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私自身の見えない徴

エイミー・ベンダー

Product Details

Genre
ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784042968023
ISBN 10 : 4042968023
Format
Books
Publisher
Release Date
April/2010
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Product Description

10歳の誕生日から、「止めること」をはじめたモナ。大好きなピアノも何もかも。20歳を迎え、ある町の小学校で算数を教えはじめた時、閉じていた彼女の宇宙に変化が起こる−−。

Content Description

10歳の時に父親が原因不明の病になり、モナは「止めること」を始めた。唯一続けたのは木をノックすること、そして数学。父の病は癒されず、世界は色を失いながら彼女は大人になった。20歳を過ぎたある日、小学校で算数を教えることになったモナ。個性ばらばら、手に負えない子供たちと交わりながら、閉じていた彼女の世界が否応なく開かれてゆく―。現代アメリカ文学の明るい、新たな可能性が垣間見える、著者初の長篇傑作。

【著者紹介】
エイミー・ベンダー : 1969年、3人姉妹の末っ子として生まれる。カリフォルニア大学アーヴァイン校創作科出身。小学校教諭をつとめた後、「Granta」「GQ」などの雑誌にショート・ストーリーを発表。最初の短篇集『燃えるスカートの少女』(角川文庫)が98年のNYタイムズ紙の注目の一冊に選ばれる。2000年に初の長篇となる『私自身の見えない徴』を発表。LAタイムズ紙の注目の一冊に選ばれるとともに、ベストセラーリストにも登場。南カリフォルニア大学で教えながら精力的に執筆を続けている。ロス・アンジェルス在住

管啓次郎 : 1958年生まれ。明治大学理工学部教授。コンデ『生命の樹』ほか、英語・フランス語・スペイン語からの訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • えりか

    知らないふりをしたって、いつだって心に巣食って憂鬱な気分にさせるのが、身近な人の死の予感だ。この物語は死の予感に溢れてる。父親の病気がわかったとき止めることを始めた女、シャボン玉に煙を吹きいれて真珠を作ろうとする腕に実験の火傷のあとのある理科教師、母親が癌の少女、気分によってペンダントの数字を変える元数学教師の金物屋。憂鬱で今にも壊れそうになりながら、それでもどこかユーモラスに可愛らしく生きてる。今にも爆発しそうな不安を抱えながらも、世界の美しさに気付きながら生きてる。そのバランス、その姿に胸が痛くなる。

  • 小夜風

    【所蔵】エイミー・ベンダー2冊目。こういうのを格好いいとか憧れちゃう女の子の気持ちは理解出来る……けど、おばちゃんから見たら、中二病を拗らせちゃった痛い娘、としか思えない。十代の頃ならまだしも、二十歳でこれではね。思い込みが強過ぎて、世界中の誰も自分を理解してくれないような気がして、勝手に絶望して……。こういう子はもう死ぬしかないんじゃないかと、読みながら嫌な予感しかなかったのだけど、案外キレイにまとまってホッとしました。それにしても、何だか勿体ない生き方してるな。せっかくの二十歳なのに。

  • 冬見

    エイミー・ベンダー初の長編小説。彼女の作品を読むは『燃えるスカートの少女』に次いで二つ目。観念的でページ数もそこそこあるのでゆっくりと噛み砕くように読み進めた。冒頭の挿話と結末部の挿話の対比が美しい。立ち込める霧の中を彷徨うような読書だったが、結末部によって心のなかの霧は晴れた。「止まっていた」彼女が「動き出した」ことを、つまりは生きてゆくこと、いつかは死んでゆくことを受け入れ踏み出す。それは苦しくもあるけれど、きっとそこには光だってあるはずだ。そんな温かさを残す幕引きだった。

  • cho

    エキセントリックなモナ・グレイ。何かにおっかなびっくりで、あまりに自分の殻に閉じこもっているものだから、感情移入もむつかしく、ふわふわした危なっかしさを見守るしかなかった。でも、「丸く閉じた輪のはじ」を少し開いてみると、おもいのほか世界もこちらに向き合っているものなんだね。漂うのをただ見守っていたつもりが、いつの間にかずっと側にいた。恐れも優しさも、おっかなびっくりな愛も、ちゃんと私に届いていた。素敵な、しっかりした輪郭のある小説だった。

  • 遠野

    とても好き。長編でも、改めてエイミーの世界に魅了された。いつの間にか物語に深く寄り添って、大切なものをそっと受け取っていたような印象。 数字は美しく整えられた言葉で、それはいつも世界の秩序を守って囁いている。その秩序に則って、死に向かってまっすぐに進んでゆくこと、歩み入ってゆくこと。先に逝く者を悼み、それが信じられないほどの一撃をあなたに与えるかもしれなくても、それでもその痛みを抱えて生きてゆくこと。私たちは誰もがいずれ死んでしまうけれど、その日まで、自らの体で経験し、考え選んで、新しいことを始めて。

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