ハンナ・アーレント

人物・団体ページへ

エルサレムのアイヒマン 悪の陳腐さについての報告

ハンナ・アーレント

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784622086284
ISBN 10 : 462208628X
フォーマット
出版社
発行年月
2017年08月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
469p;20

内容詳細

“まったく思考していないこと、それが彼がある時代の最大の犯罪者の一人になる素因だったのだ”。アイヒマン裁判から著者が考え、理解し、判断したこととは。最新の研究成果を反映し、より正確かつ読みやすい新版。新解説付。

目次 : 法廷/ 被告/ ユダヤ人問題専門家/ 第一の解決―追放/ 第二の解決―強制収容/ 最終的解決―殺戮/ ヴァンゼー会議、あるいはポンテオ・ピラト/ 法を遵守する市民の義務/ ライヒ‐ドイツ、オーストリアおよび保護領―からの移送/ 西ヨーロッパ‐フランス、ベルギー、オランダ、デンマーク、イタリア―からの移送/ バルカン諸国‐ユーゴスラビア、ブルガリア、ギリシャ、ルーマニア―からの移送/ 中欧‐ハンガリー、スロバキア―からの移送/ 東方の殺戮センター/ 証拠と証人/ 判決、上告、処刑

【著者紹介】
ハンナ・アーレント : 1906‐1975。ドイツのハノーファー近郊リンデンでユダヤ系の家庭に生まれる。マールブルク大学でハイデガーとブルトマンに、ハイデルベルク大学でヤスパースに、フライブルク大学でフッサールに学ぶ。1928年、ヤスパースのもとで「アウグスティヌスの愛の概念」によって学位取得。ナチ政権成立後(1933)パリに亡命し、亡命ユダヤ人救出活動に従事する。1941年、アメリカに亡命。1951年、市民権取得、その後、バークレー、シカゴ、プリンストン、コロンビア各大学の教授・客員教授などを歴任、1967年、ニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチの哲学教授に任命される

大久保和郎 : 1923年東京に生まれる。慶應義塾大学文学部中退。独・仏文学を専攻。1975年歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

ユーザーレビュー

総合評価

★
★
★
★
★

5.0

★
★
★
★
★
 
1
★
★
★
★
☆
 
0
★
★
★
☆
☆
 
0
★
★
☆
☆
☆
 
0
★
☆
☆
☆
☆
 
0
★
★
★
★
★
率直に言って一般的には難解という部類にな...

投稿日:2021/04/13 (火)

率直に言って一般的には難解という部類になるかと思うけれども、それには少なからず翻訳が影響している面は否めないと思う。(ハンナ・アーレントの著作としてはむしろわかりやすい方ではないかと。)それだけに、副題の「悪の陳腐さについての報告」という日本語は秀逸であると言っておきたい。無論原題もその意味で秀逸であるにせよ。端的に言えばこの副題で本書の内容の過半は表されていると言っても過言ではないのではないか。被害者側も加害者側すらも、大罪を犯した主体にむしろ巨悪を希求する、それはある種の欺瞞であり、むしろとるに足らない、それ故に我々の隣や我々自身の中にあり得るようなものがその主体の一つなのだ、というアーレントの指摘は確かに心地悪かったろうし、今でも心地悪いと思う人は少なくなかろう。それ故に今でも意味のある書になってしまうのが哀しいと言えば哀しい。

Verdi さん | 神奈川県 | 不明

0

読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

powered by

  • ベイス さん

    名著の呼び声高いが、期待に違わぬ内容。史実を追う意味でも、人類がかつて経験したことのない大災厄に「関わる」とはどういうことなのかを知る意味においても、極めて示唆に富む。副題にある「悪の陳腐さ」を告発することに重きが置かれているとされがちだが、それはアーレントの主張のほんの一部に過ぎないと感じた。むしろ、アイヒマンの通俗的な性格や言動を明らかにすることで、人は誰しも、人類全体を敵とするような犯罪にも手を貸しうる、その危うさに警鐘を鳴らしているのだと思う。アイヒマンは陳腐、というよりも、あもりにも平凡なのだ。

  • パトラッシュ さん

    ホロコーストが行われた当時、ユダヤ国家イスラエルは存在していなかった。家族や友人を殺された人びとが建てた国が何とか報復をと考えてもナチス幹部は裁かれるか逃亡しており、命令に従っただけの無思想な輸送担当者アイヒマンしか残っていなかった。いわばBC級戦犯をA級戦犯扱いした政治裁判であり、その落差を著者が「悪の陳腐さ」と表現したことが、自分たちがナチスを裁けると喜んでいたユダヤ人世論に冷水を浴びせたのだ。同時に自分が平凡な亡命者として終わらず、後世に名が残る大物とされたのを喜ぶアイヒマンの思いも感じてしまうが。

  • Kircheis さん

    ★★★★☆ 現代日本にもどこか通じるところがある小役人アイヒマンの暴走。 ユダヤ人としてではなく、徹底して俯瞰でアイヒマンを評価するアーレントの姿勢には、言葉の表層だけしか切り取ることのできない人は歯がゆさを感じるだろう。 しかし、そのある意味冷徹な視線の奥には、限りなく深い人類に対する信頼を感じる。

  • 榊原 香織 さん

    エピローグと追記が良い。 ジェノサイドが問題となる今日、注目されてよい 当時、著者はこの作で大バッシングを受けて悪名高くなったらしい(ナチのユダヤ虐殺にユダヤ人シオニスト幹部が協力した、と暴露したから) 孤立を恐れず、激しく真実を追求する。彼女自身に興味がある。

  • Shintaro さん

    アイヒマンはSS中佐で終わった。ユダヤ人移送課長であるがロジスティクス面で活躍した。ユダヤ人の財産を没収して国外追放するまではまだましだった。マダガスカル移送を検討中、上官のミューラーに言われた。アイヒマン、マダガスカルはもういいよ。ユダヤ人をアウシュビッツに移送してくれ。これがプランAだ。アイヒマンは抗命できただろうか。官僚制のもとでは抗命しても後任があてがわれるだけだ。遅かったな、アイヒマン。全体主義が化物になる前に選挙で止めるしかなかったね。アーレントは言う、トコトン自分の頭で考えろと。投票しよう。

レビューをもっと見る

(外部サイト)に移動します

社会・政治 に関連する商品情報

おすすめの商品