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果報者ササル

ジョン・バージャー

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784622085522
ISBN 10 : 4622085526
Format
Books
Publisher
Release Date
November/2016
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

ブッカー賞作家ジョン・バージャーと写真家ジャン・モアが、一人の田舎医者の姿を通して人間と医療の本質を浮彫にした傑作ドキュメント。舞台はイングランド南西部の小村。階級社会の最下層に生きる村人たちは、貧困やそれに伴うさまざまなスティグマに絡めとられている。医師ササルはその村に住みつき、傷を負った者、死に瀕する者、孤独な者のケアに当たる。ササル医師が村人との間に築いた稀有な関係性を、二人のアーティストが透徹した視線で記録する。本書の観察は、人間の生の価値の観念を押し広げるような数々の気づきを含んでいる。治療者とはいかなる存在なのか。他人を癒すことで癒される生、それを限りなく探り究めようとする者の幸福とその代償について、ササル医師は美しくも戦慄すべき事例を提供しており、読後も一巻全体から受けた衝撃が後を引く。原著は1967年刊。以来読み継がれ、今日の極度にマニュアル化された医療に対してますます深く問いかける。静謐でありながら強烈なメッセージを放つ一冊。

【著者紹介】
ジョン・バージャー : 1926年、ロンドン生まれ。小説家・評論家・詩人。著作には、小説、詩、戯曲・シナリオ、美術や視覚メディアに関する評論、社会学的な研究としてのノンフィクションなどがある。1972年に小説G.(Weidenfeld&Nicolson,1972)でブッカー賞受賞(栗原行雄訳『G.』新潮社、1975)。70年代半ばにフランス・アルプスの小村ヴァレー・デュ・ジッフルに移り住み、以来そこで農業をしながら多彩な表現活動を続けている

ジャン・モア : 1925年、ジュネーヴ生まれ。写真家。パレスチナ難民の写真は1949年に赤十字国際委員会(ICRC)の仕事に関わって以来撮り続けており、ICRCのほかに、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)など、人道支援機関との仕事をキャリアを通じて続けている

村松潔 : 1946年、東京生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • まりお

    1960年代、イギリスのとある田舎で開業医をしているササル。その姿をジャーナリストと写真家が追った。ササルは患者と接するとき、心の底にある秘められた、口に出すことのない、友愛を感じとりたいという期待に応えている。それは知りたい、と思う心から来ているという。この人に任せておけば大丈夫、と感じる医者だったのだろう。

  • マリリン

    村の開業医ササルの患者に対する姿勢から、医師と患者の関わりの深さを感じる。癒すとは、癒されるとは、時間の経過とは、匙加減とは、曝け出すとは...淡々と語りかけられる言葉から、現代の医療への問いかけがある。治療者を求め縋った事が多少なりともあれば問いかけはこちら側にも向けられる。その向き合い方如何では直観力は必要。学問だけでは賄えない世界。表題の意味を考える。美しい風景という緞帳の裏側で営まれる生と死。ひとつの生は別の死を孕んでいるのか。治療者の生きざまとの因果関係を想うなら、そうかもしれない。

  • 白玉あずき

    社会の底辺(田舎の貧困層)で開業医として働く主人公(有名人ではない普通の市井の人)の人生と仕事について、まだ存命中に書かれた評伝。評論家の書く文章らしく、理屈っぽくて難解な部分が多い。が、フィクションのような「物語」にならない、現実の人間の矛盾と複雑性をそのまま提示するのもこの本のキモ。とても読みにくくはあるが共感できるし、考えさせられる事が多い。「医師」であり1人の人間であることの孤独と消耗とささやかな信念。理想と信念を維持する事の不可能性。限界を知る人のむなしさも。読了に時間をかけすぎて失敗。要再読。

  • シュシュ

    友愛の心を持って仕事をする医者ササル。あとがきにもあったが、医者を志す人にはこの本を読んでほしいと私も思う。「患者が初めに嫌な気分にさせられ、歓迎されていないと感じさせられると、その患者の信頼を得るのには長い時間がかかり、結局はうまくいかなかったりする。私は完全に心を開いた挨拶をすることにしている」ササルは常に患者を理解しようとしている。「死のことを考えさせられるときーそれは毎日のことだがー私はいつも自分の死のことを考える。そうするともっと懸命に働こうという気になるんだ」仕事に対する姿勢を考えさせられた。

  • Akihiro Nishio

    学生から貰った本。イギリスの田舎で開業医をしているササルの観察記。彼が村人を診察しながら何を考え、何を求めているのか、そしてその関係性はいかなるものなのか、ということをゆっくり考察する。ひたすら患者に誠実に尽くし、その献身が十分に評価されないにしても、探求心に身を委ね続けることができる医師はやっぱり幸せなのだと思ったところで、最後に暗転。人はそれだけではダメなのだろうか?

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