プルートピア 原子力村が生みだす悲劇の連鎖

ケイト ブラウン

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784062199995
ISBN 10 : 4062199998
フォーマット
出版社
発行年月
2016年06月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
508p;19

内容詳細

“プルートピア”は「特異なユートピア」である。アメリカはワシントン州東部のリッチランドに、ロシアはウラル山脈南部のオジョルスクに、プルトニウムの街・原子力村としての“プルートピア”をつくりだした。本書は、東西冷戦という境界を越え、プルトニウムが米ソを結びつけて「歪んだ理想郷」を生みだした経緯に注目する。インタビューと膨大な公文書記録をもとに、チェルノブイリ、福島と繰り返されてきた惨劇の源泉を掘り下げる。

目次 : 第1部 アメリカ西部の核最前線―閉ざされた空間(ミスター・マサイアス、ワシントン州に行く/ 逃げ去る労働力 ほか)/ 第2部 ソ連の労働者階級の原子力(発禁処分/ グラークと爆弾 ほか)/ 第3部 プルトニウムの惨事(危機管理をする/ 傷つきながら歩く ほか)/ 第4部 プルトニウムのカーテンを取り去る(プルトニウムをポートフォリオの株式に/ 帰ってきたチェルノブイリ ほか)

【著者紹介】
ケイト ブラウン : メリーランド州立大学の歴史学の教授。2005年に、『A Biography of No Place:From Ethnic Borderland to Soviet Heartland』を発表。ポーランド人、ドイツ人、ユダヤ人、ウクライナ人、ロシア人が混在して住んでいたロシアとポーランドの国境地帯の、1925年からの30年間の変遷を描き、優れた歴史書に贈られるアメリカ歴史学協会“ジョージ・ルイス・ビア”賞を受賞した。“タイムズ・リテラリー・サプルメント”“アメリカン・ヒストリカル・レビュー”“クロニクル・オブ・ハイヤー・エデュケーション”“ハーパーズ・マガジン・オンライン”などに寄稿

高山祥子 : 1960年、東京都生まれ。成城大学文芸学部ヨーロッパ文化学科卒業。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • 更紗蝦 さん

    アメリカのハンフォードと旧ソ連のマヤークのプルトニウム工場を比較した本です。安定した操業・労働者の確実な確保・秘密保持を追究した結果、両方とも核家族によって構成された閉鎖的で生活水準が高い都市に成長し、一見、裕福で文化的な生活を送っているように見えて、その実、日常的な放射性廃棄物の投棄と被曝のリスクを過小評価した杜撰な防護体制と過酷事故によって、住民が2世代、3世代に渡って健康被害に苦しんでいる実態を淡々と記しています。原爆が製造段階で既に被曝者を出していたことを指摘している所には、ハッとさせられます。

  • takao さん

    ふむ

  • K さん

    アメリカとソ連で、プルトニウム工場のために人為的に造られた街で、選ばれてそこに住まわされた人々も、知らずに被曝を強いられた周辺住民も、放射能による健康被害を受けている様を比較しながら描く。ゆっくりと健康を損なわれ、当事者であるにもかかわらず真実は知らされず、訴えを起こす手段さえ奪われる人々は、冷戦時代に反目しあった両国の原子力ムラの共通点だったという皮肉さ。目が本来あるべきでない位置についてしまった胎児の写真があまりに衝撃的で言葉を失った。

  • モカちゃん さん

    日本も同じかも。

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ケイト ブラウン

マサチューセッツ工科大学Thomas M.Siebel卓越教授(科学史)。歴史、科学技術、生政治(身体と生命が管理対象となる支配体制の特徴)の接点が大惨事を引き起こし、荒地を残していく現象を追求。旧ソ連と米ワシントン州の核兵器開発施設と隣接する理想都市をテーマにした『プルートピア:原子力村が生みだす

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