人格主義生命倫理学総論 諸々の基礎と生物医学倫理学

今日の遺伝学の急速な発展や生物医科学の進歩など科学と科学技術の全能的ともいえる圧倒的な影響下で、人々の生命や営みの場は深刻な問題に直面している。本書ではこの複雑な問いと困難を解決するために存在論的人格主義の立場から応える。古典社会以来の施善の原則「殺すなかれ」が支配するヒポクラテスの思想から、ヒュームの倫理的自由主義における「自律の自由」にいたる歴史を辿りつつ、生命倫理学を「合理的認識論の立場より、生物学の知識と諸価値の体系的知識とを結び付ける新たな学問」と捉えて、生物学的、医学的データの記述に基づき、医療・介護の正当性を合理的に検討する。

目次 : 第１章　生命倫理学の起源、普及、定義/ 第２章　生命倫理学の認識論的正当化、判断の基盤、研究方法論/ 第３章　生命―形態、起源、意義/ 第４章　人格と身体/ 第５章　生命倫理学とその原則/ 第６章　生命倫理学と医学/ 第７章　生命倫理委員会

【著者紹介】
エリオ・スグレッチャ : 枢機卿。１９２８年アルチェーヴィア（イタリア、アンコーナ州）に生まれる。１９５２年司祭叙階、１９９３年司教叙階、２０１０年枢機卿に任命される。１９６３年ボローニャ大学神学部卒業。１９７４年より聖心カトリック大学医学部で霊的支援（ａｓｓｉｓｔｅｎｔｅ　ｓｐｉｒｉｔｕａｌｅ）、１９８５‐２００６年同大学生命倫理センター長、１９９２‐２０００年同大学生命倫理研究所長、１９９０‐２００６年イタリア国家生命倫理委員会委員、１９９４‐２００８年教皇庁生命アカデミー副会長および会長、２００９年より名誉会長、２００４年より「生命の贈物（Ｄｏｎｕｍ　Ｖｉｔａｅ）」協会会長等

秋葉悦子 : １９５８年千葉市に生まれる。１９９１年上智大学大学院法学研究科博士後期課程修了。上智大学法学部助手、国立精神神経センター・精神保健研究所研究員等を経て、富山大学経済学部経営法学科教授。２００４年より教皇庁生命アカデミー客員会員（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）