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幽霊森林

ピク・シュエン・フォン

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784865284614
ISBN 10 : 4865284613
Format
Books
Publisher
Release Date
March/2025
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

仕事が見つからないことを恐れ、香港にひとり残ることを決意した父と、三歳半のとき、家族とともに異国カナダに渡り、いまではニューヨークに暮らす私。異なる文化に育ち、すれ違い続けてきた父と娘のあいだには微妙な距離がいつもあった。どうしよう、このまま父さんに「I Love you.」といちども言えなかったら―歴史に揺られ、いまを生きる中国系移民の姿を淡いタッチで描きカナダ、北米で絶賛された新しい家族小説。

【著者紹介】
ピク・シュエン・フォン : 香港生まれ、バンクーバー育ちのカナダ人作家。アメリカの大学で美術を専攻し、スクール・オブ・ビジュアル・アーツで修士号を取得。ビジュアル・アーティストとしても活躍している。ニューヨーク在住。デビュー作である本書はアメリカとカナダで刊行され、Amazon Canada First Novel Award、Rakuten Kobo Emerging Writer Prize(ともに2022年)を受賞するなど高く評価され、イタリアやトルコなど複数の国で翻訳されている

神崎朗子 : 翻訳家。上智大学文学部英文学科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • NAO

    あらゆる登場人物に名前はなく、物語は筋立てては語られない。回想、語り、思索などからなる103の短編が、いつしか淡い水墨画のような世界を作りあげていく。作品のテーマは、喪失、悲嘆、苦悩と向き合うこと。そして、自分の感情を言葉にして伝え合うことの大切さ、である。香港統合の際にカナダに移住、父親だけが香港に残り1年の大半を父親不在で過ごした主人公と父親のすれ違いを描いた表題にもなっている「幽霊森林」は切ない話。だが、父親の入院を機に、主人公は積極的に思いを伝えようとする。その父娘の交流の温かさ。

  • ori

    香港返還時、多くの家族が父だけが香港に残り家族はカナダやイギリスなどに移住する形をとった。休みにしか会えない父と娘のコミュニケーションは年を追うごとにすれ違う。コミュニケーション不足や世代的な習慣から父は無意識に冷たい言葉で娘を傷つける。娘は父を喜ばせようと画策するがその度に傷つく。そんな父と娘の話の中に、異国に子供と親を連れて移住した母の孤独、才能があり時代的には珍しい女性だった祖母の若い頃の話、日本占領時の話が語られる。皆がそれぞれに傷つき、また誰かを傷つけたことをひっそりと後悔している。

  • アヴォカド

    家族の歴史や家族への想いが断片で語られ、静かに少しずつ積み重ねられていく。詩のように、ふわふわの小さな羽のように。しみじみしてしまった。

  • ののまる

    じんわり、ちょっと涙ぐんだり、あーわかるなと思ったりの一気読みです。日本占領期から中国返還前後の香港の歴史的背景を知っていたら、またジワジワくる。

  • 寄り道

    今から30年ほど前、バンクーバーで移民の人達と同じ地域に住んでいたことがあった。その中で自らをアストロナットと呼んでいる中国の人達がいた。彼女たちの夫は自国で働きバンクーバーの家族を養っていた。そして年に何回か空を飛んでお互い会いに行く、つまり宇宙飛行士のような存在だと言っていた。今回、この本に出会ってそれまで知り得なかった彼女たちの思いの一端に触れることができた。異文化の中でぶつかり、すれ違い、最後まで分かり合えなかった父と娘。歴史の表に出ない家族の思いや苦悩に初めて気づくことができた。

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