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Violin Concerto, 2, : Vasile(Vn)Wallberg / Ndr So +caprices(Slct)

Paganini (1782-1840)

User Review :4.0
(1)

Item Details

Genre
:
Catalogue Number
:
RH032
Number of Discs
:
1
Label
:
Format
:
CD
Other
:
Import

Product Description

コルネリア・ヴァシリー名演集

あのギトリスが「ミルシテインとシェリングが一緒になっても、彼女に敵わない」と絶賛したルーマニア出身のヴァイオリニスト、コルネリア・ヴァシリー[1948-2010]。惜しくも早世した上に録音が少ないために真価が知られておりません。聴いて納得の名手です。(輸入元情報)

【収録情報】
● パガニーニ:ヴァイオリン協奏曲第2番ロ短調 Op.7『ラ・カンパネラ』

 コルネリア・ヴァシリー
(ヴァイオリン)
 ハインツ・ワルベルク指揮、北ドイツ放送交響楽団
 1969年6月20,21日(ステレオ/ライヴ)

● パガニーニ:24のカプリース Op.1〜第1,4,5,9,11,13,24番

 コルネリア・ヴァシリー
(ヴァイオリン)
 1970年1月21日、ハンブルク(ステレオ/ライヴ)

Customer Reviews

Comprehensive Evaluation

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コルネリア・ヴァシレについて、覚えている...

投稿日:2024/06/20 (木)

コルネリア・ヴァシレについて、覚えていることと言えば、まずジュゼッペ・ガセッタなる人物が1931年に録音したとされるニコロ・パガニーニのカプリースの抜粋が、彼女の録音を加工したものだと看破されたという話。この話とて、もう10年以上前の話である。ジョイス・ハットー・スキャンダル(ピアニストのジョイス・ハットーの夫が、自社レーベルのコンテンツのために、妻の名義を使って他社の録音を加工して販売していた事件)のヴァイオリン版として面白がられた。ガセッタ・スキャンダル自体はヴァシレの生前に発覚したらしいが、ガセッタが2008年に急逝し、ヴァシレも2010年にミュンヘンで人知れず没したことで、この事件の騒動は沈静化している。ヴァシレ自身も、ガセッタのCDが出た同じころに、ルーマニアのエレクトレコードからパガニーニのカプリースの全24曲のCDをリリースしたらしいが、こちらは全く話題にならず、私がその存在を知ってオーダーをかけた時には、もう廃盤だった。 ヴァシレは、1970年にドイツ・グラモフォンから期待の新人として1枚のレコードを出したが、国内盤(そのレコードでは「コルネリア・ヴァジーレ」と表記)でもある程度流通していて、そこに記載されているヴァシレの説明が、日本語で読める彼女の身元確かな情報ではなかったか。ガセッタ・スキャンダルで用いられた元々の録音は、そのレコードに収録されているカプリースの抜粋だったというわけだ。レコード・コレクターの中には、先に上げたヴァシレのカプリース全24曲のCDの初出レコードを持っていることを自慢する人もいたし、クルト・グラウンケと彼のオーケストラのレコードの共演者として彼女の名前を見つけ出して悦に入る人もいた。そんなコレクターを持っている人の中には、どこから仕入れたのか、彼女に纏わる話を教えてくれた人もいたことを思い出す。1973年にジェノヴァのパガニーニ国際ヴァイオリン・コンクールに出場してファイナルまで残れず、自殺未遂を起こして経歴にミソがついたとか、グラウンケのオーケストラに雇われたけれど無断欠勤を繰り返して社会人としての信用を失ったとか、それで世を儚んで自ら命を絶った(この話を聞いた時は、彼女は存命だったようだ)とか、そういう、彼女を友達にしたらえらい目に遭いそうな話ばかりが記憶に残るが、今となってはどれも本当か嘘か、分かったものではない。まぁ、そんなヴァイオリニストだから、再評価の芽は出てこないと思っていたのだが、こうして彼女の録音が曲がりなりにもフィジカル・メディアとして購入できるようになるとは、時代も変わったものだと実感する。 ライン・クラシックスは、彼女に稽古をつけたことのあるイヴリー・ギトリスがナタン・ミルシテインやヘンリク・シェリングを引き合いに出して「彼ら二人が力を合わせても彼女に敵うまい」と絶賛したという話で、彼女のイメージ・アップを図っているが、ドイツ・グラモフォンの国内盤LPが出たときの「ヴァイオリンのアルゲリッチ」というキャッチ・コピーも効果的なのではないか。 収録されているのは、ハインツ・ヴァルベルクの指揮する北ドイツ放送交響楽団と共演したパガニーニのヴァイオリン協奏曲No.2と、カプリースNo.1,4,5,9,11,13&24。ヴァルベルクと共演した協奏曲は1969年12月20日から翌日にかけて北ドイツ放送の第10スタジオで行われた録音。カプリースの選集は1970年1月21日に同じ第10スタジオで行われた録音。”Live in Studio”とのことだが、演奏終了後の拍手は一切ない。 ギトリスの絶賛したヴァイオリニストということで、ギトリスを彷彿とさせる演奏が聴けるのかと期待すると、当てが外れる。カプリースの選集で聴くことのできる演奏の印象は、ルッジェーロ・リッチやサルヴァトーレ・アッカルドより手堅い印象。アクロバティックなフレーズも、アレクサンドル・マルコフみたいな曲芸志向と距離を置き、技巧的な弱さを一切感じさせることなく、楷書体で弾き切ってしまう。アスリート的な達成感や爽快感もさほど感じられず、どういう音の並びになっているか分解清掃して弾き方の学習教材にしてやろうというような教条的なところもない。ただただ無心に曲と向き合うようなヴァシレの奏楽に、何か快・不快の一つ上の概念と接して高僧と穏やかに問答をしているような感覚になってしまう。なんだかんだでうんざりすることなく、最後まで聴けてしまった。 カプリース選集の前に収録されている協奏曲録音も、技巧的卓越性でオーケストラを出し抜こうという野心が感じられないのが不思議。スリルより確実性を取ったような無理のないテンポ設定は、ギトリスがヴァシレを絶賛する際に引き合いに出したシェリングを彷彿とさせるが、シェリングよりも表現の肌理が細かい。表現の意外性よりも妥当性を重視したような丁寧な独奏は、非の打ちどころを探そうとする聴き手を、非の打ちどころの探索がどうでもよくなるような心持に刺せるような力があるような気がする。

窓際平社員 さん | 徳島県 | 不明

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