帯に「小さな曲の中に限りない愛を込めて」とあるが、いわゆるセールストークではなくて、正真正銘その通りだ。演奏時間１〜２分から数分の曲が殆どだが、その中に限りない愛かどうかは別として美しいメロディーがいっぱい詰まっている。１曲目の子守歌から優しさに包まれてとても心地いい。就寝前にピアノ小品集を聴くことを日課にしているが、１週間に１回ほどの割合でこれをかける。穏やかな気持ちで安眠できること請け合い。それにしても、このようなアルバムをリリースしてくれるＧＲＡＮＤ ＰＩＡＮＯさん、なかなか粋じゃないか。

大変テクニカルな曲ながら、リストのような毒が微塵もありません。宝石のような美しい小品の数々です。 そこらへんが知名度の低い要因かもしれませんが… ピアノ好きなら是非聴いてみてください。良いですよ!