Book Meter Reviews

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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• 小太郎

  読了日：2025/09/16

  絶滅したステラカイギュウをモチーフにした物語。舞台は18世紀ロシア、１９世紀アラスカ、そして現代のフィンランド。かなり広範囲にわたり綿密な資料を当たっているのは読んでいてわかります。そのリアリティは読み手を放しません。もしノンフィクションで書いたとしても相当な秀作は間違いないと思います。ただこれをフィクション→物語として（それも冒険譚として）書いたことにより、より読み手に強く訴える作品に仕上がっていると思いました。各賞を受賞しているのも頷けます。本の装丁やデザインも素晴らしい。★4

• ワッピー

  読了日：2025/11/19

  発見から27年で完全に人為の故に絶滅した巨大な海生哺乳類ステラ―カイギュウ。その命名者となったベーリング率いる調査隊の博物学者ステラー、ロシア領アラスカ総督の命を受けてカイギュウの骨格を組み立てた剥製士ヴォルフと総督の妹のコンスタンス、時は移ってヘルシンキの皇帝大学動物学教授ノルドマンと女子画家ヒルダ、そして鳥の卵蒐集家クレーゲルと修復士グレンヴァルへと視点は変わりながら、現在ヘルシンキに展示されている骨格標本へ収束する。特に感情を煽ることもなく淡々と種の滅びを語るこの旅には、寂寥感があふれ胸が痛みます。

• ykshzk（虎猫図案房）

  読了日：2025/11/06

  ドードーにせよステラーカイギュウにせよ、その絶滅理由が、彼らが人間を恐れなかったためだと知ると辛い。巻末の謝辞にあったのは、著者がこの本の執筆中に絶滅した多くの生物の名前と彼らへの感謝の言葉。ステラーカイギュウが浅瀬で海藻をはんでいる時代から、博物館で骨格標本になっている現代までを探検家や剥製師、画家、標本管理士などの人生がつなぐ。博物館のカイギュウの骨格標本で音楽を奏でる場面では、心が深い穴に落ちて行きそうになった。ゲノム編集でリョコウバトやマンモスを生み出せても、人間の失敗が無かったことにはならない。

• かもめ通信

  読了日：2025/09/15

  １８世紀の史実に基づいた海洋冒険譚からはじまって、現代まで、史実を基にしたフィクション。絶滅した生き物とその生き物をめぐるあれこれを語りあげることによって、読者の心の中に幻の海獣を蘇らせると同時に、人間の愚行の結果をこれでもかと突きつけ、過ちを繰り返す愚かさを告発する、そんな物語でもある。

• いちろく

  読了日：2025/12/17

  紹介していただいた本。発見から27年で絶滅したとされる海獣ステラーカイギュウも軸の300年近い年代史小説と書こうか？ 史実と虚構が混じり合った物語の中で、絶滅していく生き物たちを眺めていた感覚でもあった。ステラーカイギュウの場合は人の要因が強かったけれど、狩られやすいという意味で、いずれは食物連鎖の中で消えていく運命にも思えたのも事実だ。この本の記載だと、美味でもあったみたいですしね。生き物の栄枯盛衰も感じた。

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