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その日の事実 ナチ行動指令

エリック・ヴュイヤール

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784000229722
ISBN 10 : 4000229729
Format
Books
Publisher
Release Date
June/2020
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:
塚原史 ,  

Content Description

「いちばん大きなカタストロフは、しばしば小さな足音で近づいてくる」第二次大戦前夜、オーストリア併合に至る舞台裏を、歴史の断片から描き出す。大企業家とナチ高官との秘密会合、オーストリア首相を恫喝するヒトラー、チェンバレンを煙に巻くリッベントロープ…。彼らの卑小で時に荒唐無稽な行動・決断が、世界を破局に引き込んでゆく。仏ゴンクール賞(二〇一七年)受賞作。

目次 : 秘密の会合/ 仮面/ 儀礼的訪問/ 脅迫/ ベルクホーフの会見/ やむを得ない決定/ 絶望的な企て/ 電報を待った日/ ダウニング街の別れのランチ/ 「電撃戦」/ 戦車の大渋滞/ 電話の盗聴/ ハリウッドの貸衣装店/ 幸せのメロディー/ 死者たち/ あの人たちはいったい何者なんだ?

【著者紹介】
エリック・ヴュイヤール : 1968年フランス・リヨン生まれ。作家、映画監督。主著に本書(2017年ゴンクール賞受賞作)のほか、Conquistadors,roman(´Editions L´eo Scheer.『コンキスタドール』、イグナチウス・J・ライイ賞)、Congo,r´ecit(Actes Sud.『コンゴ』、フランツ・ヘッセル賞)、Tristesse de la terre,r´ecit(Actes Sud.『大地の悲しみ』、ジョゼフ・ケッセル賞)、14 juillet,r´ecit(Actes Sud.『7月14日』、アレクサンドル・ヴィアラット賞)、La Guerre des pauvres,r´ecit(Actes Sud.『貧者たちの戦争』)など

塚原史 : 1949年生まれ。早稲田大学名誉教授。専攻はフランス文学・思想、表象文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • ケイ

    2017年ゴンクール賞 帯の言葉「一番大きなカタストロフはしばしば小さな足音で近づいてくる」1938年ヒトラーはオーストリアの首相を半ば拉致した形でサインをさせ、それを元に傀儡政権を作ろうとしたが、オーストリアの大統領らの抵抗にあう。業を煮やし、ヒトラーは軍隊を派遣し、オーストリアを併合した。その当時の様子、ナチスを支援する経済界トップらの会合、彼らを認めてしまった英仏首脳。併合された時、絶望したユダヤ人1700人が自殺した。ナチスは併合を認めさせる投票を行うが、反対するものは粛清され、圧倒的多数で可決。

  • パトラッシュ

    ウクライナはロシアの軍事侵略に必死で抵抗しているが、ナチスドイツの恫喝に屈したオーストリアは1発の銃声もなく併合されてしまった。尊大なゲーリングらナチ党幹部に対し、クルップを筆頭としたドイツ財界は軽蔑を隠して献金に応じる。降伏を迫るヒトラーを前に、シュシュニク首相は哀れな道化を演じるばかり。同時刻に駐英大使リッベントロップは英国首脳を長口舌で引きとめ、一切が手遅れになってから爆笑する。勇んで国境を越えたドイツ軍の戦車は、エンストで大渋滞を起こしてしまうのだ。地獄への道は漆黒のユーモアで舗装されているのか。

  • ケンイチミズバ

    企業は無責任にも胡散臭いが、勢いのある政党に政治献金を行います。ゲッペルスはナチス党が過半数を握れば今後100年選挙はないと豪語し、経営者の頭の中は富と利潤が全て。この支離滅裂なことを口にする落ち着きのない小男の正体を見極めることもありません。オーストリア首相はサインしなければ、処刑されこの先好きな音楽も聴けない、カフェであのお菓子も食べられない、そんな心配をします。国民や併合される国のことより自分の明日の平穏しか頭の中にありません。その日の予定というタイトルに笑ってしまうし、人間って案外そんなもんかも。

  • buchipanda3

    1938年3月、ナチス・ドイツが威圧的に行ったオーストリア併合の舞台裏を描いたノンフィクション・ノベル。不条理な歴史的出来事は、人間がもたらす滑稽さと恐怖が入り混じった奇妙な状況が生み出すものなのかもしれない。本作で語られる幾つかの断片的なシーンを連ねて読み、嘆きのため息と共にそう思った。中でもその歴史を側面から皮肉るハリウッドの貸衣装店のエピソードが妙に頭に残る。本能的に危うい事への気付きがあっても、人はまやかしについ委ねてしまうのか。まるで世界が商業的な映画に取り込まれているような不気味感を持った。

  • ヘラジカ

    ゴンクール賞受賞作。第二次世界大戦直前の「アンシュルス」にのみフォーカスした作品で、タイトル通り事実に基づいた所謂のノンフィクション・ノベルに分類される小説である。この題材でフランスの最も権威ある文学賞を受賞した、と聞くとかなり取っつきにくいイメージがあるが、実際には邦訳で150頁程度なので非常に読みやすい。逆に言うとこれだけの短さでかの賞を勝ち取ったのは驚くべきことだ。現代とリンクした主題の明確さや映像的な臨場感ある語りは勿論、端々で頻繁に煌めく高度な文章は特筆すべきものだろう。

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