恐るべき子供たち 角川文庫

ジャン・コクトー

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784041092460
ISBN 10 : 4041092469
フォーマット
出版社
発行年月
2020年07月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
192p;15

内容詳細

享楽的で退廃的なムードが漂う第一次大戦後のパリ。エリザベートとポールの姉弟は、社会から隔絶されたような「部屋」で、ふたり一緒に暮らしていた。そこへポールの級友ジェラールが入りこみ、さらにエリザベートの親友アガートも同居をはじめる。強い絆で結ばれながら、傷つけあうことしかできない4人。同性愛、近親愛、男女の愛…さまざまな感情が交錯し、やがて悲劇的な結末を迎えるまでの日々を描いた小説詩。

【著者紹介】
ジャン コクトー : 1889‐1963。フランスの芸術家。詩人、小説家、脚本家、評論家のほか、画家、演出家、映画監督としてもマルチに活躍。前衛の先端を行く芸術家たちと親交を結んだ

東郷青児 : 1897‐1978。日本の洋画家。10代で画壇デビュー。1921年ヨーロッパへ渡り、ピカソ、藤田嗣治らと交流。1928年帰国後は、画家、デザイナーとして活躍するかたわら、翻訳にも活動の場を広げた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 鱒子 さん

    若いころに一度途中で挫折してしまった小説。当時は、自分と同年代の彼らの機微に全く共感できずに、投げ出してしまいました。今読むと——うん、すごく面白い!残酷さと刹那の衝動が蓄積され、迎えるクライマックスは、青いわ痛いわ脆いわ美しいわ。こんな小説を40代で書いたコクトーは素晴らしい。しかしわたしは、青年のことを大人が達観して書いた本であるという認識です。大人の目のフィルターがかかった、アートな小説だと思います。

  • HANA さん

    訳者は東郷青児。そのためか訳がちょっと直訳的でこなれていない感じがするな。主に四人の登場人物の関係性を描いたものであるが、登場人物が少ないためかどこか密室劇のような趣を感じるな。物語がどこまでも閉じた空間で展開されているのも余計にそれに拍車をかけているし。あと関係性とはいうものの、主に姉弟に残りの二人が振り回されているように思える。そのためかどの頁を捲ってもインモラルな陰翳が付き纏っている。萩尾望都が漫画化しているのもむべなるかな。性的要素は無いものの何故かエロティックさを常に感じる一冊でした。

  • 里愛乍 さん

    子供とは純粋に、無邪気で残酷な思考で以って言動を起こすことがままありますが、本書はそんな癖の強い少年少女が描かれている。美少年で病弱、美しく奔放な姉。大好きなリーダー的な少年に酷い仕打ちを受けるとか弟が世話になった少年を罵倒する姉さんとか出だしから衝撃的で、案の定不幸しか見えない展開だらけなんだけど、独特の言葉運びが巧妙で軽快に読んでいける。なるほどコクトーは詩人でもあるわけですね。確かに解説にも連なっている彼の放つ言葉の数々は実に興味深く、目を引くものが多かった。

  • ちえ さん

    第一次世界大戦後のパリ。年齢を重ねても「子供」のままのポールとエリザベート。二人に引き寄せられるように「部屋」に入り込むジェラールとアガート。「大人」を排除する姉弟の関係は近親相姦とも違うしカプセルのようなのか。破滅へと進む物語。最後になってダルジェロが絡んでくるのも運命かと。東郷青児の訳にその時代を(いい意味)感じるし、表紙のルノアールの絵はこの耽美的で背徳的な作品にぴったり。◆ガーディアン選書1000◆

  • Shun さん

    フランスの詩人・小説家コクトーによる小説。初読では実に難解な内容に感じられ、解説を一通り読んでようやく朧げに見えてきたといったところ。時代は第一次大戦後のパリ、孤児の少年少女たちの戯れにはどこか未成熟さからくる危うさや背徳的な思想が感じられ、この子らの行いがどんな結末を迎えるのか常にヒリヒリとした印象を受けた。しかし物語を追って読んだだけでこの作品の魅力を掴むことはできなかった。機会があれば古典新訳文庫版の方でも読んでみたいと思います。

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