正規初出!ブリテン自作自演SWR録音集
SWRアーカイヴのマスターにより音質優秀!
当時、新設されたばかりの南西ドイツ放送(SWR)音楽部門のディレクター、ハインリヒ・シュトローベルは、放送局付きのオケとのコンサートや番組制作に同時代の作曲家=指揮者を招へいすることにたいへん積極的であった人物で、オネゲル、ヒンデミット、コープランド、ストラヴィンスキーにつづいて、招かれたのがブリテンでした。メインを飾る3作品が、それぞれ英日の祝賀行事に向けて作曲されているのが特徴的なこのアルバムは、1956年12月にブリテンがバーデン=バーデンを訪れた際に行った録音を収めたものです。
1953年作曲の『グローリアーナ』は、エリザベス2世の戴冠を記念して、ブリテンが英国政府より委嘱されたオペラ。組曲は4楽章形式からなり、第2楽章で深深とした歌唱を聴かせるのはブリテンの公私にわたるパートナーであったピアーズ。
『エリザベス朝の主題による変奏曲』もまた、エリザベス2世の戴冠を讃えようという、ブリテンの呼びかけに応じた、仲間の英国の作曲家たちとの共作。その内容はバードのオリジナル作品『セリンジャーのラウンド』を主題に、ブリテンほか、ティペット、ウォルトン、アーサー・オールドハム、レノックス・バークリー、ハンフリー・サールがそれぞれ思い思いに変奏曲を書いたもの。1953年のオールドバラ音楽祭で作曲者を伏せて初演して、ブリテンは聴衆に作曲家の身元を中てさせるという、ちょっとした実験を行っています。
そして、日本の皇紀2600年を祝う作品として委嘱されながら、痛烈な皮肉に満ちた形式と内容から日本政府から受取りを拒否されたいわくつきの傑作『シンフォニア・ダ・レクィエム』。ブリテン自演は極め付きの内容揃いですが、1953年のデンマーク国立放送響とのモノラル・セッション録音と、1964年のニュー・フィルハーモニアとのステレオ・セッション録音とのあいだに位置するこのたびも、質の高い演奏内容が期待されるところです。SWRアーカイヴのオリジナル・マスター・テープ使用により、モノラルながら鮮明な音質です。(キングインターナショナル)
【収録情報】
・ブリテン:交響組曲『グローリアーナ』Op.53a*
・ブリテン:シンフォニア・ダ・レクィエムOp.20
・エリザベス朝の主題による変奏曲(1953)
・パーセル(ジュリアン・ハーベッジ編):歌劇『アーサー王』よりシャコンヌヘ長調〜弦楽とチェンバロのための
南西ドイツ放送交響楽団(現:バーデン=バーデン&フライブルクSWR交響楽団)
ピーター・ピアーズ(T)*
ベンジャミン・ブリテン(指揮)
録音時期:1956年12月1日
録音場所:バーデン=バーデン、ハンス・ロスバウト・スタジオ
録音方式:モノラル(放送用セッション)