こびとが打ち上げた小さなボール

チョ・セヒ

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784309207230
ISBN 10 : 4309207235
フォーマット
出版社
発行年月
2016年12月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
357p;20

内容詳細

取り壊された家の前に立っている父さん。小さな父さん。父さんの体から血がぽたぽたとしたたり落ちる。真っ黒な鉄のボールが、見上げる頭上の空を一直線につんざいて上がっていく。父さんが工場の煙突の上に立ち、手を高くかかげてみせる。お父ちゃんをこびとなんて言った悪者は、みんな、殺してしまえばいいのよ。70年代ソウル―急速な都市開発を巡り、極限まで虐げられた者たちの千年の怒りが渦巻く祈りの物語。東仁文学賞受賞。

【著者紹介】
チョ・セヒ : 趙世煕。1942年、京幾道加平生まれ。ソラボル芸術大学(現・中央大学)文芸創作科、慶煕大学国文科に学ぶ。65年、「京郷新聞」新春文芸欄に「帆柱のない葬船」が当選して作家デビュー。その後一〇年の沈黙を経て75年より「こびと」連作を発表し始める。78年、『こびとが打ち上げた小さなボール』を刊行。同作で79年に東仁文学賞受賞

斎藤真理子 : 1960年、新潟市生まれ。明治大学文学部史学地理学科考古学専攻卒業。80年より韓国語を学び、91〜92年、韓国の延世大学語学堂へ留学。15年、『カステラ』で第1回日本翻訳大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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  • 藤月はな(灯れ松明の火) さん

    1970年代、近代化のために二束三文で土地を買い叩かれた挙句、かつての住宅を追い出され、破壊されたこびと、いざり、めくら、せむしなどの市井の人々。身体的な特徴がある彼らと学歴とコネが有利な競争社会で疲弊する人々の生き様は余りにも息が詰まるような社会を浮かび上がらせる。教師の正体が分かる場面に彼が歩んできた道を思うと頭を垂れるしかない。そして作者が「この作品は恥だ。何故なら、この本が今も読まれ続ける事は韓国社会が何も変わっていない証拠だから」という言葉に作者の無念が伝わってきて本当に遣る瀬無くて仕方なくなる

  • 南雲吾朗 さん

    兎に角、すごい衝撃を受けた。韓国にこんなにすごい作家が居たことを今まで知らなかったのは、すごく損した気分だ。1970年代の産業成長期の韓国の話。労働者側と経営者側の格差。財閥と貧困、異形や貧困に対する差別。それらが当たり前にあった世の中がそのまま描かれている。ついつい弱者の方だけが描かれるものだが、この小説は労働者側の苦悩だけでなく、経営側の苦悩もきちんと表現されており、その点はすごいと思った。大学受験を直前にした生徒に向かって話す数学教師の言葉から物語が始まる入り口も良かった。韓国文学は力強い文学だ。

  • 愛玉子 さん

    七十年代の韓国。持たざる者はとことん搾取され、使い捨てられる。中学が義務教育ではなかったため、小卒で働くしかない少年少女たち。貧しい者やせむし、いざり、こびとはメビウスの帯を這い続けているようなものだ。どこまでいっても上にあがることはできず、開発の名の下に住む場所さえ奪われる。「皆、過ちを犯していた。例外はありえなかった。ウンガンでは神も例外ではなかった。」蹴散らされた人々。資本主義は悪、と拳を突き上げる気はない。だがその差が今も消えるどころか広がる一方なのも確かなのだ。韓国で、日本で、世界のあちこちで。

  • マリカ さん

    「地球で生きようと、他の惑星で生きようと、われわれの精神はいつだって自由なのだよ」1970年代の韓国。急速な経済成長の真っただ中でその日を生きることに精一杯の貧しいこびと一家と彼らを取り巻く人々を描いた連作短編集。搾取される側もする側も出口の見えない薄暗いトンネルの中を彷徨う。心の中に「希望」が萌芽すると即座に暴力的に摘み取られる。「希望」など持たず、「絶望」と寄り添う方が楽だ。これは70年代の韓国だけの話ではない。高校教師の「自由」の一言が、こびとの小さなボールのように希望とともに打ち上げられる。

  • るんるん さん

    労働の実態、「人間のことを考えていないでしょう?」様々な言葉が心打つ。普遍的なメッセージがこびとが打ち上げた鉄のボールに託される。寓話と現実の構成力により最後の章にて生徒たちに俯瞰した視座を与える。教師が嘆く倫理の授業廃止制度は史実なのだろうか。愛、理性、正義について思考を深めてほしい作者の思いが強く感じられる。「海でいちばんいいのは、海の上を歩くことだ。その次にいいのは自分の舟で漕ぎだすこと。その次にいいのは海を眺めることだ。心配することはないよ、僕らは今、海で三番めにいいことをやっているんだから」

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趙世煕。1942年、京幾道加平生まれ。ソラボル芸術大学(現・中央大学)文芸創作科、慶煕大学国文科に学ぶ。65年、「京郷新聞」新春文芸欄に「帆柱のない葬船」が当選して作家デビュー。その後一〇年の沈黙を経て75年より「こびと」連作を発表し始める。78年、『こびとが打ち上げた小さなボール』を刊行。同作で7

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