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「大東亜」を建設する 帝国日本の技術とイデオロギー

アーロン・s・モーア

Product Details

ISBN/Catalogue Number
ISBN 13 : 9784409520802
ISBN 10 : 4409520806
Format
Books
Publisher
Release Date
December/2019
Japan
Co-Writer, Translator, Featured Individuals/organizations
:

Content Description

アジア・太平洋戦争期、帝国日本の戦時動員のため「技術」という言葉が広範に使用されていた。それは単に科学技術だけではなく、社会全体の統治にもかかわるイデオロギーであった。狂信的な言説が吹き荒れたと思われる時代は、実は科学的・技術的な言説が力を持った時代でもあったのだ。本書では、革新官僚と技術者たちの動向を中心に、満州と中国における巨大建設プロジェクトを詳細に分析しつつ、戦後までをも貫く「技術」言説を思想史的に描き出す。新たな視角から帝国日本の核心に迫る、急逝した気鋭のアメリカ人研究者の遺作となった画期的研究。

目次 : 序説 帝国日本の技術的想像力/ 第1章 生活を革新する技術/ 第2章 アジア発展のための技術/ 第3章 大陸を建設する/ 第4章 帝国をダム化する/ 第5章 社会機構を設計する/ 終章 戦後日本におけるテクノ・ファシズムおよびテクノ帝国主義

【著者紹介】
アーロン・S.モーア : 1972年横浜生まれ。コーネル大学歴史学部Ph.D.アリゾナ州立大学歴史・哲学・宗教学研究学科(歴史学部)准教授。専門は近現代日本史、科学技術史。2019年9月8日、急逝

塚原東吾 : 1961年生。東京学芸大学修士課程(化学)修了。ライデン大学医学部博士Ph.D.(医学)。現在、神戸大学大学院国際文化学研究科教授。専門は科学史、STS(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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Book Meter Reviews

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  • 無重力蜜柑

    まず何よりもタイトルが格好いい。原著だと”Constructing East Asia”。あえて大東亜と訳したところがいいね。まあ肝心の本文は(固有名詞と独自概念まみれなので仕方ない側面はあるが)絶望的なくらいに読みにくいのだが。内容としてはジャニス・ミムラと同じく、戦後日本の技術主義の淵源を日本帝国に求める「テクノ・ファシズム」論で、ダムや電力網、都市計画や治水工事といったインフラ事業を取り上げている。特に満州や朝鮮、中国での経験が戦後日本の「列島改造」やODAの基礎となったというのが本書の主張。

  • hurosinki

    「技術」の概念が「東亜建設」のイデオロギーに結びつく様を追う思想史。主に戦時体制下の日本のエリートらが表明した科学技術に関する言説を分析する。技術という用語にユートピア的な含みを持たせる、「テクノロジカル・イマジナリー」という手法は、人々の主体性を合理的に動員する原動力となり、「下からのファシズム」として体制を支えたというのが筆者の見立て。筆者はその傾向は戦後にも続いたと示唆するが、その辺りの根拠は戦時中の分析と比べてやや弱いか。

  • 鵐窟庵

    飛行機の中で一気に読了。大変刺激的かつ野心的な研究である。戦前の労農派と講座派から連なる社会主義の社会システムの系譜から、戦前日本の技術と社会の関係が様々なイデオロギーの元で浮かび上がる。中でも専門化しがちな各種技術を統合して国民や社会全体の経済水準を強化して余裕のある文化生活を築く『総合技術』への希求が強烈なユートピアのイメージを作り出し、それが戦前の強力な全体主義体制と結びつき、各アジアの植民地で具現化していった。技術の統合と全体主義の全体性が上手く噛み合う様相は『テクノ・ファシズム』として称される。

  • Mealla0v0

    本書は、「技術的想像力」という概念によって、この技術という言葉に託された様々な「構想」について分析している。技術的想像力というのは実に正鵠を射た表現で、技術によるある種のユートピア社会の実現が、なによりも「想像」されていたということである。第1章は比較的思想史寄りで、マルク主主義者の転向を技術論と交錯しながら論じられている。以降の章は、技術官僚や革新官僚の具体的な言説や計画が如何にこの想像力を膨らませていくのかということ、とりわけダム建設に託された想像がどのようなものであったかが語られる。夭逝が惜しまれる

  • 剛田剛

    先の大戦の敗北にあって、多くの場合は我が国の「前近代性」「非合理性」「排外的ナショナリズム」を批判する傾向があるが、むしろあの対外拡張主義と戦争は我が国なりの「近代性」「合理性」「トランスナショナリズム」こそが駆動したものであるという指摘。おそらくそれがゆえに朝鮮や台湾の青年たちの中にも帝国日本の物語に熱狂した者が出たのだろうし、また「前近代性」「非合理性」「排外的ナショナリズム」を克服したはずの戦後日本の対外政策がしっかりと戦前日本と接続したものになったのだろうと思われる。

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