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浮世の画家 新版 ハヤカワepi文庫

Kazuo Ishiguro

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784151200953
ISBN 10 : 4151200959
Format
Books
Publisher
Release Date
January/2019
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

戦時中、日本精神を鼓舞する作風で名をなした画家の小野。多くの弟子に囲まれ、大いに尊敬を集める地位にあったが、終戦を迎えたとたん周囲の目は冷たくなった。弟子や義理の息子からはそしりを受け、末娘の縁談は進まない。小野は引退し、屋敷に籠りがちに。自分の画業のせいなのか…。老画家は過去を回想しながら、自らが貫いてきた信念と新しい価値観のはざまに揺れる―著者序文を収録した新版。

【著者紹介】
カズオ・イシグロ : 1954年11月8日長崎生まれ。1960年、五歳のとき、家族と共に渡英。以降、日本とイギリスのふたつの文化を背景にして育つ。ケント大学で英文学を、イースト・アングリア大学大学院で創作を学ぶ。1982年の長篇デビュー作『遠い山なみの光』で王立文学協会賞を、1986年に発表した『浮世の画家』でウィットブレッド賞を受賞。1989年には長篇第三作の『日の名残り』でブッカー賞を受賞した。2017年には長年の功績に対してノーベル文学賞が授与された

飛田茂雄 : 1927年生、早稲田大学大学院博士課程修了、中央大学名誉教授、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 優希

    自らの信念と新しい価値観の狭間に揺れる曖昧さが印象的でした。戦時中の日本精神は戦後の世に通じないのでしょうか。培ってきたものを切り捨て、隠居する小野の精神はいかに辛かったことでしょうか。美しい文章だからこそより刺さるものがあると思います。

  • Apple

    語り手を経て触れる戦後の日本の風景は、とても鮮明に描かれていて、この本を読んでいて一番印象に残りました。瓦礫の山と化した場所もあれば、立派な家屋と庭を残しているところもあって、コントラストがよく描かれていたと思います。また、人物たちに根付く権威主義みたいなものが現代よりもかなり露骨で、時代を反映しているようでした。あえて語らせないことによって、語り手の思惑を演出している部分が見受けられ、作者の工夫がすごいものだと思いました。同じ作者の「日の名残り」とはまるで兄弟のような作品だと感じました。

  • 優希

    再読です。戦後の落ちぶれていく画家の物語と言っても良いかもしれません。戦時中、日本精神を描くと讃えられた小野ですが、終戦を迎え、周囲の目が冷たくなるのが刺さりました。時代があるのでしょうか。小野は引退し、籠もりがちになり、自分の画業について悩みつつ、自分の貫いてきた信念と新しい価値観の間で揺れているのが悲哀を誘います。美しい文章で冷たいものが描かれているのが痛みとして感じられる作品です。

  • 催涙雨

    テーマに関してはたぶん日の名残りと似たようなものだと思う。過去に対する悔恨はもとより価値観の変化とその狭間で揺れる心境は、戦後という境界線の可視化によってこちらのほうがだいぶ感覚的に掴みやすくなっている。時代の潮流による思想の正誤の認識という根本的な問題は戦前戦後という線引き越えて永遠に続くものであり、そのためこの作品は今もそれほどアクチュアリティを失わずに読者の感覚を刺激する。長年親しんできた感じ方や考え方が誤りとされる時代に踏み込んだときに、自分はどういうふうに思い、行動するのだろうか。

  • さぜん

    カズオ・イシグロ作品は初。戦時中、戦意高揚画に携わり大家とされた老画家・小野が語る。しかし、その語りは曖昧で現実なのか、真実なのかわからない。戦後手のひらを返すように冷遇され、過去を否定された小野の気がかりは娘の縁談。自分のせいで破談になってはと焦る気持ちや、被害妄想的な思い込みと画家の気持ちは漂うばかり。エンタメ作品の軽さに慣れ切った読書に痛恨の一撃をくらったかのような思いで読了。作品に深く入り込むことはまた違う読書体験を味わえる。そんなことに気が付かせてくれる小説だった。これがノーベル賞作家なのか。

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