フランスの作曲家ケクランのオルガン作品集。ケクランはオルガンの専門家ではないか、バッハの研究の中でこの楽器について理解しオルガンの作品も作ったようだ。たくさんの音楽を遺しているのにどれもいまいち一般受けしないので、いつになっても全く無名な作曲家のままなのだが、ドビッシーの編曲を助けたりプーランクなど後に続くフランスの近代作曲家たちのレクチャーと育成に大きく貢献したように、作曲家としての力量は確かで、作品自体は素晴らしく、作品数も多い。そのため、その魅力に気付いた一部の音楽家たちが、間違いなく売れ筋ではないのも関わらず、時々こうやって取り上げた録音がポツポツと出ては廃盤になるが繰り返されてきた。この録音では北ドイツの教会のオルガンが使われている。ちょっと余計なノイズを立てると壊れてしまいそうな、フランス近代音楽の繊細な雰囲気に包まれる。