ギュスターヴ・フローベール

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紋切型辞典 岩波文庫

ギュスターヴ・フローベール

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784003750131
ISBN 10 : 4003750136
フォーマット
出版社
発行年月
2000年11月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
15cm,316p

内容詳細

本書に編まれた項目は、衣服、飲食物や動植物に関するもの、礼儀作法、身体と病気についての俗説、芸術家にたいする評価など、多岐にわたる。フローベールはその記述に様々な手法を用いて、当時流布していた偏見や言葉の惰性、硬直した紋切型の表現を揶揄し、諷刺してみせた。「辞典―無知な人間のために作られたもの」。

目次 : アイスクリーム/ アイスクリーム屋/ 隘路/ 赤毛の女性/ アカデミー・フランセーズ/ アキレス/ あくび/ 悪夢/ 顎ひげ/ 四阿/ 厚かましさ〔ほか〕

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • のっち♬ さん

    約千単語の辞典形式で列挙される19世紀フランス社会に流布した偏説。匿名他者の言葉だけで構成されていようが選出には我が出る。"人前でこれさえ言えば"礼儀が成立するという、脅迫じみた"べし"の羅列には社会秩序への民衆の硬直した帰属意識と著者の呪詛を感じずにはいられない。"愚か者=自分と同じ考えを持たないひと"という普遍的な多数の本音を通底させ、こうした土壌が思考・言語表現の退行を招く暗示や、喜劇性を引き立てるレトリックも多彩で、ネットで同様に偏向を育む紋切型依存症の文明人でも楽しめるナンセンスさになっている。

  • Willie the Wildcat さん

    人の持つ先入観や偏見を揶揄しながら、時に著者自身の先入観や偏見も垣間見る。勝手に哲学/職業/国・人種で括ってみる。著者の【哲学】が滲むのが「嬰児殺し」と「解剖」。階級社会と死生観。次に【職業】からはどうにも”不信感”が滲む。唯一異彩を放つのが「文学者」。自身の経験が基であれば、切な苦しみ。一方、【人種・国】で目立つのが”全て”や”皆”という十把一絡げ感。不当さ/蝋燭など、辛辣な形容詞が飛び交う中、微笑ましいのがナポリ。際立つイタリア贔屓が時に微笑ましい。紋切型、当時の風刺を現代社会と比較するのも一興也。

  • harass さん

    約40ページある解説を先に読むべきだ。倒錯的なコンセプトに満ちた本だからだ。当時の仏社会で語られていた俗説やありきたりの言い回しを集めた辞典なのだという。著者は友人への手紙にこの作品の意図を語っていて、『人前でこれさえ言えばよい、それだけで礼儀をわきまえた感じのよい人間になれる』と考える人間の話すことを意地悪にもまとめてしまったのだ。実にひねくれた魂胆とアイデアに唸らされる。当たり前だがこういうことを踏まえないで読むと、時間と空間の異なる我々にとって意味不明な項目が多い微妙な作品とみなしてしまうだろう。

  • lily さん

    紋切型辞典 皮肉屋の冷血漢の時代の流行はチラリと見せる低級な一人言葉遊び。頻出度の低いフランス語の練習として割り切るか、フローベールを嘲笑う小道具としての使用法がある。「売却」売ったり買ったり、それが人生の目的だ、とあるので、ブックオフの売却カウンターに持ち込むと一応完結する。

  • H2A さん

    全集に収録されていた時はこんなボリュームがあったろうか、その疑問についても長めの解説で説明される。アルファベットと仮名読みで配列仕方はがらっと変わっているが、それも気にならないほど読むのが楽しかった。「糾弾すべし」を連発したり、辞典と称しながら網羅しようという意図はさらさらなく、悪意ある決めつけと悪ふざけでいっぱいだ。神経質に推敲を繰り返す芸術家肌のフローベールの別な一面にちがいない。読み手もどのみち俗物ならば、居直ってほくそ笑みながら読むべきだろう。教育的効果などどうせないのだから。

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ギュスターヴ・フローベール

1821‐1880。フランスの小説家。ルーアンで外科医の息子として生まれる。大学でははじめ法律を学ぶが性に合わず、創作活動に向かう。1857年、4年半をかけて書き上げた処女作『ボヴァリー夫人』が、裁判沙汰をひき起こしたという宣伝効果もあって大ベストセラーになり、作家としての地位を確立した。晩年は長編

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