Gulda The Complete Musician (Selection From His Recordings)

“コンプリート・ミュージシャン”とは、大きく出たな！と思ったが、考えてみれば、グルダほどクラシックの範疇を超えて活動した演奏家は、そういない。指揮者で言えばバーンスタインあたり？それでも、バーンスタインほどグルダの音楽が理解されているようには思えない。この3CDからなる紙製のボックス・セットには、Amadeoレーベルに録れたあらゆるジャンルの音楽が詰め込まれている。1枚目は、ラヴェル”夜のガスパール”、ドビュッシーの2曲、グルダ編曲のシューマン”月光”、グルダ編曲のシューベルト”さすらい人”、シューベルトの16番のソナタ。2枚目は、グルダ編曲のJ.シュトラウス”ゴロウィンの森の物語”、J.S.バッハの様々な楽器(アルトブロックフルート、バッソ・コンティヌオ、クラヴィコード)による作品、そして、グルダ”(息子)リコのために”。3枚目は、グルダの”アラビア風ジプシー風幻想曲”、”バスフルート・ブルース”、”他の惑星からの音楽”、練習曲(2曲)、”プレリュードとフーガ”、”(息子)パウルのために”、D.Gillespie-F.Paparelliの”チュニジアの夜”、C.Porterの”恋とはこんなものかしら”というジャズの音楽、そしてベートーヴェンの”バガテル(1番、3番)”、31番のソナタ、最後はJ.S.バッハの平均律からの1曲。実に幅広いジャンルの音楽だが、収録は1977年12月と翌年1月になされており、集中して録音されたことを考えると、空恐ろしさを覚える。ラヴェル、ドビュッシー、シューベルト、ベートーヴェン、バッハは他者の演奏を凌ぐ素晴らしい名演である。グルダをこの3枚だけで理解するのは困難かも知れないが、グルダというミュージシャンを知るには最適のセットである。

These are not ”selections from his recordings” but a marathon project from the late ’70’s offering Gulda the oportunity to display all of his musical interests in a single album： from Bach to his own jazz based compositions. Some of the most impressive Ravel, Debussy and Bach is coupled with profound readings of Beethoven’s Op; 110 and Schubert’s D. 845. The slightly silly tracks of Gulda playing the recorder (quite well, but not spectacularly) do not lessen the value of this overwhelming display