The Malcolm Smith Memorial Album : L.Howard, John Lill, Bebbington, Jacobson

マルコム・スミスの思い出

マルコム・スミス[1932-2011]って誰、というところから始まるこの１枚。彼はイギリスのクラシック音楽界を牽引した人で、多くのプロモーション活動を行い、またストラヴィンスキー、ヴォーン・ウィリアムズ、ブリテン、バーンスタインなど偉大な作曲家たちの個人的な友人であり保護者でした。英国音楽教会の副会長を務め、またロイヤル・フィルハーモニー協会の終身会員であり、いくつもの合唱団をサポートしていました。彼はよく「私はあなたを助けてもよいですか？」と電話をかけたといい、それに応えた人々は彼への感謝の気持ちを忘れることはありませでんした。何より彼は1969年から、世界に名だたる楽譜出版社ブージー＆ホークスのライブラリ・マネージャーとして、20世紀音楽の発展に寄与した功績が大きく、数多くの作曲家たちは彼に敬意を払っていたのです。
　このアルバムの１曲目のロビン・ホロウェイ[1943-]の『行進曲』には、マルコムのお気に入りの作品のいくつか〜エルガーの『エニグマ』、ディーリアスの『アパラチア』、リヒャルト・シュトラウスの『ばらの騎士』などいくつかの曲が引用されたおり、これは彼の退職を祝したパーティで演奏されたものです。他の作曲家たちもスミスと関係深い人ですが、なかでもレスリー・ハワード[1948-]は、世界初の「フランツ・リスト全作品」の演奏者としても知られる日本でもなじみの深い人で、この全集にもスミスの協力があったのかと思うと、まことに感慨深いものがあります。（NAXOS）

【収録情報】
1.　ホロウェイ：6手のための大英雄行進曲 (1982/1997)　1997年5月23日、マルコム・スミス氏がブージー＆ホークス社を離れたときを記して
2.　ハワード：ピアノのための演奏会用幻想曲『ラディゴア』 Op.40
3.　ロバート・マシュー＝ウォーカー[1939-]：幻想的ソナタ『ハムレット』（ピアノ・ソナタ第3番） (1980)
4.　ヘンデル：オラトリオ『快活の人、沈思の人、温和の人』 HWV.55〜「Come, but keep thy wonted state」（ハワード編曲 2010）
5.　ハンフリー・サール[1915-1982]：ピアノ・ソナタ Op.21

　ジョン・リル（第1ピアノ：1）
　レスリー・ハワード（第2ピアノ：1、ピアノ独奏：2,4）
　マーク・ベッビントン（第3ピアノ：1、ピアノ独奏：3）
　ジュリアン・ジェイコブソン（ピアノ独奏：5）

　録音時期：2013年9月12日（1-4）、2004年1月8日（5）
　録音場所：イギリス、ストーク・ド・アベルノン、メニューイン・ホール
　録音方式：ステレオ（デジタル／セッション）
　世界初録音（1-4）