CD 輸入盤

鍵盤のための作品全集 第8集〜ケーテン、1717〜1723、マリア・バルバラに捧げる バンジャマン・アラール(チェンバロ、クラヴィコード、他)(3CD)

バッハ(1685-1750)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
HMM902469
組み枚数
:
3
レーベル
:
:
Europe
フォーマット
:
CD
その他
:
輸入盤

商品説明


アラールが肉薄するバッハの姿。バッハの鍵盤作品全集、第8集

名手アラールによる偉大な挑戦、バッハの鍵盤作品全集第8集は『インヴェンションとシンフォニア』そして『フランス組曲』ほかを収録。楽器はチェンバロ、クラヴィコード、ペダル・クラヴィコードを用いています。
 タイトルにあるマリア・バルバラ[1684-1720]はバッハの最初の妻。彼女の父はオルガン奏者にして作曲家であり、父から音楽教育を受けたと考えられていますが、あまり詳しいことはわかっていません(W.F.バッハやC.P.E.バッハら作曲家として現在にも名を残している息子はマリア・バルバラとの子供)。1717〜23年頃に書かれた(と考えられる、あるいは浄書譜が残っている)作品には少なからずマリア・バルバラと生活を共にしていた時に完成、あるいは着想されたものが多数あるはず、ということでアラールはこのアルバムに「マリア・バルバラ」の名前を入れています。
 「ケーテン時代」にバッハが仕えていたケーテン侯はカルヴァン派(音楽が信仰の妨げになるという考え)だったため、バッハは教会カンタータは書きませんでした。この時期には世俗音楽を多数書き、『ブランデンブルク協奏曲』『無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ』『インヴェンション』『平均律第1巻』などがこの時代の自筆譜で伝えられています(すべてがこの時期に作曲・完成されたかどうかは不明)。1720年7月、バルバラが亡くなります。無伴奏ヴァイオリンの作品などはマリア・バルバラの死への悲しみの感情が迸っていると言われることもあります。ここでは無伴奏ヴァイオリンの作品を鍵盤で演奏しております(バッハもしばしばこのように演奏したと伝えられています)。
 『フランス組曲』は1722〜25年、アンナ・マグダレーナ・バッハのためのクラヴィーア小曲集へ書き込まれる形で初稿譜が誕生しています。歴史的チェンバロ(1645年製のクシェ)で演奏されており、フランス風の細密画の非常に特別な世界を垣間見せてくれます。F.クープランの手法で描かれた肖像画のようでもあります。アラールは『フランス組曲』の第1,2,5,6番の前に、F.クープランの『クラヴサンの技法』から関係調のプレリュードを配して演奏、これによりバッハ、F.クープランの作品がそれぞれより際立ってきます。
 『インヴェンションとシンフォニア』もクラヴィコードでの演奏によりますが、バッハは『インヴェンションとシンフォニア』のタイトル・ページで、これらの曲がクラヴィコード特有の「カンタービレ」の演奏スタイルを身につけるためのものであると明確に記しています。当時から1850年頃まで、ドイツ語圏ではクラヴィコードが音楽全般、特に鍵盤音楽を学ぶための基本的な道具でした。アラールの演奏により、『インヴェンションとシンフォニア』の、バッハが聴いていたであろう響きによる演奏を識ることができます。
 通常オルガンで演奏される作品(ディスク1の5および6)が、ここではペダル・クラヴィコードで演奏・録音されていることにもアラールのこだわりが。当時オルガンを実際に演奏するには人力によってパイプに風を送り込まなければならず、いつも自由に演奏できるものではありませんでした。時に奏者はペダル・クラヴィコードで練習していたのです。BWV598のペダル練習曲は大バッハのペダルの技術の驚異性を伝えるもので、エマヌエル・バッハの筆者譜によって伝えられています。アラールの足鍵盤の技術にも注目です。
 バッハの作品ひとつひとつの完成度の高さに驚くとともに、バッハの生涯や生活、周囲の環境までにも思いを馳せながら聴くことができ、アラールがいよいよバッハに肉薄していることも感じられる、非常に濃い内容の3枚組となっております。(輸入元情報)

【収録情報】
J.S.バッハ:鍵盤のための作品全集 Vol.8〜ケーテン、1717-1723、マリア・バルバラに捧げる


Disc1
J.S.バッハ:
1. ソナタ ニ短調 BWV.964(原曲:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番イ短調 BWV.1003)
2. シャコンヌ ニ短調 (原曲:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番ニ短調 BWV.1004〜第5曲)
3. プレリュードとフーガ(原曲:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ 第1番ト短調 BWV.1001〜第2曲)
4. アダージョ ト長調 BWV.968(原曲:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第3番ハ短調 BWV.1005〜第1曲)
5. ペダル練習曲 ト短調 BWV.598
6. ファンタジア ト短調(ファンタジーとフーガ BWV.542より)

Disc2
J.S.バッハ:
1. インヴェンション ハ長調 BWV.772
2. シンフォニア ハ長調 BWV.787
3. インヴェション ヘ長調 BWV.779
4. シンフォニア ヘ長調 BWV.794
5. インヴェンション ニ短調 BWV.775
6. シンフォニア ニ短調 BWV.790
7. インヴェンション ト長調 BWV.781
8. シンフォニア ト長調 BWV.796
9. インヴェンション ホ短調 BWV.778
10. シンフォニア ホ短調 BWV.793
11. インヴェンション イ長調 BWV.783
12. シンフォニア ニ長調 BWV.789
13. インヴェンション ニ長調 BWV.774
14. インヴェンション ロ短調 BWV.786
15. シンフォニア ロ短調 BWV.801

16. F.クープラン:プレリュード ニ短調(『クラヴサン奏法』より)
17. J.S.バッハ:フランス組曲 第1番ニ短調 BWV.812
18. F.クープラン:プレリュード ト短調(『クラヴサン奏法』より)
19. J.S. バッハ:フランス組曲 第5番ト長調 BWV.816
20. F.クープラン:プレリュード ロ短調(『クラヴサン奏法』より)
21. J.S.バッハ:フランス組曲 第3番ロ短調 BWV.814

Disc3
J.S.バッハ:
1. シンフォニア 変ホ長調 BWV.791
2. インヴェンション 変ホ長調 BWV.776
3. シンフォニア ハ短調 BWV.788
4. インヴェンション ハ短調 BWV.773
5. シンフォニア ヘ短調 BWV.795
6. インヴェンション ヘ短調 BWV.780
7. シンフォニア 変ロ長調 BWV.800
8. インヴェンション 変ロ長調 BWV.785
9. シンフォニア ト短調 BWV.797
10. インヴェンション ト短調 BWV.782
11. シンフォニア ホ長調 BWV.792
12. インヴェンション ホ長調 BWV.777
13. シンフォニア イ短調 BWV.799
14. インヴェンション イ短調 BWV.784
15. シンフォニア イ長調 BWV.798
16. プレリュード 変ホ長調(フランス組曲第4番変ホ長調より BWV.815aの異稿)
17. フランス組曲 第4番変ホ長調 BWV.815
18. プレリュード ハ短調 BWV.999
19. フランス組曲 第2番ハ短調 BWV.813

20. F.クープラン:プレリュード ホ短調(『クラヴサン奏法』より)
21. J.S.バッハ:フランス組曲 第6番ホ長調 BWV.817

 バンジャマン・アラール(チェンバロ、クラヴィコード、ペダル・クラヴィコード)

 使用楽器:
 クラヴィコード:1773年クリスティアン・ゴットフリート・フリーデリキ製に基づく、2018年エミール・ジョバン製(Disc1、Disc2/1-15、Disc3/1-15)
 *ケンティン・ブルーメンレーダーによるペダル・ボードを使用(Disc1/5,6)

 チェンバロ:1645年頃ヨアンネス・クシェ製〜1720年頃フランソワ=エティエンヌ・ブランシェ鑑定、Musee instrumental de Provinsコレクション(Disc2/16-21、Disc3/16-21)

 録音時期:2021年6月(Disc2/16-21、Disc3/16-21)、12月(Disc1、Disc2/1-15、Disc3/1-15)
 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)


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Benjamin AlardによるJ. S. Bach鍵盤音楽全...

投稿日:2023/08/15 (火)

Benjamin AlardによるJ. S. Bach鍵盤音楽全集第8巻。今回何故かBachの一人目の妻、マリア・バルバラに捧げられていますが、内容的には二人目の妻アンナ・マグダレーナ・バッハのための音楽帳収録曲もあり、あまりタイトルにはとらわれず、「ケーテン前期」とでも理解した方がよいかも知れません。この全集企画全般に言える収録曲についての非常に不十分(不親切?)な解説はこの巻でもそのままですが、幸か不幸か収録曲の主要部分がインヴェンション/シンフォニアとフランス組曲全集という非常によく知られた作品なので、これまでの巻ほど、不満を覚えることは少ないかも知れません。ただそれでも(前々巻の平均律1巻時にそうであった)インヴェンション/シンフォニアの独自の曲順についてのAlard自身による詳細な解説が欲しかったと、(音楽の素人的には)思ってしまいますが...。全3CD中、CD1はほぼ無伴奏ヴァイオリンからのチェンバロ編曲、CD2と3がインヴェンション/シンフォニアとフランス組曲全曲に当てられており、われわれが耳にしたことのないような珍しい作品は本巻にはほとんど含まれておらず、馴染のある作品ばかりです。演奏は企画の独創性とは裏腹に堅実そのものであり、信頼のおける反面、過去の諸名演と較べて飛び抜けて優れた点はみつけにくいのも確かです。ここらへん、Bachの円熟期にさしかかり、作品の質も急速に充実していくと、それに追いついていないAlardの若さが意識されることはやむを得ないように思います。これは簡潔でごまかしの効かないインヴェンション/シンフォニアで特に感じることが多く、この曲集が演奏の難しいクラヴィコードを使用しているのも影響しているかも知れません。これまでの巻でも感じましたが、Alardは未だクラヴィコード奏者としてはまだ発展途上なのでしょう。昔、Kirkpatrickが平均律をクラヴィコードで演奏してチェンバロとは全く違う魅力を展開してみせたレベルにはまだ遠いように思います。とはいえ、誠実で意欲的な盤には違いなく、解説書の不十分さを差し引いても、一度聴いておく価値はあると思います。

mimi さん | 兵庫県 | 不明

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人物・団体紹介

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バッハ(1685-1750)

1685年:アイゼナハで誕生。 1700年:リューネブルクに移り、修道院付属学校の給費生として生活。 1703年:ヴァイマルの宮廷楽団に就職。 1707年:ミュールハウゼンの聖ブラジウス教会オルガニストに就任。同年、マリア・バルバラ・バッハと結婚。 1708年:ヴァイマルに移って宮廷オルガニストに就任。 1714年:楽師長

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