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「新しい資本主義」のアカウンティング 「利益」に囚われた成熟経済社会のアポリア

スズキトモ

User Review :5.0
(1)

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784502437311
ISBN 10 : 450243731X
Format
Books
Publisher
Release Date
July/2022
Japan

Content Description

失われた30年で「利益」は急増している。―問題は生産性にあるわけではなく、株式市場(制度)の逆機能にある。成熟経済社会が深化する日本では、個別企業の“株主”利益最大化は、費用カットの名の下で、他のステークホルダー“役員・従業員・事業(再投資)等”への分配を削り取る。その結果、国全体で生産される付加価値合計(GDP)は増加せず、持続可能な成長が阻害されている。旧来の資本主義モデルにおける利益最大化経営で「ヒト」への投資が犠牲となり、行き過ぎた株主還元により、成長の原資もままならない状態に陥っているのだ。この構造上の問題=アポリアを打破するために「新しい資本主義」はどうあるべきか。この問題に、長年オックスフォード大学で教鞭を執り、帰国後も岸田政権等に影響を与える筆者が真正面から答え、新しい会計(Account+ing)=DS経営モデルを提唱し、付加価値の適正分配による日本再興の実現を説く。

目次 : 第1章 「新しい資本主義」の意味:本書の目的と方法/ 第2章 「新しい資本主義」はなぜ「分配」に注目するのか/ 第3章 「分配」戦略の前提としての「成熟経済社会」とは/ 第4章 DS経営・経済モデル:「付加価値分配計算書」の活用/ 第5章 シミュレーション1 マクロ・経済社会へのインパクト/ 第6章 シミュレーション2 就活生―従業員・投資家・役員・事業の行動変化/ 第7章 DS経営の実践に向けて:関係者の役割・動向/ 終章 成熟経済社会のアカウンティング:次世代のウェルビーイングのために

【著者紹介】
スズキトモ : オックスフォード大学博士・元教授。早稲田大学教授/一般財団法人アライアンス・フォーラム財団公益資本主義研究部門エグゼクティブフェロー。公認会計士第3次試験合格。大手監査法人にて監査や上場準備を経て、LSE(London School of Economics and Political Sciense)にて「社会科学哲学(修士号)」、オックスフォード大学にて「会計・経済の哲学(博士号)」を取得。そのまま同大学主任教授(サステナビリティ・マネジメントと会計学)を務めた。在英20年後、特殊疾病手術のために渡日、早稲田大学にて復職。現在、成熟経済社会における市民のウェルビーイングと持続可能な発展についての研究を進める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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長い間経営者を続けながら、ビジネス書を読...

投稿日:2023/03/12 (日)

長い間経営者を続けながら、ビジネス書を読んで勉強してきましたが、この本程現状の経営を理解したうえで、適切な方向性を示しているものに出会ったことがありません。 どこかで皆お名前だと思ったら、15年もなえに既定路線であった国際会計基準の強制適用に反対して、政治も経団連も動かして、任意適用に落ち着かせてくれた鈴木さんでした。当時から、無批判に外国人投資家におもねるような経営をしたらこの国の国富が皆巻き上げられて、R&Dが起きず、従業員も疲弊すると警鐘を鳴らして、足しげく企業や政治家を回って情報を収集したり、誠実に想いを伝えられていたのを思い出しました。 この本もまさに同じ著者の想いが詰まっているように感じます。日本は英米や新興国と違う資本主義の構造的環境を認識する必要があると。人口減少や、新興国の台頭や、自然災害の多さから、従来の投資拡大策を中心とする資本主義の運営の時期は卒業したと。未だに投資家頼りの政策を進めようとすると、逆機能が起きると。ここに逆機能とは、投資家がお金を提供してくれるのではなく、投資家が企業の生む付加価値を根こそぎ持ってゆく、しかもそれが高利益・高配当・高株価という指標で、良いことのように認識されてしまう。日経や東証やアナリスト協会、投資家協会はそのように記事に書くし、政治家や市民はそのように信じてしまうから、経営者もそうした指標に従わざるを得ないと。私の経験から、過去10年の日本の経営はまさに、まさにその通りです。本当は、従業員給料を上げ、研究開発に費用をかけ、メンテナンスにもお金を出さなければならないのに、投資家の圧力でそれが出来ない。経営者も株価連動型のボーナスをもらって、4−5年で退役すればいいから、そうする。鈴木さんは、そうした構造、アポリアに真正面から戦いを挑んでいる人、現代の宇沢弘文のような人です。 宇沢さんと違うのは、具体的な財務諸表・有価証券報告書データを駆使して、適正分配経営をすれば、ほんの少し配当を下げて他のステークホールダーに回せば、日本が再生するだけの資金があることを実証している点です。ここには具体的で、簡単で、実行可能な新しい経営モデルがあります。政治家にも、官僚にも、経営者にも、労組にも、投資家、東証、アナリスト、証券業協会にも読んで勉強していただきたい。ここには、日本を再生させる適正分配経営があり、そこに投資する投資家もきちんと設ける仕組みがあります。 この本、圧巻です。

匿名 さん | 東京都 | 不明

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • CEO

    著者の経団連における講演を聞いて読み始め一気に引き込まれた。オックスフォード大学のビジネススクールの教授も務めていたという著者、中国やインドでも活躍して、今は日本の政策を担当している。ここで提案されている政策はまさに目から鱗。経営者としても納得というか是非推進したい。幹事証券会社に話しても是非協働したいと力強い言葉。あとは、もう一押し政治による協力が欲しい。日本全体で進めない限り、不謹慎な金融経済の輩に勝てない。

  • あくぱ

    面白かった。新しい資本主義ってそういうことだったのか。ただ岸田首相は説明不足だと思うし、新しい資本主義のグランドデザインでは「資産」所得倍増に切り替わりスズキ氏の本書の主張からするとトーンダウンしてる気もする。 付加価値が高止まりしている成熟経済社会においては会計の役割は株主への報告よりその分配の適正性に重点があるべきという説明はなるほどである。これからの岸田政治とDS経営の広まりに期待する。

  • アバンセ

    社会人生活で20年以上経理財務系の業務に携わってきた身としてはこの手のテーマには批判的な考えを持っているつもりでしたが、読んでみてびっくりするほどその主張に納得感が得られました。株式市場は企業が資金調達する場ではなく株主に還元する場になっているというのはまさに実感として感じていたことでした。損益計算書に替わって従業員管還元も加えた分配計算書というのも面白いアイデアだと思いました。最初に全体まとめがあり、各章にもまとめがあるので本文と合わせて同じ話を何度も読まされることだけがちょっと残念でした。★★★★☆

  • tttrecord

    タイトルの「新しい資本主義」に惹かれて読み始めた。株主を最重視する株主資本主義からの転換のための政策提言であるDS経営の趣旨はよくわかった。筆者の海外で政策を実現した実行力も凄いのだろう。でも、前提としている(?)現政権が言っている新しい資本主義については、未だ浅学非才の身としてはよくわからない。本当に同じ方向を向いている?

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