デーヴィッド・クレッシー

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火薬の母: 硝石の大英帝国史 -糞尿と森が帝国を支えた-

デーヴィッド・クレッシー

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784871542500
ISBN 10 : 4871542505
Format
Books
Publisher
Release Date
January/2024
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:
加藤朗 ,  

Content Description

 ウクライナ戦争では、ウクライナはもちろん、ロシアも兵器の調達に苦労している。兵器調達の苦労は今に始まったことではない。16世紀に銃砲が本格的に実戦に使用されるようになってからは、各国とも銃砲そのものよりも、火薬なかんずく火薬の主成分である硝石の調達に苦労した。筆者クレッシーも指摘しているように、硝石は現代のウランにも匹敵する重要戦略物資である。
 ウクライナへの兵器の供与、ロシアへの兵器の禁輸など、両国への国際的な武器移転の動向が、国際関係のみならず各国の国内政治も大きく変化させている。戦車や戦闘機など兵器の移転ばかりに目を奪われがちであるが、両国ともより深刻なのは砲弾の不足である。弾が無ければ、戦車も戦闘機もなんの役にも立たない。戦車も戦闘機もない19世紀以前の戦争では、砲弾、火薬そして何よりも火薬の主成分である硝石(硝酸カリウム)が戦争の帰趨を決したのである。イギリス、フランス、プロシアなどヨーロッパ諸国は血眼になって硝石を確保しようとした。その硝石の争奪が、現在のウクライナ戦争における武器移転同様に、ヨーロッパの国際関係や国内政治に大きな影響を与えた。
 詳しくは、本文に譲るが、本書は決して歴史書ではない。現代にも通ずる、国際政治の教科書とでも言うべき作品である。ウクライナ戦争は、アルマダの海戦、七年戦争、ナポレオン戦争など火薬の調達が裏面史であったヨーロッパの過去の大戦争にも通ずる砲弾の調達をめぐる戦争である。
 戦争の本質は、今も昔も変わらず、クラウゼヴィッツのいう「物理的暴力」である。そしてこの戦争の本質である「物理的暴力」をもたらすのが、「火薬の母」硝石なのである。
(「訳者まえがき」より)

【著者紹介】
デーヴィッド・クレッシー : 英国生まれ。現クレアモント大学院大学歴史学研究教授。ケンブリッジ大学で4つの学位を取得。本書執筆時のオハイオ州立大学では、人文科学特別栄誉教授およびジョージ3世英国史教授を務める。専門は、主に近世イングランドの社会史

加藤朗 : 桜美林大学名誉教授。1951年生。1975年早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1981年同大学院政治研究科国際政治修士修了。同年〜1996年防衛庁防衛研究所所員、同年〜2022年桜美林大学国際部助教授、リベラル・アーツ学群教授。専攻:国際政治(安全保障)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 帽子を編みます

    火薬(黒色火薬)の母とも言える硝石(KNO3硝酸カリウム)にしぼった大英帝国史です。鉱山で採掘するのかと思っていましたが、英国では自然採掘は出来ず涙ぐましい努力のすえかき集めていました。いわく鳩小屋の跡地へ、便所の跡地へ、王国許可証を携えた硝石採集人の横暴との領主、市民との戦い。硝石を効率的に採集するための実験、契約(むしろ空約束)、破産。戦争の必需品をどのように入手するかの戦略。あまり関心のない分野でしたが、いかにして大英帝国が成り立ったのかを考察する一冊でした。

  • みかん。

    東インド会社さまが船の喫水線を調整するバラスト(底荷)としてベンガル地方から硝石を持ち帰った訳ですね。で巨大化した大英帝国は庶民が遊戯や議論を深めることが可能となります。

  • みかん。

    大英帝国はインドを植民地として押さえることで硝石の自給化を可能とする。がドイツが第一次世界大戦の際に開発した、空中窒素固定技術、ハーバーボッシュ法により大英帝国の硝石供給の優位性が崩れ大戦後アメリカ等が台頭したのである。

  • 金吾庄左ェ門

    「鉄は国家なり」「ガソリンの一滴は血の一滴」とは我が国でも申しましたが、「コショウ一粒は黄金一粒」の言葉の如く、火薬製造のために硝石を確保する事と製造する事に血眼になっていたイギリスの政治的な事情がわかります。マグナカルタの国だけに、庶民の権利も多少は守ろうとする動きはあってもまだまだ王権は強く、硝石を確保するために王の名の下に庶民は土地をスッチャカメッチャカにされていました。おまけに火薬の製造が王室の独占事業とあっては、悪徳業者がはびこるのも無理はなかったでしょう。

  • みかん。

    大変な苦労とともに原材料を確保していた形跡が伺えます。

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