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アニメーションと国家

フィルムアート社編

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784845924233
ISBN 10 : 4845924234
Format
Books
Release Date
March/2025
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

アニメーターはいかに生まれ、アニメーションはどのように戦時下の国民文化となったのか?

社会学の視点からアニメーションと戦争、そして国家との関係を見つめ直す


現在、日本では年間300本以上のアニメーション作品が放映されており、その人気は国内にとどまらず、世界中で高い評価を得ている。
1963年に放映された『鉄腕アトム』以降、日本のアニメーション業界は大量生産が可能な体制を確立していく。その原動力となったのが、アニメーション制作における分業体制の導入である。そして、そのなかでも特に重要な役割を担い、大量生産に不可欠だったのが「アニメーター」だった。

この分業体制の確立と、専門職としての「アニメーター」の誕生は、戦時中にさかのぼり、そこで制作されたのはプロパガンダ映画だった。
アニメーションと戦争、そして国家は、きわめて密接な関係にあるといえる。

本書では、戦時期にアニメーションを取り巻く環境がどのように変化したのかを明らかにする。国家の文化政策、アニメーターという職業の誕生、配給システムの変化、そして戦時下に制作された『桃太郎 海の神兵』をはじめとするアニメーション作品の分析を通して、文化がいかに制度化されるか、つまりアニメーションが国民文化となっていく過程を浮き彫りにする。その流れのなかで、アニメーションの日本起源説、かわいい動物キャラクターが生む効果、アニメーションと教育の関係など様々な論点にふれ、より深くアニメーションと日本との関係を捉え直していく。

また、日本の状況だけでなく、戦時下のフランスのアニメーションについても論じるのが本書の特色だ。国家が介入することにより制作体制が確立されるだけでなく、植民地へのまなざしの変化、自国文化の優位性の確保、敵国人の描き方など、日本との共通性を明らかにする。加えて、高畑勲や宮ア駿が影響を受けたフランスの巨匠ポール・グリモーの『やぶにらみの暴君/王と鳥』についても論じ、戦時中から続くアニメーションにおける空間表現の特質を照らし出す。

こうした歴史的視点を踏まえ、戦中戦後の連続性を指摘するだけでなくアニメーションの舞台を巡る「聖地巡礼」や現代のアニメーターの労働状況、宮ア駿の監督最新作『君たちはどう生きるか』といった作品にも言及し、現代におけるアニメーション文化の展開についても考察する。

気鋭の社会学者による、アニメーションや戦時下の文化の研究者だけでなくアニメファンも必読の一冊。

【著者紹介】
雪村まゆみ : 関西学院大学大学院社会学研究科博士課程後期課程修了、博士(社会学)。現在、関西大学社会学部教授。専門は、文化社会学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 富士さん

    正直評価が難しい内容でした。なぜ比較対象がフランスなのかに自然と納得できるかが、本書の議論が妥当かどうかを決めるように思います。確かにジブリの人たちへの接続を考えるとそうかもしれませんが、それではなぜアメリカではないのか。ロシアではなく、チェコではなく、カナダではなくフランスなのか。そもそもフランスのアニメって、日本と比較できるほどかっちりした量産体制を維持してきたのか?そこに著者の専門だっかたら、以上の理由を見出せるかが本書の評価を決めると思います。分業への注目は慧眼ですが、だからこそ疑問が残ります。

  • spike

    著者のアニメーション研究の集大成とでもいうべき本なのだろう、想いの全てを詰め込んだ感じで、前半と後半は異なるテーマを語り、終章はさらに「君はどう生きるか」論になっている。それぞれが明確につながっているわけではない(著者の中では繋がっているはずだが)けれど、読んでいてバラバラな印象は受けない。2〜3冊の本を一気に読んだような満足感。

  • 於千代

    戦時中の国家利用から近年の聖地巡礼、アニメーション産業までを扱うアニメーション研究の論文集。戦争利用については大塚英志の作品で知っていたが、可愛らしいキャラクターを用いることで支配と被支配の差異を曖昧にすることや、暴力性を覆い隠していたということが指摘されており、納得させられた。また、戦時下に構築された製作体制が戦後も受け継がれているというのも皮肉な話だと感じた。

  • Go Extreme

    黎明期:海外作品影響受け 国産アニメ模索 北山清太郎 幸内純一 下川凹天 個人制作中心 戦時下:国家戦略と結びつき 国策宣伝手段へ アニメーター育成 分業体制確立 長編『桃太郎の海鷲』制作 瀬尾光世 戦後:戦時経験者が礎 東映動画設立 テレビアニメ時代到来 虫プロ『鉄腕アトム』 大量生産体制 高畑勲 宮崎駿登場 海外影響:フランス ポール・グリモー『やぶにらみの暴君』等が高畑 宮崎に多大な影響 空間表現革新へ 現代:世界的人気 グローバル市場拡大 聖地巡礼現象 一方でアニメーターの労働環境問題も

  • horada

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