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石川啄木

Donald Keene

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784103317098
ISBN 10 : 4103317094
Format
Books
Publisher
Release Date
February/2016
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

生地日戸村には一切触れず、啄木が自らの「故郷」と呼んだ渋民村。函館、小樽、釧路を転々とした北海道での漂泊。金田一京助とのあいだの類いまれなる友情。そして、千年に及ぶ日本の日記文学の伝統を受け継いだ『ローマ字日記』。資料をもとに作品を丹念に読み解き、二十七歳で早逝した啄木の生涯をたどる。九十三歳の著者が精魂傾けた傑作評伝。

目次 : 反逆者啄木/ 啄木、上京する/ 教師啄木/ 北海道流離/ 函館、そして札幌/ 小樽/ 釧路の冬/ 詩人啄木、ふたたび/ 啄木、朝日新聞に入る/ ローマ字日記/ 啄木と節子、それぞれの悲哀/ 悲嘆、そして成功/ 二つの「詩論」/ 大逆事件/ 最期の日々/ 啄木、その生と死

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • ころこ

    以前、外国人が漢字かな交じり文を読むのに苦労していて、全てひらがなで書かれた方が読み易いといっていたことを思い出し、表音文字の文化圏の人が『ローマ字日記』の暗号解読に惹かれるのは良く分かります。何とか名を成そうと、文学のような古臭いものではなく、日本の伝統から切り離されたところで芸人やユーチューバーのようになって、肉体言語を表現していたことが容易に想像できます。平易な文章で先行研究に多くを負っていますが、異なる文化的背景を持った人がアルファベットで書いたというだけでも大変意義のある仕事だと思います。

  • くまさん

     啄木は働きすぎていた。自分を軽蔑したり「雑誌の締切といふ実際上の事情に迫られた時でなければ、詩が作れぬ」ことになっていたから。「一生に二度とは帰って来ないいのちの一秒」をいとおしむ感覚は、現在を充実して生きるというよりも切迫感からくるものではなかったか。日記の迫真性に対する切実な希求にも共鳴する。嘘がなく正直で素朴で、しかし自由に思想すること、啄木がめざすその境地は、自分を「詩人」であると思い定めることにはなくあくまでひとりの人として生きる地平にあったと思う。

  • Mayuzumi

    啄木の日記を中心に膨大な文献を渉猟し、詩人の暗い眼差しと生活とを炙り出す。作者は完全に明治を生きる若き詩人の目を捉えており、彼の息遣いと共に釧路や小樽の雪景色が幻に浮かぶ。革命やトルストイの書物に刺激を受けてやたらに日記を書き継ぐが、出てくるのは屁理屈ばかりで、まったく本業の執筆をする気配のないところなど微笑ましい。一方で日記は、彼の書いたことが必ずしも真実ではないということも白日に晒す。金田一京助・妹・数多の証言者たちと啄木の真実とが食い違うとき、その寒々しい暗黒が、彼の日記を文学にまで昇めたのである。

  • ソングライン

    夭折した詩人、石川啄木の生涯を、残された日記、友人との書簡、家族の回想、彼についての様々な論文を参考に、死に至るまで再構築していきます。生活のための仕事の変遷と赴いた地での生活、小説家としての小才と詩人としての溢れる才能、認められぬ作品と貧困への絶望、そして愛した妻への不信、作者は人間啄木を深く考察し、その苦悩を浮き彫りにしていきます。啄木の作品を読んでみます。

  • Islay

    「日本人は昔から読書家として知られていたが、今はその特権を剥奪されつつある。多くの若い男女が本を読むのは、入学試験で必要となった時だけである」と、著者のキーン氏が憂えるように、僕自信、これまで教科書程度以上に接してこなかった啄木を語るには、いかにも不適任であるだろうし、当初は本書を読み通すことすら心許なかった。ところが、碩学でなるキーン先生の紐解く早世の天才歌人『啄木』の、その流転の生活の中に憤り、泣き、笑う、紛うことなき人間味が、彼の生きた時代と景色とを鮮やかに立ち上らせ、やがては豊かな物語と昇華する…

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